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米国内科レジデンシーを半年終えて

時間が経つのが早いもので、レジデンシーを始めてからすでに半年が経ちました。この半年間で気付いた点や学んだ点をいくつかまとめておきます。

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先輩レジデント恐るべし

ICUから始まったレジデンシー。手技の同意書取得はもちろんのこと、家族への病状説明やGOC (goal of care)のdiscussionなどもバリバリこなすPGY2−3には本当に驚きました。近い将来自分も英語でしないといけないと考えるとかなり敷居が高いです。
そして内科病棟で行われるsocial workerやcare managerとの毎日のカンファも先輩レジデントが指揮を執り、誰が退院可能か、home health aidのreinstateがいるか、自宅までのtransportationがいるかなど全て事前に把握し、効率よく退院させてないと患者で溢れかえってしまいます。PGY1は雑用が多く忙しいですが、責任は少ないのでそういう意味ではPGY1はかなり楽で、責任がぐっと増えるPGY2-3になるのが恐い、というのが私の素直な意見です。

アメリカの評価システムがレジデントを育てる

私のプログラムは良くも悪くも評価システムが結構厳しく、何を求められているかハッキリしているのもあって、頭が良い先輩レジデントが本当に多いです。彼らの知識の多さには感心します。一方で、アメリカのシステムでは手技を行う機会が少ないのもあって手技はうまくならないと実感しています。つまり、技術面で評価されることはなく、知識面でしか自分の評価を上げることができません(例えば、central lineの挿入がうまいから良いレジデント、とはならず、知識が豊富で、うまくその知識をチームに共有し、患者ケアのdecision makingに貢献するレジデントは高く評価される)
レジデントが賢いとアテンディングも変なことを言ってられないので、アテンディングも更に踏み入った内容を共有してくれることが多いです。
ただ、某プログラム出身の友人にこの話をした時に「賢いと思う先輩はいなかった」と言われました。賢いレジデントがいるかは、どれくらい厳しく評価されているかで左右されるのかもしれません。

1年目の内科レジデントで全米1位の成績を獲得!

レジデントになるまで知りませんでしたが、アメリカ中の内科レジデントがACP主催のInternal Medicine In-Training Examination(ITE)を毎年受けます。USMLEみたいな感じですが内科の内容のみで、朝から夕方まで試験を受けないといけません。同じ学年の中で何パーセンタイルかというのが知らされます。内科の認定医試験の合格とうまくcorrelateしているようで、私のプログラムでは成績が悪かった人は居残りの講義を受ける必要があると聞きました。
なんと、そのITEで100%パーセンタイルという結果が返ってきました。全米の内科PGY1の中で1位という結果が私のプログラムで初だったようで、プログラムディレクターからはかなり高く評価して頂きました。来年もITEを受けますが、さすがに100%パーセンタイルは無理だと思うので、せめて90%パーセンタイル以上のスコアが取れればなと思っています。

「日本人は発音の癖が強いからインタビューに呼ばない」

先日あったプログラムディレクターとの面談で言われた言葉です。
私自身、まだ英語が完璧でないので、自己評価表に英語の懸念点について少し記載していました。プログラムディレクターからは心配入らないと言われましたが、その時に日本人applicantの話になり、「去年のインタビューで私の英語が良かったから高くランキングした」と言って頂きました。どうも私以前に日本人のレジデントを受け入れたことがなかった理由は「日本人の英語の発音」が原因だそうで、基本日本人というだけで私のプログラムはインタビューに呼んでいない雰囲気を受けました。USMLE 2CSでは英語の評価がきちんとなされていない事実を知っているプログラムディレクターはやはりインタビューでしっかり英語を評価しているのは間違いなさそうです。残念ながら、今年は日本人applicantとのインタビューはないと言っていました。
アメリカの研修医生活は電話電話の日々ですし、通訳を介しての診療も本当に多いです。レジデンシーを始めてから特に正しく発音することの大事さを感じています。

Summary

システムにも慣れ、研修医としてfunctionalになった半年でした。循環器内科医・インタベ医だった私が求められていることは他の研修医が求められていることと少し違う事がなんとなく分かってきたので、残りの半年は謙虚さを保ったままうまく発言を増やしていきたいと考えています。PGY1が終わる頃にまた振り返ってみたいと思います。

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