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『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』ジュリアン・ジェインズ

この本は、村上春樹さんが繰り返し読まれていておすすめされている歴史書です。

「意識」というものは、人類がもともと持ってわけではなく、3000年ほど前に誕生したものだとジュリアン・ジェインズは述べられています。それまで人類は自身の右脳から神の声を聴いていてそれに従って生きてきたが、文明が発展すると同時に神の声が聴こえなくなるにつれて、宗教や詩など別の形の物語的なるものが生まれ、それに従って生きてきたと僕は理解しています。

「創作を志す(つまり天の声を聞こうとする)人たちにとっては、多くの示唆に富んだ書物であると思う」と村上さんが語られているように、「物語」の重要性について考えさせられます。

この本を通して歴史を振り返ってみて、人間は「物語」というものがないと生きていくことができないのだと思います。ただ、インターネットの発達等で大量の情報に触れざるをえない現代を生きる人々は、他者の悪しき物語に注意する必要があります。悪しき物語に引き込まれないためにも、善き物語に触れること、自分で「物語」を作ることが大事になってきます。そこに、小説家や本屋が果たすべき役割があるのではないかと僕は考えています。


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