■永遠の負債 2024/8/22

まほー工房公式サイト「とある時空の物語」より


昔々、ある豊かな国に欲深い人々の一団が住んでいました。

この一団は贅沢な暮らしを送るために周りの人々から際限なく借り続けました。
金銭はもちろん、時間、労力、そして思いやりまでも借りては返済を後回しにしていたのです。

彼らの豪邸には借りた宝石や美術品が飾られ、借りた料理人が腕を振るい、借りた使用人が世話をしていました。
彼らは、「死ぬまでに返せばいい」と高を括っていたのです。

しかし、死はいつも予想外にやってきます。
ある日、彼らは突然の事故で命を落としました。

死後の世界に飛んだ彼らを待っていたのは、厳格な表情の審判者でした。

審判者は彼らを見下ろし、こう宣告しました。

「汝ら欲深き者どもよ。
生前に他人から借りすぎた全てを返済せよ。
それが済むまで安らぎは得られぬぞ」

こうして彼らは、死後もなお借りた全てを返済するために永遠に働き続けることになりました。
生前に借りた金銭、時間、労力、思いやり、全てを返さねばならなかったのです。

彼らは、生きている人々の夢に現れては働き、借りを返そうとしました。しかし、その努力は終わりがありませんでした。
なぜなら彼らが借りたものは、単なる物質だけでなく、計り知れない価値を持つ無形のものだったからです。


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