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無限に遊べる「自作すごろく」

ウチの息子が小さい頃に、一緒に作って遊んでいた「すごろく」の作り方、遊び方を紹介します。

この記事は、「Maker Faire Kyoto Online」に参加するために書きました(#MFKyoto2020   #作品発表)。

特徴

 ・「作る → 遊ぶ → 作る → ……」で無限に遊べる
 ・幼児から大人まで、多様なメンバーでも楽しめる

用意するもの

 ・ 盤にする紙 × 1枚
 ・ カード × 何枚でも
 ・ × 人数分
 ・ サイコロ × 1

盤にする紙は、マス目を描いて駒を動かす場とするものです。大きさも材質も、何でも構いません。私は普通のコピー用紙(A4だったり、A3だったり)を使ってました。後述するように、駒として好きなものを使うと盛り上がるので、そうした駒を置けるサイズのマス目になるよう、大きめにするのがお勧めです。

カードも、大きさも材質も何でも構いません。私は、たまたま手元にあったので名刺用紙(たとえば「マルチカード 各種プリンタ兼用紙」)を使ってました。そういうものが無いときは、コピー用紙や画用紙を適当に切って使うこともありました。枚数も、何枚でも構いません。

は、他のプレーヤーと区別できて(=自分のだと分かるもの)、マス目に置けるものであれば何でも構いません。

サイコロは、1〜6までの目がある普通のもの(正六面体)を使います。

作り方

まず、盤を作ります。

盤に描くマス目は、「スタート」と「ゴール」があれば、途中はどんな形になっていても構いません。私は、最終的に以下のようなマス目を描いて使っていました。

すごろく:A3+ジグザグ_x620y310

スタートとゴールまでの間は、だいたい50マスぐらい。これは、何度も遊んでいるうちに「これぐらいがちょうど良い」と思ったからです(ウチの子の場合)。特に何マス必要といったことはありませんので、お子さんが作りたいように作っても大丈夫です。

私が作って遊んでいた盤面のPDF(A3判)を以下に置きました。ダウンロードしてご自由にお使いください。A3用紙への印刷は、私はコンビニ等にあるネット印刷サービスを利用していました。

すごろく:A3+ジグザグ.pdf

続いて、カードを作ります。

カードになる紙を用意したら、内容を書いていきます。このカードは、サイコロを振って駒を進めた後に(必ず全員が)引くものなので、そのときの状況を想像しながら内容を考えると良いでしょう(下記の「遊び方」も参照してください)。

要するに、一般的なすごろくの「マス目に書かれているイベント」と同じものなので、大人であれば、以下のようなものは、すぐ思いつくでしょう(子どもと一緒に作るときは、「大人の答え」を先回りして言わないようにしましょう。子どもの「発見の喜び」を奪わないように)。

・1回休み
・xマスすすむ
・xマスもどる

同じ内容のカードが複数あっても構いません。用意するカードの枚数が少ないと何度もシャッフルすることになるので、(例えば上記の我が家の盤面で遊ぶ場合は)参加人数×5〜10枚以上、すなわち3人なら15枚〜30枚以上あると良いでしょう。

もちろんですが、カードの内容は工夫次第でいろんなバリエーションを作ることができます。お子さんと一緒に作りながら遊んでいるうちに、いろんなアイデアが出てくるはずです。その過程を楽しむのが、この自作すごろくのポイントです。この記事の後段に、バリエーションの「ヒント」を載せましたので参考にしてみてください。

遊び方

このすごろくは、何人でも遊べます。ちょうどいいのは、2人〜4人ぐらいでしょうか。

① すべての駒を「スタート」のマスに置きます。カードは、よく切って、すべてを1つの山に重ねておきます(内容が見えないように)。

② サイコロを振る順番を決めます。

③ 最初の人がサイコロを振り、出た目の数だけ駒を進めます。

④ 駒を進めたら、カードを山から1枚引いて、そこに書かれている内容に従います。引いたカードは、山に戻さず別にしておきます。

以降、順番に③、④を繰り返し、ゴールを目指します。カードがなくなったら、引いて別にしておいたカードをシャッフルして、また山にします。

⑤ ぴったりの数でゴールに止まったらあがりです。ぴったりの数にならないときは、余った数だけもどる方向に進みます(次のターンでは、またゴールに向かって駒を進めます)。

カードのヒント

このすごろくは、カードが面白さのポイントです。以下に、ウチの子や、その友だちとたくさん遊んだ結果、生み出されたカードのいくつかを「ヒント」として書いておきます。

30に移動
現在位置からの相対指定ではなく、「30」と書かれたマスに移動する絶対指定です(もちろん、30以外でも)。現在位置によってポジティブにも、ネガティブにもなります。

右へ移動(あるいは「左へ移動」)
その駒の進行方向に向かって1つ右のマスに移動する、というものです。これも自駒の位置によって、ポジティブにもネガティブにもなります。マス目がジグザグになってることで、このようなカードが面白くなります。

他のプレーヤーの駒と位置を交換
文字通り、駒の位置を交換するものです。「一番ゴールに近い駒と」「順番が1つ前のプレーヤーと」など、交換する対象もいろいろバリエーションが考えられます。このカード、劇的な展開になることがあり、お子さんが泣いたり拗ねたりする可能性がありますので、使う(入れる)場合はご注意を(笑)。

全員集合
このカードを引いた人の駒があるマスに、他のプレーヤーの駒をすべて移動させます。どんなに差が付いていても、これで一気にイーブンになります。これを思いついたときには意識してませんでしたが、おそらく桃鉄に影響を受けたと思われます。

条件付け
主に大人にハンデをつけるときに使えます。例えばネガティブなカードには「身長がxxくんより高い人は」「xx歳以上の人は」といった条件をつけたりします。あるいはポジティブなカードに「(駒の位置が)30を超えていなければ」という条件を付ければ、負けている人(ゴールから遠い駒)を救済することもできます。

お守りカード
このカードは、引いたときは使わず、手元に持っておきます。そして、次回以降にカードを引いて、そのカードの内容に従いたくないときが、このお守りカードの出番です。お守りカードを出せば、カードの内容に従わなくて済みます。使えるのは1回限り。お守りカードを増やしすぎると他のカードが実質無意味になってしまうので、ご利用はほどほどに。

ここに挙げた以外にも、無意味系(その場で校歌を歌う、など)、攻撃系(誰か一人を選んで、その人の駒を移動させる、など)といったものもありました。みんなでワイワイ言いながらカードを作り、遊んでみて、また思いついた内容でカードを増やし、それで遊んでみて……とやっていると、本当に時間を忘れて熱中してしまいます。

楽しむコツ

まずお勧めなのは、を自分の好きな物にすることです。好きなキャラクターの人形、ミニカー、お気に入りの消しゴム……などなど。サイコロを振って駒を進めるだけなのに、お気に入りのというだけで気持ちが盛り上がること請け合いです。

そして何と言っても、この自作すごろくの面白さのポイントは、カードです。どんなカードを作るか、ポジティブ、ネガティブをそれぞれ何枚ずつ入れるかでもゲームバランスは変わってきます。作って遊んで、遊んでは作る、というサイクル全体をいかに楽しめるか。そのとき、くれぐれもお願いしたいのは、繰り返しになりますが「子どもの発見の喜びを奪わない」です。大人が主導するのではなく、子どもが自分で作ったと思えるように、ぜひ上手にサポートしてあげましょう。

背景

私自身が子どもの頃、近所に住んでいたお兄さんが、画用紙にマス目を手描きした「すごろくゲーム」を作ってくれました。細かい部分は記憶の彼方なのですが、マス目の「イベント」がいろいろあって楽しく遊んだ記憶は鮮明に残っています。お兄さんに遊んだ感想を伝えると、しばらくして「新しいバージョン」を作ってくれました。そんなことが何回か繰り返され、私はその度に、お兄さんのアイデアに驚嘆しながら楽しく遊ばせてもらっていました。

時は流れ、ウチの息子が5歳ぐらい(?)のとき。きっかけはよく覚えてませんが、あるときからサイコロで遊ぶようになりました。最初は、サイコロを振って(何らかの)目が出るのが面白くて、それだけで遊んでましたが、それを見ていて、自分が子どもの頃に作ってもらって遊んだ「すごろく」を思い出しました。

最初は、マス目のイベントが何もないプリミティブなすごろくを作って、子どもとやってみました。しかし、そのときはまだ、ルールのある遊びを一定時間続けることが難しく、ちょっとやっただけでお蔵入りになりました。

その後、子どもが小学生になったぐらいで「そろそろルールがある遊びができるのでは?」と思い、再び簡単なすごろくを作ってみたところ、果たして楽しく遊べるようになっていました。それに気を良くして、気合いを入れたバージョンを作ってみたのですが、子どもの反応はイマイチでした。試行錯誤して何回か作ってみたのですが、そのとき、このトライ&エラーを楽にするために思いついたのが「駒を進めた後にカードを引く」という方式です。

盤面のマスに直接書くのではなく、カードにすることで、いくらでも追加したり、変更したりすることが可能になりました。さらに、私が作るだけでなく、カードを子どもと一緒に作ると楽しみが倍増することに気づきました。私が作って与えていたときは、ネガティブなカード(1回休みとか)があると子どもは泣いたり拗ねたりしてたのですが、カードの内容を子どもと一緒に作るようにしたら、子どもが自分で作ったネガティブなカードを自分で引いてゲラゲラ笑うようになりました。不思議なものです。

子どもの友だちが遊びにきたときも、すでに作って遊んでいるもの(=我が家バージョン)を使うよりも、改めてみんなでカードを作ってから遊んでいました。そのほうが断然、盛り上がるからです。ときには、カード作りが白熱して、すごろくとして遊ぶ時間のほうが短くなることもよくありました。

この自作すごろくは、マス目はどのような形でも遊べるのですが、我が家では、上記で紹介した「ジグザグ」が定番になりました。最初は、盤面を無駄なくマス目にする、ということを目指していて、必ずしもジグザグではなく、どちらかというと渦巻き状にすることが多かったと思います。カードを作って遊ぶようになってから、カードの内容をあれこれ考えているときに「そのときの駒がいる位置によってポジティブにもネガティブにもなる」ようなイベントを作れないかしら……と考えて行きついたのがジグザグです。直線を引いて等分してマス目にするだけなので、作るのが簡単というのも利点です。

私が息子と、この自作すごろくを遊んでいたのは、今から6、7年ぐらい前までです。その頃にも、どこかで発表してみんなに遊んでもらおうと思っていたのですが、忙しさにかまけているうちに書きそびれていました。そんなとき、若林さんのSNS投稿で「Maker Faire Kyoto Online」が開催され、誰でも参加できると知り、それじゃあと重い腰をようやくあげた次第。きっかけをいただいた若林さん、ありがとうございました!

// 初公開:2020年05月02日(土) 11:10


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