見出し画像

『リンカーンとさまよえる霊魂たち』ジョージ・ソーンダーズ

ジョージ・ソーンダーズは、現代アメリカの作家です。短編小説の名手で、『リンカーンとさまよえる霊魂たち』は彼にとっての初の長編。アメリカでベストセラーとなり、イギリスの文学賞であるブッカー賞を受賞した作品です。

この本は、かつてのアメリカ大統領リンカーンが、南北戦争中に、病気で子どもを失ったという実際のエピソードを元に書かれた小説。とはいえ、歴史小説というわけでもなく、亡くなった息子ウィリーも含めて自らの死を受け入れられない霊魂たちがリンカーンの近くに現れます。過去に起きた出来事(歴史)に超現実的な要素を持ち込んだ点などに面白さ・新しさがある物語です。

どのような道を進もうと、すべての人が苦しんでいるという事実を忘れてはならない(満足し切っている者は一人もいない、すべての人が不当に扱われ、無視され、見過ごされ、誤解されている)。ゆえに、人は関わりのある人々の重荷が少しでも軽くなるように全力を尽くさなければならない。

『リンカーンとさまよえる霊魂たち』ジョージ・ソーンダーズ 

個人的に、この一節が強く印象に残っています。

いいなと思ったら応援しよう!