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~失ったものはかえってこない~ サンクコストにご用心!

お金を払って入った映画館。見た映画が開始10分でどう考えてもつまらない、見る価値ないということに気づいてしまった。そんな時あなたはその映画を見続けますか?それとも席を立ちますか?

1.サンクコストとは?

サンクコストは

投資、生産、消費などの経済行為に投じた固定費のうち、その経済行為を途中で中止、撤退、白紙にしたとしても、回収できない費用

https://kotobank.jp/word/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%82%B3%E3%82%B9%E3%83%88-513229

とあります。

もう少し広く考えると、「すでに支払ってしまってもう戻ってこないモノ(費用)」という意味になります。

世の中にはこのサンクコストがあふれています。例えば試合を見るために先に払ったチケット代、新たなビジネスのためにすでに投じた資金もそうですし、行列に並んだ時間などもたとえ取り返そうと思っても戻ってこないモノたちですよね。

覆水盆に返らず」という言葉がありますよね。「お盆からこぼれた水をお盆にもどすことはできない」、つまり「一度起きてしまったことは二度と元には戻らない」という意味です。このこぼれてしまった水はまさにサンクコストを表していますね…。

2.失ったものは戻ってこないのに… サンクコスト効果

しかし、人間はこのサンクコストを「せっかく支払ったのだから」と高く評価してしまう傾向があると言われています。これを「サンクコスト効果」と呼びます。

最初に例として挙げた映画館でのことを考えてみて下さい。

たとえば今あなたはせっかくの休日に映画鑑賞にと映画館を訪れています。そこで2000円を払って特に予告やCMを見たわけではないけど気に留まった作品を鑑賞することにしましたがこれが大失敗。開始10分でこの作品はどう転んでもつまんないと気づいてしまいました。しかも周りを見渡すと同じようにつまらなさに落胆した人が多くいました。

さてここであなたであればどうしますか?選択肢は2つです。

B.      せっかく2000円もお金も払ったので、つまらない映画だろうけどあと1時間50分見てみよう

さてあなたはどちらを選びますか?

勘の鋭い方はB.の選択をした人はこのサンクコスト効果が働いているということに気づいたのではないでしょうか。B.の選択肢を選んだ方の多くは「このままでは失ったお金がもったいない」という気持ちが働いているはずです。

ではここで視点を変えてみましょう。この選択肢A.とB.を選んだ時に得られるものがなにか考えてみましょう。

もしA.を選んでいたら、映画を途中で切り上げたことで自由に過ごす休日の1時間50分を得られますよね。

一方B.を選んでいたらどうでしょうか。A.で得られたはずの自由な1時間50分はつまらない映画を暗い映画館の中で見るだけの時間になります。そして本来映画を見て得たかったはずの「あー面白かった」という感情はこの映画からは得られなさそうということが確定しています。

ちなみにお分かりかと思いますが、どちらの選択肢を取ったとしても払った2000円は返ってきません。

あれ?A.選んだ方が良くない?そう思ったのではないでしょうか。

そうなんです、映画がつまらないと思ったらせっかくだしと見続けるよりはさっさと映画館を出てしまった方が得られるものは多いはずなのです。にもかかわらず、さっき払った2000円を考えてB.の選択肢を選んでしまう、その2000円は戻ってこないにも関わらずです。そう、これがサンクコスト効果です。

3.企業だってサンクコスト効果には騙される

かつて、コンコルドという超音速の旅客飛行機を開発しようとした企業がありました。実現すれば今までの飛行機よりも格段に速く移動ができる画期的な乗り物…なはずでした。しかし開発資金を投じて開発が進んでいくさなか、とんでもないことが発覚しました。そう、どんなに投資しても今すぐ開発を中止した方がマシなレベルで利益が出ないことが分かったのです。そんなときこの企業はどうしたでしょうか?

もしここまで読んでいただいた方ならお分かりかもしれませんが、このタイミングで開発は中止すべきでした。にも拘わらずこの企業は開発継続してしまいました。

その結果、利益が出ないと分かったタイミングで中止した場合よりも大きな損失を出してしまったのです。

まさにこの企業も「今中止したら今までのものがもったいない」というサンクコスト効果に引っかかってしまったというわけです。

4.         後ろを振り返らず前を向いてこそ未来が開ける

最後に、そんなサンクコスト効果に騙されないためにはどうすればいいかを紹介します。それは振り返らずただこの先の未来を見ることです。

なんかかっこよく言ってますが、失って戻らないものに目を向けても意味がないのです。つまらない映画を見ても失った2000円はもどらないから今から得られるものはなんだろう、数兆円投資しても利益があげられないと分かったのだから、その開発は中止しようというように前を見据えましょう。

このように今から得られるものが一番大きい選択肢はどれだ?を考え続けていればサンクコスト効果に騙されることもなくなるでしょう。


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