2022狂言 青森特別公演

行ってまいりました2年ぶりの狂言公演!
毎年地元での公演の他、近県や東京まで遠征して舞台を観ていたのですが感染症が蔓延してからはそれもなかなか難しく、2020年11月の青森での万作さん萬斎さんの狂言公演以来となりました。
待った甲斐もあり、今回はお二人に裕基さんを加えて三代揃った舞台を観ることが叶いました。来てくださってありがとうございます!!主催者の東欧日報社様ありがとうございます!!
演者の放つエネルギーは視覚・聴覚・嗅覚(気のせい)・味覚(思い込み)に訴えます。触覚は残念ながらムリですが。テレビや動画配信で舞台を観るのも良いですが、生にはかないません。

以下、公演の備忘録的感想です。

≪2022狂言 青森特別公演≫
公演日:2022年11月15日(火)
於:リンクステーションホール青森(青森市文化会館)
【番組】※敬称略
解説:野村萬斎
『柑子』太郎冠者/野村万作 主/深田博治 後見/飯田豪
『悪太郎』悪太郎/野村萬斎 伯父/石田幸雄 後見/高野和憲
『茸』山伏/野村裕基 何某/野村太一郎 茸/中村修一、内藤連、飯田豪、岡聡史、月崎晴夫、福田成生、深田博治、高野和憲 後見/石田幸雄

解説の萬斎さん、久しぶりに見てもやっぱり発光してます。
狂言見るの初めてかどうかの挙手によるアンケートは、私の視界の範囲内では前回より多く感じたのですが、どうでしょう?いつものように初心者向けの所作の説明から始まり曲の解説へ。柑子と悪太郎の解説が終わった時点ですでにタイムオーバー。お約束です。むしろタイムオーバーしてない公演を見たことがありません。2曲で狂言の語句用語含めたっぷり解説したので「ここまで解説したら茸の解説いらないかも」なんて…、でもしっかり茸解説してくれる、そういうところ好きです。
最後には出演予定の来年始まる大河ドラマの宣伝も忘れない隙の無いお方です。

『柑子』
初見です。台詞劇の小品といった印象です。主が飲み会(解説者曰く)でお土産に貰った三つの柑子が生った枝、預けた太郎冠者に催促するも覚えてないと嘯きます。そんなはずはないと再度催促しますがすでに平らげてしまったとは言わず、一つは槍に引っ掛けてたら臍(蔕)がとれて落っこちたので皮むいて食べてしまい、今度は落ちないように懐に入れたけれども帰りの混雑で身に着けていた角鍔の刀で二つ目は潰れ、その汁は全て飲んでしまったと言います。三つ目の柑子に至っては何故か平家物語の俊寛のくだりを語りだします。ついつられて涙する主ですが、それのどこが柑子と関係あるのかと問うと、「私の六波羅(腹)に収めました」というオチでした。
万作さんの絶妙な台詞の間と表情で笑いを誘われ、柑子の皮を剥いて食べる所作でみかん食べたくなりました。

『悪太郎』
この曲はけっこうご縁があります。おそらく4回目か5回目か…で、あらすじは割愛します。何度見ても面白いです。アクションあり歌あり踊りありの今人気のミュージカル(解説者曰く)ですよ。
悪太郎は酔っぱらうと同じ話を繰り返すタイプですね。萬斎さんのお酒を飲んでだんだんと酔いが深まっていくのを見ているとこちらもお酒飲みたくなります。ビールぐいぐいいきたくなります。

『茸』
「くさびら」とキーボード打っても正しく変換してくれません。辞書登録必須です。
テレビの舞台中継や「にほんごであそぼ」でおなじみなため、今回初見なのかどうかわからなくなりました。記憶というものがいかに曖昧で頼りないかはこの国のエライ(と思っている)人々が証明しています。記録とその保存、大事ですね。
それはさておき、萬斎さんのご子息の裕基さんと、萬斎さんの従甥(じゅうせい:いとこの子供)の太一郎さんの生の舞台を初めて見ることが出来ました。何某役の太一郎さん、硬すぎず柔らかすぎずの発声は耳に心地よく、高身長ながらも重心が低めの安定感のある所作と感じました(素人の感想です)。存在感あります。そして裕基さん、揚幕から登場した瞬間、山伏のいでたちなのに「貴公子!」と思いました。なり立てホヤホヤの山伏でしょうか…。
家のあちこちに茸が生えて困り果て山伏に退治してもらおうという何某への「湿気が多いだけなんじゃない?」というツッコミは心の中に留めておきましょう。This is the KYOGEN 困った時の山伏頼み。しかし茸の方が強すぎて山伏の神通力が通じず退治するどころか翻弄されてしまいました。菌類の増殖力を侮ってはいけません。その増える様はホラーです。怖いですね~(解説者曰く)。
シイタケやらシメジやら見たおかげできのこの和風パスタ食べたくなりました。

狂言て、美味しそうですね。

お腹空いたので公演終わってから友人と回転寿司食べに行きましたよ。