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USMLE Step2CS : ICE以外のコンポーネントを振り返る

前回記事では試験後の自己評価を紹介しました。今回はSEP、CISに関する内容やどういった試験対策をしたかなど、ICE以外の情報を共有します。

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試験当日の様子と時間配分

LA会場でしたが、IMGは多分4人。そのうち英語nativeは2人で、 non-nativeは自分含め2人のみ。11月に試験を受けたためかアウェイな印象でした。AMGは楽しそうな雰囲気です。見劣りするのは間違いないのですが、それにより点数が有意に変わることはないので気にする必要はないと思います。
AMGはdoorway informationを確認してから部屋に入るのが本当に早いです。日本人が日本語を見て瞬時に理解できるように、彼らも英語が一瞬で頭に入るので、informationを読むと言うより瞬時の確認という程度なのでしょう(日本人の場合は、本当に診察していい症例なのか「きちんと英語を読まない」と分からない)。必ず読みましょう。必ずです。私も「マジか!」と思うdoorway informationがありました。
AMGは人によりますが、blue sheetの上3分の1程度しか使用していない人もいました。語呂を使っていない人もいると思います。彼らが正しく診断できているかは不明ですが、メモをしなくても頭に残るからでしょう(直前に受講したKaplanのコースにAMGが1人いたのですが、情報量の差は歴然でした。特に会話が物を言う精神疾患症例では私が予想していた以上に大きな差がありましたので、結構ショックを受けました)。

全例15分以内に診察が終わり、全例時間内にPNを書き終えました。診察は2例だけ12分で終了しましたが、ほとんどが14分台で終了。10分の合図で診察を始めていなかった症例が1例(前回記事で紹介した、今でも診断が分からない症例です)。また、練習では毎回テンプレ質問を全部繰り出していたものの、sexual historyなどは空気を読んで全例で聞くことはしませんでした。
カウンセリングをしたのは3例くらいです。MRIとかCTとか、追加の説明が必要となる医学用語も使用していません。ほとんどの症例は「採血検査と画像検査します」くらいで済ませました。私の結果を見る限り、それで何も問題ないように思います。(よりspecificな検査を伝える場合は追加で説明した方が好ましいかもしれません。例えば、「甲状腺機能を調べます」と話した時は「甲状腺は首の前面にあるglandです」とか、「髄液検査する」なら「こんな感じで検査します」とか)

SEP

アメリカに研究留学して1年半経った頃に2CSを受験。2018年7月末からアメリカ人と同居していますが、約2年前に渡米してから半年くらいは発音矯正に通っていました。2CSを意識して始めたのではなく、日本人の英語は本当に伝わらないなと実感したためです。私自身、日本にいる時から英語での学会発表も何回もしましたし、英語のカンファレンスも毎週ありました。それとは別に2年以上マンツーマンの英会話を毎週行い、スカイプレッスンも半年以上追加でしていましたが、やはり「日本人の中で上手い」というレベルはアメリカでは全く役に立たないレベルでした。渡米後、発音矯正+英会話練習の必要性を痛感したことを今でも覚えています。今もまだまだ発展途上ですが、2CSのような台詞を覚える試験では大きな問題となりませんでした。後半で少し触れますが、PumaからもSEPは問題ないと評価を受けていましたので、言いにくい単語を念入りに練習するくらいでした。
本番で聞き直されたのは2回くらいです。その内の1つは「stress」という単語です。syllableが1つなのに「t」の後に母音が入っていたためと後で理解しました。
本番は緊張のためか口の中が乾いて話しにくかったことを覚えています。過度に分かりやすく話そうとすると逆に分かりにくくなるのは分かっていましたので、なるべく気にせず話しました。また、私は覚えた台詞以外の質問も結構繰り出しました。SEPが下がる可能性があるのでrisk takerと感じるかもしれませんが、1回のリスニングで英語がきちんと頭に残るレベルではないので、PNを充実させるためにその場の判断でいろいろと新規の質問をした感じです。「SEPを下げないためにICEを犠牲にする」のではなく、「SEPを多少なりとも犠牲にしてICEのポイントを取りに行った戦略」と言えるかもしれません。このさじ加減は個人の英語レベルに合わせて微調整する必要があるかと思います。

CIS

これはみんながやっていることをやっていれば問題になることはないと思います。一応気を付けて頂きたい事は、手を洗った後やsanitizerを使用した後、まだ濡れている手で絶対にSPを触らないこと。当たり前のことかもしれませんが、焦る気持ちもあるためか実際にあるようです。かなり厳しい減点だと思います。sanitizerは半分も出すとなかなか乾きませんので、4分の1くらいでいいです。半分は明らかに多いです。
細かいことですが、ガウンの紐をほどいた時は必ず自分で縛り直しました。その間に頭の中を整理し、スムーズなクロージングに繋がった症例がいくかあったように思います。

試験対策

11月上旬に受けた試験ですが、対策期間は正味1ヶ月強だと思います。スカイプでの練習相手としてLAに住んでいる中国人の受験生を見つけたのはいいのですが、旦那のサポートなしで1歳児を育てていた方で、夜9時以降でないとスカイプは無理。しかもよく子供の寝かしつけと一緒に自分も寝入ってしまう方だったので、結局FAの半分くらいしか一緒に練習できませんでした(笑)さすがにこれではいけないと思ってDr. Pumaの9日コースを急遽取り、初日にSEPとCISは問題ないとの評価をもらいました。Dr. Pumaのプロトコルのお陰でICEレベルもぐんと上がったように思います。私は日本でstaff physicianでしたし、より臨床に即したPumaのプロトコルはすんなりと頭に入って試験当日でも大活躍でした。結局残り半分のFA症例は1人で練習しました。
本番と同じ週の月曜から木曜はLAでKaplanのコースを受講しました。Pumaと全然異なる内容をKaplanは教えているようで、かなり焦りました。「今更スタイルを変えることはできないぞ」と。。。ちょうど同じコースを受講していた日本人研修医がいたのですが(将来的に循環器内科の道に進むらしい?!)、彼にも「Pumaのやり方で問題ないでしょう」と励まされ、結局挨拶やクロージングは少しだけKaplanスタイルを混ぜましたが、ほぼPumaのスタイルで行きました。今振り返って考えると、何か大きな有意差が生まれる訳ではないと思うので、PumaのスタイルでもKaplanのスタイルでもどちらでも合格できると思います。
ちなみに、月曜から木曜にKaplanを受講した後の翌日金曜日に本番を迎える日程はかなりタイトなのでお勧めしません(笑)

PumaとKaplanのコースを受講して感じたこと

Pumaはインド人の先生ですがインドなまりはほぼなく、とても分かりやすい英語を話される方です。上述の通りprotocolも大変役に立ちましたし、「これなら合格レベル」とこれまでの彼の経験に基づいて評価してくれるので、試験前に自分のレベルをある程度把握できることもPumaのコースのいいところでしょう。ちなみに、私はPumaから女性を呼ぶ時はすべて「Missでいい」と教わったのですが、Kaplanに来ていた女性AMGに聞くと、既婚か未婚か分からない時はぜっっっっったいに「Ms.」と念を押されました。試験直前にPumaスタイルを変えた1つの例です。
KaplanコースはSPを診察できるという意味で本当にお勧めです。実際に演技をしているプロのSPを1度でも診察して慣れておくことは必須だと思いました。模擬試験の結果は全部黄色で、延期した方がいいと言われましたが、翌日本番の試験を受けて無事合格しています。
本番のSPよりKaplanのSPの方が演技が上手いと思いました。本番はよりnaturalな印象だったものの、質問しまくっていると「こいつどれだけ質問するんや」という表情をちらつかせたり、悪い意味で何かと表情に出てしまっているSPが数人いました。

(2019年5月追記:私の友人に、本当にPumaからの情報だけを信じ、Kaplanや日本語ブログなども一切参考せずに試験に臨んだ方が今年います。結果はどの項目もボーダーラインに引っかかることなく1発合格。本当にPuma以外何も参考にしていません。いろいろな流派を混ぜて極めようとしなくても、みんなができることを自分も最低限できれば、どの流派でも合格できるということだと思います。)

その他気になった点

噂通りドレープは全員されていました。
会場をどこにするか気にされている方もいると思います。私は南部なまりの英語だけは絶対に絶対に嫌だったので、無難にLA会場を選択しています(自分自身がカリフォルニアに住んでいるということが1番の理由ですが)。
Challenging questionはほとんどテンプレで答えることができるのですが、アドリブ好きなところが出てしまい、自分の言葉で回答してしまった症例が数例ありました。無駄なことなので、SEPを下げるリスクを冒す必要はないと思います。
Kaplanは寒いので必ず上着を持って行きましょう。本番の部屋は最初寒いと感じましたが、途中暑い時もあり、無難な格好でいいと思います。スーツのジャケットを着ている人はいません。ネクタイをしていない男性は半数程いました。なぜか赤地に白花のシャツを着た医学生もいました 笑

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私が共有できることはこれくらいでしょうか。私も日本語のブログを参考にさせて頂きましたし、情報共有して下さったUSMLEの先輩方には大変感謝しております。

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