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早く辞めたい?! 米国内科レジデンシーの1年目を終えて

アメリカのレジデンシーはintense

Intern yearであるPGY1は雑用含む仕事量がどこのプログラムも多いです。ただそれをこなすだけであればまだ良いのですが、数時間あるattending round、1時間の昼カンファ、日によっては夕方にも1時間のレクチャーがあり、空き時間に全てのことをしないといけないので大変です。それよりも、患者の理解力やバックグラウンドの複雑さ、言語の壁(英語を話さない患者がそれなりに多い)が原因で時間を費やすことが多く、日本では経験できないストレスフルな事で体力的にも精神的にも疲弊してしまうことが稀ではありません。本当、早くレジデンシーを終えたいなと、、、笑 私がこう感じるのは、すでに全トレーニングを日本で終え、自分が将来何をしたいか分かっているからなのかもしれませんが。
もちろん、年から年中ずっと病棟勤務な訳ではありません。4週間のvacationや数ヶ月のElectiveも確保されていますし、私のいるプログラムは人数が多いこととプログラムディレクターがしっかりと管理しているので他のプログラムと比較しかなり恵まれてはいます。

私のようにすでに専門医である場合はフェローシップから始める道もない訳ではありませんが、specialty次第ではフェローシップからの開始はほぼ不可能です。また、フェローシップ後にABIMのspecial pathwayを通してboard certificationが取れるまでは就職先も限られます(基本的にはフェローシップをした所で残るのですが、残れない例ももちろんあり、その際は受け入れ先を探すのに苦労します)。そして最近知ったのですが、レジデンシーなしでboardが取れたとしても、例えば私の大学病院であればレジデンシーから全て終わらせている人を優先して取っているようで、レジデンシーから終わらせておくことに超したことはないと感じています。

役割がガラッと変わるPGY2

以前の記事でも述べたように、PGY2はマネージャーのような立場で仕事をします。雑用はグッと減りますが、その分インターン時にはなかった責任が伴います。チームの入院患者を全て把握し誰が退院できそうか、インターンの仕事に抜けがないか、必要時にはアテンディングにも連絡し、患者とチームの両方を管理しないといけません。教育者としてのロールもあるため、インターンはもちろんのこと、医学生への教育もしっかりしないと「悪い評価」が付けられてしまいます。本当、この「評価システム」が結構つらいです。

アカデミックに残りたい場合のフェローシップ準備

1年後には全ての書類準備を終え、フェローシップにアプライし始めていると考えると、レジデンシーマッチと同じく早め早めに計画を立てて準備していかないと強いアプリケーションにはならないなと感じています。いくつか学んだことがありますので共有しておきます。

(1)循環器やPCCM、GIといったcompetitiveな科へマッチした人が毎年いるプログラムに入るべき、というのはレジデンシー前から感じていましたが、本当にそう痛感しています。やはり毎年実績のあるプログラムは強いです。AMGしか入る事ができないトップ中のトッププログラムにいる人達は、「まあ一応研究してペーパー1枚書いておくか」というノリでどこにでもいけますが、そうでない場合はそれ相応の努力が必要で、かつその努力がきちんと実るようサポートしてくれるプログラムに入るのが理想です。そういったプログラムかどうかは毎年のフェローシップマッチ結果を見れば判断可能です。やはり、competitiveな科に数人アプライしたにも拘わらずマッチした人がいない又は1人しかマッチしない、といった実績のプログラムは避けるべきでしょう。
私のプログラムの場合はレジデンシーが始まる前からリサーチメンターが割り振られ、かつ過去数年にどのAttendingが誰とどういった研究をしたか、というデータも共有され、やる気があれば誰でもいつでもリサーチが可能です。結局は自分で努力してやり遂げることが1番重要な因子ですが、こういったサポートがあるかもレジデンシーマッチのインタビューで聞いてみるのが良いかもしれません。

(2)一方で、正直な所、結局はグリーンカードとコネが1番大事だなと感じています。論文がいくらあっても、ビザが必要であったり無名プログラムからのアプライであったりするとフェローシッププログラムはアプリケーションすら見ていない、ということが実際の話を聞いてみてよーく理解できました。competitiveな科に論文ゼロでアプライするのは論外ですが、一方で決して論文が多い人を欲している訳ではない、という点も周知しておく必要があります。なので私も今は誰とどういうコネを作り、誰からLORをもらうのが良いか、というのを考えている最中です。

(3)コネだけでなく、インタビュー中に実際どういった人かを判断し、一緒に仕事をしたいと思う人か、楽しい人かどうか、といった面をしっかり評価されているのも間違いないです。レジデンシー中は研究研究研究ではなく、いろいろな人とコミュニケーションをとって英語でも自分らしさを出せる練習、そして医学以外の話題でも対応できる幅広い知識を身につけておくことも重要なのではないかと感じている今日この頃です。

臨床留学の醍醐味はアテンディングになってから

Fellowshipから面白くなるのでは?と感じていましたが、全然のような気がしています。レジデンシーと同じく所詮トレーニングです。他科は分かりませんが、循環器のフェローシップトレーニングには多くの不満があり、日本で終えておいてよかったなと感じています。アテンディングになってから色々な面で大きなimprovementがあり、初めて臨床留学の醍醐味を味わえるようになると思うので、まだ何年もかかりますがレジデンシーもフェローシップも無心で乗り切りたいと思います。

PGY2の目標

(1)臨床業務は最低限の努力で乗り切る
(2)教育者としてのレベルを上げる(英語で上手に教育できるようになるにはそれ相応の場数を踏む必要あり)
(3)有用なコネ作り
(4)COVIDも終息してきたので休日は車で遠出

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