非常ボタン
強盗殺人事件を追う約40日間が終わった翌日の夜。会社でぼんやり新聞を開き文字を追っていたら、ある文章から目が離せなくなった。
6月14日付の朝日新聞朝刊、広告大手「電通」に関する上智大教授の談話。見出しは「支配にあらがう仕組みを」。以下に引用する。
まるで今の自分の状況を言われているようだった。そうだ、私は「非常ボタン」を押したんだ。これ以上追い詰められないために。
非常ボタンを押しても、構造のそばにいる人の言葉や視線を気にして、また傷つくこともあった。救われたかったからこそ、そうなったことは明らかだった。でも、救われる言葉を新聞で見つけた。
一見すると自分とは無縁なテーマのオピニオン欄の記事。自分の現在地とつながり、肯定してくれた。この40日間、新聞の価値は特ダネにあるんだと、要求されてきた。それもあって、新鮮な体験だった。
手段に出るには、自分1人だけでは勇気が足りなかった。ハードルを低くしてくれたのは、信頼する大事な人たち。心の底から感謝しています。
その人たちのことを想って、おやすみなさい。
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