お向かいのパパのこと

朝からお向かいの3番目の男の子が自転車の練習中。コロナ禍に生まれた子だから、3歳になるか? つきっきりで教えているガテン系のパパの声が響く。そうか、世の中は3連休なのだ。「足、足」とか、「とまれ」とか、ほほえましいのだが…、このパパ、とにかく声がデカイ。
さすがに朝5時6時に仕事に出掛けるときには無言だが、それでもワゴン車にエンジンをかける音と、ドアーを思いっきりバターンと閉める圧で、目の前のわが家は揺れる気がする。夕方仕事を終えて帰ってくると、辺り構わず大きな声で「おーい」「かえったぞー」。天真爛漫なパパなのだ。
夏になると大きなビニールプールを駐車場に広げ、近所中の子も一緒に遊ばせていたが、当然賑やかになる。特にパパが子どもたちを仕切る声がうるさいと苦情が出たそう。「もうプールは止めました…」と、ママが小さな声で言った。
男ばかり4人の子がいるのだから、賑やかなのは当たり前。あーわが家もきっとうるさかったんだろうな、子育て時代に住んでいた集合住宅でよく文句が出なかったなあ、それとも言われていたのか…と、今更ながら顔が赤くなる思いがする。
今どきのような丁寧な子育てはしてこなかった。自転車の練習は多摩川の土手に何回か通った気がするが、次男や三男に至っては、親が教えなくてもいつの間にか補助輪無しで乗れるようになっていた。雑な子育てだった。
賑やかなお向かいさんも、小学生になった上の2人の顔はほとんどみなくなった。放課後も、休みの日もサッカー、サッカー。パパの声がうるさいくらいに響き渡るのも、ほんの数年のことだ。あたたかく見守ってあげればいい…。

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