Olympus Pro ドキュメントの意訳

Olympus Pro - Learn More
https://docs.olympusdao.finance/pro

はじめに

DeFiプロトコルが独自の流動性を獲得するための新しい業界標準のプラットフォーム。

●概要

 Olympus Proは、プロトコルが独自の流動性を獲得するための新しい業界標準のプラットフォームです。プロトコルはもはや、流動性を借りるために高いインセンティブを支払う必要はなく、また、取引を促進するために流動性の永続性を保証することができます。

オリンパス・プロは、少額の手数料でボンドをサービスとして提供することで、流動性の問題を解決します。

 ユーザーは、LP(流動性提供者)トークンをプール2のファーミング報酬のためにステークする代わりに、LPトークンをプロトコルのガバナンストークンと割引価格で交換することができます。これは「ボンディング」と呼ばれるプロセスによって行われます。プロトコルはこれらのLPトークンを販売することはないため、流動性は実質的にその基金にロックされています。

●流動性問題101

 今日、プロトコルは、流動性提供者にインセンティブを与えるために、トークン供給量の大きな割合を犠牲にしています。これは、プロトコルの持続可能性に以下のようなマイナスの影響を与えます。

1. 強い売り圧力
 インフレーションによるトークンの放出は、ファームトークンの売り圧力を高める短期的な行動をインセンティブとします。投機的な動機で参加している流動性提供者は、投資を回収するためにたびたび報酬を売却します。タイムロックステーキング(売買までの時間制限を定めたステーキング)などが対策として打ち出されていますが、これは短期的なトークンの売却という中核問題を解決できず、単に流動性の消耗を長引かせるだけに過ぎません。

2. プロトコルとLPの間の目標の不一致
 LPはプロトコルの成功を強く信じるのではなく、高い報酬率によってインセンティブを得ています。それゆえ、LPの報酬が尽きると、LPは資本を取り除いて次の機会に移ります。

ローンチと同時にエントリーしたイールドファーマーの42%が24時間以内に撤退しています。48時間以内に退出するのは約16%で、3日目には70%のユーザーが契約を撤回していることになる。
出典: Analysis of MasterChef from Nansen.ai

3. インパーマネント・ロス(IL)
 プロトコルが成功すると、そのネイティブトークンの価格が上昇し、流動性提供者に損失の可能性をもたらします。この矛盾は、たとえ長期的なプロトコルの支持者であっても、長期的な流動性提供の意欲を失わせます。

4: バイヤー・オブ・ラスト・リゾートがない
 市場の暴落時や先行きの不安定感が高い時期には、流動性提供者は市場の状態を警戒してプールから流動性を取り除く傾向があります。しかし、プロトコルは本来、そんな時こそ流動性を必要としているのです。

●Olympus Pro for Protocolsのメリット

 オリンパス・プロが従来の流動性の維持に対するアプローチよりも優れている理由は?

1. プロトコルは、報酬目当ての(傭兵のような)流動性提供者に頼るのではなく、流動性を自ら所有するようになります。これにより、流動性の永続性が確保され、プロトコルとそのユーザーに安定性が提供されるようになります。

2. これは市場のあり方の変化につながります。プール2では、流動性提供者はファーミング報酬を得られて当然と考えており、なおかつ流動性の提供を自由にスタート・ストップできるため、そもそもの目的がプロトコルと一致していません。ボンドでは、ユーザーはプロトコルの成功に貢献するというインセンティブを(割引されたトークンを通じて)得られます。

3. より多くの流動性が蓄積されると、プールはより大きな取引をサポートし、価格の安定と流動性の大量流出からの保護を保証することができます。これにより、価格が健全な値動きを示すことになるため、長期保有者を惹きつけることができます。

4. プロトコルは、自らが流動性の提供者となることで、流動性手数料を獲得し、それ自体が新たな収益源となります。

5. オリンパス・プロとのパートナーシップにより、プロトコルのボンドは、ボンドの統合市場であるオリンパス・プロXに掲載され、露出度が高まります。

6. プロトコルは、市場に関する専門知識を提供し、導入から保守までの成功を保証する、経験豊富なポリシーチームとエンジニアリングチームを利用できます。

●オリンパス・プロのコミュニティへのメリット

 コミュニティはプロトコルの持続性に重要な役割を果たします。オリンパス・プロは次のメリットをコミュニティに提供します。

1.割引されたトークンを購入する機会
 長期保有者は、より多くのトークンを手に入れるために価格変動を予測する必要はありません。ボンドを通じて、LPトークンを自分が選んだプロトコルに供給し、そのネイティブトークンを割安な価格で購入することができます。これは、トークン保有者とプロトコルの双方にとってWin-Winとなる構造です。

2.インパーマネント・ロスにさらされない
 長期保有者は、インパーマネント・ロスを被ることになるため、流動性を提供するインセンティブがありません。この損失をプロトコルに転嫁することで、LPとプロトコルの両方がよりよく調和します。

3.流動性の確保に対する信頼性
 コミュニティは、流動性がプロトコル内に恒久的に存在し、ユーザーがトークンを取引するための十分な流動性が確保されていることを確信できます。

●オリンパス DeFiの先駆的なPOL

 オリンパスは、ボンド・メカニズムを介してprotocol owned liquidity (POL) の概念を導入しました。5ヶ月の間に、Olympusは2つの主要取引プールの流動性の超過半数(+99.7%)を獲得しました。その結果、OHM-DAIプールは、Sushiswapエコシステム内で13番目に大きなプールとなり、±2%のスリッページは75万ドルに達しています(9月15日現在)。
 最も興味深いのは、蓄積された流動性が生産的な資産としても機能していることです。オリンパスは、半年足らずの間に流動性提供の手数料だけで300万ドル以上を生み出しました。


Getting Started

開発者向け記事につき割愛


ボンディング

お気に入りのDeFiトークンを、別のアセットで割引価格で購入することができます。(bond=債券:転じて債券発行の意味?)

●ボンディングとは

 ボンディングとは、ユーザーがあるプロトコルに資産を売却することで、そのプロトコルのネイティブトークンと交換できる仕組みのことです。

 ユーザーが市場ではなくプロトコルに売却することにインセンティブを与えるため、ボンドは割引価格で提供されます。また、ボンドには権利確定期間があり、ユーザーが割引価格で手に入れたトークンを一度に売って手っ取り早く利益を得ることを防ぎます。
 ボンドの価格は、ボンドの需要と供給によって決まります。需要が多ければ価格も高い傾向にあります。そのため、ボンディングは非常に競争の激しい空間となっており、ボンダーは最大の割引を獲得するために互いに競い合います。
 ボンドの価格は、BCV(Bond Control Variable)によってもコントロールできます。BCVは、ボンドのキャパシティを調整するためにポリシーチームが設定するパラメータです。BCVが増加すると、ボンド価格が上昇し、その結果、ボンドのキャパシティが小さくなります。
 先に述べたように、ボンドは一定期間(デフォルトでは5日間)にわたって線形権利化され、裁定取引(アービトラージ)による売り圧力を軽減します。

●ボンディングのメリットは?

 ボンディングは、プロトコルが独自の流動性を蓄積することを可能にする。

・Protocol Owned Liquidity (POL)は、通常の市場運営に十分な流動性が常に存在することをユーザーに保証します。他のプロトコルでは、(トークン価値の低下などによって)資産の取り付け騒ぎが発生した場合、流動性がプロトコルから引き抜かれることが多く、そうなれば低くなった流動性によって状況をより悪化させることになります。

・POLは、流動性を負債から収益源に変えます。プール内のすべての取引は、0.3%/0.25%(Uniswap/Sushiswap)の手数料をLPに拠出します。流動性は恒久的に基金に固定されるため、これらの手数料はプロトコルの一定の収益源となります。

・POLはさらなるイールドファーミングの機会を提供します。例えば、SushiswapはOnsenプログラムを提供しており、プロトコルはSUSHI報酬のために自分の流動性ペアを上場させることができます。上場に成功すると、プロトコルはSLPトークンをOnsenメニューに預け、SUSHIトークンをファームすることができます。


ボンドマーケットプレイス

UIの使用方法の説明のため割愛


FAQ

Q. なぜOlympus Proを使うのか?
A. お気に入りのDeFiトークンを割引価格で購入することができます。そして、その過程でプロトコルが流動性を蓄積することに貢献することになります。つまり、Olympus Proの利用はあなたの目標とプロトコルの目標を一致させることができます。

Q. Olympus ProとOlympusDAOの関係は?
A. Olympus Proは、OlympusDAOが提供するサービスです。OlympusDAOは、ボンドメカニズムを設定する際のインフラ、専門知識、他のプロトコルへの露出を、手数料と引き換えに提供します。

Q. $OHMはOlympus Proボンドから受け取るの?
A. Olympus Proボンドから$OHMを受け取ることはありません。その代わりに、プロトコルが提供するネイティブガバナンストークンを得ることができます。例えば、プロトコルXでは、$OHMではなく$Xのボンドが報酬となります。

Q.Bond ROI(Return on Investment)がマイナスなのはなぜ?
A. 時には、ボンドの割引率がマイナスになることがありますが、これはボンドをするために市場からプレミアムを支払うことを意味しています。この間は、市場で同じトークンを安く買えるので、ボンドはやめておきましょう。時間が経つにつれ、割引率は徐々に増加し、再びプラスの割引率になります。マイナスのディスカウントは、さまざまな要因で発生します。

要因1:ボンドの需要が高いこと
ボンドは、ユーザーがトークンを市場の割引価格で購入できる機能を提供します。しかし、この価格はボンドの需要に左右されます。需要が多ければボンドの価格は上がり、逆もまた然りです。需要が高すぎると、ボンドの価格が市場価格よりも膨らむ可能性があります。

要因2:価格の急激な下落
トークンの価格が急激に下落した場合、ボンドの価格が新しいトークンの価格に一致するまでに時間がかかります。この場合、ボンドの価格が再び市場価格と一致するまで、一時的にマイナスの割引が発生します。

Q.ボンドの価格・割引率はどうやって決まるの?
ボンドの割引額は以下の計算式で求められます。

 ボンド割引率 = (市場価格 - ボンド価格) ÷ 市場価格

ボンド価格は、システムの負債比率と、ボンド制御変数(BCV)と呼ばれるスケーリング変数によって決定されます。これにより、ボンド価格の上昇率をコントロールすることができます。なお、ボンド価格の決定には、プライスオラクルからのデータは使用されないため、ボンド価格は市場価格から独立しています。

 ボンド価格 = 負債比率 × ボンド制御変数

負債比率とは、プロトコルがボンド保有者(ボンダー)に負っている報酬トークンの量を、報酬トークンの総供給量で割ったものです。負債比率が高いほど、ボンドに対する需要が大きいことを意味し、その分ボンド価格が高くなり、その逆もまた然りです。

 負債比率 = ボンダーのトークン量 ÷ トークン総供給量

Q. トークンがお得に購入できるのは良いことだと思いますが、ちょっと話がウマすぎない?
A. ボンドで購入したトークンは、一度にボンダーにリリースされるわけではありません。時間の経過とともに徐々にに権利が確定していきます。これにより、ボンダーは自分のトークンを一度に売って素早く利益を得ることができません。

Q. 調整可能なパラメータは何ですか?
BCV
BCVはボンド価格に直接影響し、BCVが高いほどボンド価格が高くなります。ボンド価格が高くなるとボンドの魅力が減少するため、プロトコルではこの値を調整してボンドのキャパシティを調整することができます。

最大ボンドサイズ
ユーザーがボンドで購入できるリワードトークンの最大量を制御します。これは総供給量に対するパーセンテージとして設定され、通常は総供給量の0.03%~0.05%の範囲となります。

ボンドの権利確定期間
ボンドは、ボンドの権利確定期間と呼ばれる一定の期間をかけて徐々に支払われます。つまり、ボンダーは毎日リワードトークンの一部を請求することができ、期間終了時にはすべてのリワードを請求することができます。


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