『帰ってきたウサギ』ジョン・アップダイク
ウサギシリーズの2部作。『走れウサギ』から約10年を経たウサギの日常生活が描かれているのがこの作品です。ウサギは36歳になりました。
1970年頃のアメリカが舞台となっており、当時のアメリカでの大きな関心であったベトナム戦争や人種問題などの社会情勢についても書かれています。
『走れウサギ』では、娘を失ったウサギは、息子と別れ、家族の元へと戻っていきました。『帰ってきたウサギ』では、今度は妻に恋人ができて息子を残し家を出ていってしまいます。その間ウサギが出会った若い女の子が自宅に住むことになり、さらに話はややこしい展開へと進んでいきます。
前作でも失ったように、今回もウサギは大切なものをいくつか失ってしまいます。そうした中でも、不器用で苦労しながらも生きていく彼の姿に惹かれるところがあります。ひどいことがあっても表立っては感情をあんまり出さないですね。『帰ってきたウサギ』では、前作よりも彼の生き様をより感じ、物語にぐっと引き込まれたなあと思います。
この後に、『金持ちになったウサギ』へと続いていきますが、ウサギはどうなっていくのでしょうか。
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