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細密動物画家の主張

どうして細密を名乗っているのか?

理由は簡単です。
写真模写をしておらず、世の中で固定観念となっている絵画の適正鑑賞距離(このくらいの作品は◯m離れて鑑賞しましょう。などの目安)といった常識を破壊したいため、至近距離で見ても、何なら虫眼鏡を覗いても楽しめるよう、細密にこだわった制作を行なっているため、細密動物画家を名乗っています。

実際、私の展示では離れて鑑賞する方もいれば、虫眼鏡を使った超至近距離の方もいます。しかも、この作品は離れて・・・ではなく、全作品で遠近入り乱れているところが特徴です。

細密画を描き始めたのは意外と古く、世のテレビがフルHDから4Kに変わり始めた頃に遡ります。当時はテレビの高さ×3倍が適切で、それより短いと目に悪いと言われていたのが、4Kの登場によってテレビの高さ×1.5倍までなら大丈夫と変化しました。これが将来的に8Kになったら、さらに短縮するようです。
画素密度が上がることで、離れて見なくても近距離で迫力を楽しめるようになるわけです。
それと同じで、絵も高密度なら近距離で迫力を味わえるはず。
大きな作品を大きな部屋に飾るのは日本の住宅事情から困難なら、適正解はこちらでは?と、考えたことが始まりです。
それが今から7〜8年前のことです。

技法的な特徴は?

擦らない
まず「擦らない」は特徴的かもしれません。
擦筆や綿棒、布で擦る人はたくさんいますが、擦らない人はあまり見ません。
擦る理由は「簡単にグラデーションを作るため」ですが、その結果、細かな描き込みが消えてしまいます。
細かさを重視する私には「擦る」という選択肢はありません。

鉛筆という画材の限界は甘受する
たまにもっと濃い、黒が強い鉛筆が欲しいと言ってる方がいます。
鉛筆の黒は黒鉛の色ですので、黒鉛の限界を超える黒はありません。
もう少し言うと、強い黒が欲しい理由が絵のコントラストを上げたいからだとしたら鉛筆にこだわる必要はありません。
インクやアクリル絵の具の方が断然黒く、マットな質感も簡単に表現出来ます。
鉛筆はグレーのトーンで表現するため、グレーを超えたければちゃんとした黒を使いましょう。という至極簡単な解決方法を選んでいます。

色鉛筆は使わない
私の感覚としてですが、鉛筆と色鉛筆は形状が似てるだけで画材としてのベクトルはかなりの違いがあると感じています。
鉛筆は粒子で描くため乾いており、色鉛筆はオイルなどで顔料を固めているため湿っている。
しかも、それが同じように紙に染み込むことなく、表面に乗っている状態です。
どちらか一方しか使わない。が正解でしょう。

紙にこだわる
ケント紙はたしかに表面が硬くツルツルで鉛筆との相性が良い紙です。
細かな描き込みもできる上、消しゴムだって使えてスッキリ消えます。
しかしその反面、紙肌が単調すぎて風合いに面白みがなく、水彩の色乗りもよくありません。
水彩紙は風合いもあり色乗りも良いですが、紙が柔らかく鉛筆跡が残るため、消しゴムではまともに消えませんし擦ると毛羽立ちます。
消しゴムが使えることとトレードオフですから、消しゴム使わずに作品制作が出来るのなら水彩紙の方がメリットが多いです。

色は透明水彩を使う
色鉛筆を使わないなら何を使うか?
水彩紙にちゃんと染み込んで定着する画材です。私は透明水彩を使用してますが、アクリル絵の具を水彩技法で使うのもアリです。
でもあえて水彩なのは、私なりの理由があります。
実は絵の具を極少量しか使用せず、同じような色を違う作品でも使いたい場合に何度でも水戻し出来る透明水彩が便利だからというズボラな理由が2割です。
残り8割は色の優しさというか、多数の混色で濁らせて使う場合が多く、濁った色の落ち着きが透明水彩の方が好きだからです。

模写はしない
これは技法ではなく、こだわりといった方が正しいですね。
自分の作品だと胸を張って言い切れるように模写はしません。
描いたのはあなただから、あなたの作品では?と思うかもしれませんが、ネットのフリー素材を元に制作した場合など、構図やモチーフの選び方など全てが写真家が作り上げた作品と言えます。
他人の作品を模写しても画家の作品とは呼べませんし、何より、私はコピー機ではありませんから。


これらを念頭に、原画を見て頂けると少し見方が変わってくるかもしれません。
そして今挙げた技法はどんどん変化しています。
同じことをずっと続けるのが苦手な私にとって「そろそろ作風を固定しなさい」というギャラリーのアドバイスは素直に受け取りづらく、変化し続けることが私の作風だと逆手に取った言い訳をかましている状況です。きっと、納得いく作品が仕上がった時、画風も技法も固まるんでしょうね。

というわけで、最後までお読みいただきありがとうございます^^

※ 2024/9/30 AMまで個展開催中です。

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