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MWiCメモ01 マウスピース等準備

MWiCに適合するマウスピース・リガチャー・リード・キャップ・パッチと、その使いこなしに関するメモです(2023年7月17日作成)

MWiCについて

2023年7月スタートアップ企業Teefonics社より、日本発の新しいWind Midi ControllerであるMWiCの販売予約と貸出試奏受付が開始されました。私、先行してテスターをさせていただいておりましたのでその経験メモを共有いたします。なお、本記事の内容は単なる一人のユーザーの経験談でありTeefonics社の公式見解とは無関係です。また速報的なものですのでこれからどんどん変わっていくこともあり得ますのでその点ご理解の上、参考になれば幸いです。MWiCの詳細は開発・販売メーカーであるTeefonics社のサイトを御覧ください。特にトップページの販売・サポートについてのお知らせは充分ご理解いただく必要があるでしょう。

MWiCのマウスピース・リガチャー・キャップ

MWiCはタッチセンサー式のキー/オクターブローラーの管体に市販のアルトサックスのマウスピース+リードによるベンドセンサーを組み合わせているところが特徴です。アルトサックスのマウスピースは付属していませんのでユーザーが各自好みのものを用意して使用します。セッティングよって影響度は変わりますが、マウスピースやリードの種類により吹奏感に若干の影響があります。面倒ではありますがそこまで含めて演奏者自身が自分の好みにあわせてカスタマイズできるウィンドコントローラーもいままでなかったと思いますのでそれも含めて楽しんでいただければと思います。

マウスピースはMAYER、SELMER、ヤナギサワ等の代表的メーカーの一般的な品番の樹脂製マウスピースの内径・外径に近いものであればおおよそ大丈夫なようになっています。サイズ的な細かい制約は公式ページ参照ください。
https://teefonics.jp/mwic_howtouse/compatible_mouthpiece

リガチャー、リード、キャップも、アルトサックス奏者の方であればまずは手持ちのものを活用し、慣れてきたらティップ開きの大きいマウスピースにするとかリードの硬さを変えてみるとか樹脂リードにするとか色々試すと良いと思いますが、アルトサックス経験の無い方は、そう言われても・・・ですよね。

参考:サックスマウスピースの基礎知識(各部名称)
https://www.alsoj.net/sax/magazine/view/12/3179.html

というわけで新しく用意したい場合の推奨マウスピースですが、「ヤマハのアルトサックス用4C」が一番です。MWiCのマウスピース接続部はこの4Cを想定して設計されていますのでサイズ的には最もぴったりします。アルトサックスのマウスピースはメーカー・品番・時代によってシャンク部の内径・外径・外径の傾き等が若干異なりますので、これがジャストフィットしていないと、使えるけれどちょっとガタがあるとか、使えるけど挿し込むのがちょっとキツイ、ということが発生します。4Cであればその心配は皆無です。リガチャーもどれでも良いのですが、よくわからないという方はヤマハの4C用のものがオススメです。私も4Cマウスピース/リガチャー買って使っていますがジャストフィットで問題なく使えています。

マウスピース:ヤマハアルトサックス用 AS4C

リガチャー:ヤマハアルトサックス用 4C用(N1543031)

キャップは上記マウスピースであればほぼどんなキャップでも適合しますので通販で一番安いものを買うか、近所の楽器店にマウスピース・リガチャー持参の上、店員さんにこれに合ういちばん安いもの、と聞いて買えば良いでしょう。

開発裏話になりますが4Cを推奨に選んだのは、信頼できるメーカー製かつ将来にわたり安定入手できる可能性が高いということを前提にした上で一番低価格だからとのことです。非常に合理的だと思います。リガチャーも同じ理由です。

なお、4Cは中古良品が比較的多いです。4Cはヤマハのアルトサックスに付属しているので、付属していたけれど使わない、というケースが多くあるため新品に近いものがメルカリ等で頻繁に出回っています(リガチャー・キャップ付きの場合もあり)。こういったのを狙うのもアリかと思います。

MWiCのリード

 リードは一般的な木製・樹脂製どちらも使えますが、耐久性という意味では樹脂製をおすすめします。MWiCはバイトセンサーのバルーンでリードが常に少し押されている状態になるので、一回使用してリードが湿ると木製リードはすぐにヘタって曲がります。曲がってしまうとベンドセンサーのゼロ点が変わってしまうので設定のやり直しが必要になってしまうので、この手間がほぼ無い樹脂製のほうが使いやすいです。アルトサックス奏者の方は手持ちのリードでサックス用に使えなかった・使えなくなったものを転用すれば良いです。硬さは2.5〜3.5の範囲であればとりいそぎ無難で問題無いと思います。
 手持ちのリードが無い場合は、試奏等の短期間使用のみ前提であれば楽器店で1枚だけ木のリード(RICOでもバンドレンでも何でもよいので「硬さ3番」の一番安いやつ。300〜400円程度)を買うと良いですが、長期使用でしたら樹脂リードの一番低価格なもの、とりあえず3番が無難で良いと思います。これもたまたまヤマハ製が一番安いでしょうか。私自身はヤマハ製は試したこと無くて、10年以上前に買ったLegereの2 3/4を使ってみたら良好でしたが、MWiCの場合はリードの細かい違いはあまり影響しないのでたぶんヤマハ製で問題ないと思います

樹脂リードの例:何でも良いが3番が無難と思われる

マウスピースパッチ

 マウスピースの保護や歯の安定のためにマウスピースパッチを貼っても良いです。これはあっても無くても良くて、好みです。これも適当に安価なもので良いと思います。ちょっと試してみるだけ、というのなら一般的なビニールテープを切って貼って見るだけでも良いです。

 私自身はマウスピース側に貼るほか、リード側にも貼っています(はみ出しが無いようにカットしてから貼る)。人によってはリードを直接歯で噛む方がEWIの噛み方に近くて慣れている人もいらっしゃると思うので、そういう場合はリードにパッチを貼ると吹きやすくなるかもしれません。私も試行錯誤の上、リードを歯で直接噛む奏法をしています。

私の使用例。マウスピースとリード両方にパッチを貼る。

ヘアバンド

 唾垂れ防止にEWIでおなじみのヘアバンドをつけるのも唾の多い人には必須です(少ない人は不要ですが)。セッティングによってはリードとマウスピースの隙間(横)から息が少し漏れることがあるのでここから唾がたれてきます。これが本体まで垂れるのを防止するためマウスピース下部にヘアバンド等を装着すると良いと思います。近所の100円ショップで買うのが一番安くて早いです。

マウスピースの種類がMWiC吹奏感に与える影響

 いまのところの経験則のメモです。これからユーザーが増えて知見が増えると内容が変わっていくかもしれません。

チェンバーの内径の形やサイズ

これらが違うと、息の通りやすさが変わってくるので吹奏感に影響があるかもしれません。サイズが小さすぎたり大きすぎたりすると、吹き込みの抵抗感や、MWiC特有のパラメーターである「B.Compensate」の設定に影響するかもしれません(私も検証不足でなんとも言えません)

B Compensateについて→ https://teefonics.jp/mwic_settings/08_Bite-1#b_compensate

フェイシングの長さとティップオープニング(開き)の大きさ

特に後者は、バイトセンサー使用時の吹奏感に結構影響すると思います。マウスピースをたくさんお持ちの方は、慣れてきたらこれの大小の差を試してみるのもアリと思います。開きが大きいということは、リードをそれだけ深く噛める=センサーの最大値が大きくなる、ということになりますので、最大値を大きくした上でセンサーの感度を下げると、特に小さなビブラートをかけるときのコントロールがやりやすくなるかもしれません。特にベンドのモードをSwingでなくReed Bendにしている時は影響が大きいと思います。

また、フェイシングが長く開きの大きいマウスピースだと、リードとマウスピースの隙間から息が漏れやすくなると思いますが、MWiCの場合は程よく漏れたほうが吹きやすいという場合も充分ありえますので、いろいろ試してみてはいかがでしょう。
 ・開きの異なるマウスピースを使ってみる
 ・バルーンの位置(高さ)を変えてみる
 ・Bite-3設定の、MinとRangeを色々変えてみる(Rangeはデフォルトは300ですが、私自身は1000程度でちょうどよくなるようにマウスピースとバルーン位置を調整しています)

リードの取り付け位置

リードの取り付け位置ですが、サックスに慣れていると常識としてサックスでのいつもどおりの位置に取り付けてますよね。もちろんこれでも良いのですが、場合によっては、写真のように数ミリ下げたほうが良い場合があります。MWiCのベンドセンサはサックスの場合より、かなりリードを動かしますので、サックスと同じようなリードの位置で強く噛むとリードで息の流路が完全に塞がって音が出なくなってしまったり、息の量が少なくなります。普通に考えればこれはデメリットのことが多いと思います。

(ちなみにこの挙動はリリコンと同じなので、そこまでこだわってリリコンシミュレートしたい方はむしろ好都合ではあります。YAMAHAのWX5や、Roland Aerophoneのマウスピースはリードを噛んでも息が抜けるようにマウスピース側の先端の形状設計で工夫がされています)

MWiCで噛み量と息の量の影響を分離するには、一番簡単な方法は写真のようにリードの位置を数ミリ下げることです。これで強く噛んでも息が通ります。また、写真のようにリードの端にあえて切れ目を入れると、噛んだ時の息の通りが改善されます(そこまでしなくても良いかもしれませんが)。この写真、サックス吹き的には違和感があって許せない絵面と思いますが(自分もどうにも慣れない)、サックスの常識にとらわれずいろいろ試してみても良いかと思います。

リード取り付け位置の一例(推奨というわけではありません。アイデアの一例)


おまけ

私がネタ的にamazonの中華製安価品を買ってみた結果です。結果として使えるものもありましたが、個体差で使えない場合もあるでしょうし、コピー品の道義性や、信頼性・安全性・安定性から決してオススメはいたしません。試すにしても自己責任でよろしくおねがいします

マウスピースセット

→私が買った時は910円でした。使えました。シャンク外径が僅かに細いのでビニールテープを一枚巻いてガタツキを抑えたら問題なく使えました。ティップ開きはヤマハ4Cよりごくわずか大きいように感じますが全体的には4Cのコピー品のような感じ。リガチャーも問題なしで他のマウスピースに使えます。価格的にリガチャーとキャップだけのために買っても良いかもですね。MWiC用に当たればラッキー的な。

透明マウスピース

→私が買った時は799円でした。使えませんでした。シャンク外径が太くMWiCに上手く装着できません。また作りの精度が雑すぎて気密性が確保できなさそう。試しにアルトサックスで吹きましたが全くマトモに音が出ず。デザイン優先で買ったけど失敗。

樹脂リード

→私が買った時は717円でした。一応使えました。あまり唇ざわりが良くないのでパッチを貼って使っています。ガシガシ噛んでいたら一枚は早々にヒビが入りましたが2枚目はそこそこ使えています。まあ当たればラッキー的に。ちなみにアルトサックスで吹いたところマトモに音が出ず。

マウスピースパッチ

→私が買った時は193円でした。納期3週間くらいでしたが平気で2週間位遅れまして、あきらめかけていたところで到着。普通に使えました。0.8mmはちょっと厚すぎかもしれなかったけど。

最後に

マウスピース/リードのセッティングは、ブレス設定とバイト設定に結構関わってきまして、特にバイトでベンドを「Reed Bend」に設定する場合は演奏者の好みにあわせて微妙な調整が必要になりますので、そのうちnoteにまとめたいと思います・・・・。

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