血圧と認知症発症リスクの関係

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=17707755

PMID: 17707755


⌘ 私的背景

降圧薬の使用により過度の血圧低下が起こることがある。特に高齢者と呼ばれる患者群においては、目眩やふらつきにより転倒を引き起こす一因である。論文検索していて自分にとって役立ちそうな情報をまとめていこうと思う。ちなみに、この論文は西伊豆健育病院の仲田和正先生著「トップジャーナルから学ぶ 総合診療アップデート」にも取り上げられていた。

今回は本論文にいくつかあるセクションのうち「認知症」との関係について以下に抜粋する。


⌘ 認知症および認知機能障害

高血圧症は認知症のリスクを高める(PMID:20409843, PMID::17283254)。

この知見は血管性認知症にとって予期しないことではないが、高血圧症もまたアルツハイマー型認知症の危険因子である。しかしながら慢性低血圧症も認知症のリスク増加であり、一部の研究では血圧と認知症のリスクとの間に U字型の曲線が記録されている(PMID:8608286, PMID:9952204)。

この明らかな相違を説明できるであろう共通点は、脳血流の低灌流である。

抗高血圧治療は、認知症の発症リスクを減少させる可能性があるが、すべての降圧薬がこの点で同等ではない。 Syst-Eur 試験の長期追跡調査において、8年間のフォローアップ後の認知症発症リスクは、プラセボと比較してニトレンジピン群で 55%低かった(PMID:12374512)。

一方、SHEP研究において、クロルタリドンは認知機能に影響を及ぼさなかった。 SCOPEでは、カンデサルタン群と対照群の間の精神状態精査スコアに差は認められなかったが(PMID:12714861)、高齢者を対照としたサブ研究において、いくつかのベネフィットが示唆された(PMID:10855739)。

2つの小規模研究において、バルサルタン(vs. エナラプリル)およびロサルタン(vs. アテノロール)は、それぞれの対照と比べ認知機能を向上させることが示されている(PMID:14747881, PMID:14578918)。

PROGRESS trialのサブ研究では、脳卒中患者において、インダパミドおよびペリンドプリル併用による血圧低下が白質重篤度を低下させた(PMID:16145004)。

Hanonらは、横断研究において、抗高血圧薬、特にカルシウムチャネル遮断薬を投与されている高齢患者の認知機能の改善を報告した(Hanon O, Rigaud AS, Seux ML, et al. Effect of antihypertensive treatment on cognitive functions. J Hypertens 2003; 24: 2101–07.)。

上記の薬剤クラスによる認知症発症のリスク減少は、ニューロンにおける過剰な細胞内遊離カルシウムの減少と関連しており、これはアルツハイマー型認知症患者において起こると思われる。上記の研究から得られた知見は説得力があるものの、仮説生成のみであり、この問題の大きさを考慮し、緊急性の問題としてさらに検討すべきである。


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