ほぼ月に一度、2つ違いの妹が泊りに来る。もう10年以上も前に倒れた旦那を介護し続けている妹。私とは外見も性格も真反対、根は勝ち気で負けず嫌いな彼女だが、いやそういう強い性格だからこそ、ひたすら立派な主婦、いい母親像を自分の役目として演じてきた。半身不随で車椅子生活の旦那の下の世話も、黙々とこなしているが、これほどまで長く続けば本音は苦しいはず。何年も前から、会うたびに私に愚痴を吐き出す。
30半ばに、我慢しない、自分らしく生きようと決めた私。妹にはできるだけラクをしてもらいたいと思って、つい、「もっとヘルパーさんに来てもらえば」とか「デイサービスの回数、施設にお泊りの日を増やせばいいのに」などと言って、妹を怒らせてしまう。彼女は専門家の手を借りることが、なぜかできない、できない理由をあれこれ用意する。家のことはまず自分がきちんとやると決めているらしい。例えば、訪問医療のようなシステムを提案しても、他人が家に入ることじたいに抵抗があるらしい。まず掃除してからと思うと気が重いとか、旦那の機嫌を損なわないように気にいるように黙ってやった方が早いと…。あまり強く言っても言い争いになるばかりだから、ただ聞くだけにしてきた。
何年もかかってやっと、月に一、二度、ショートステイを利用するようになったのだ。旦那がいない日、はじめは一緒に外食していたが、ここ半年ほどは、わが家で、夜長お酒を飲んで食べて、ダラダラするようになった。昔のこと、親のこと、話せば話すほど、同じイベントなのに覚えていること、感じていたことが全く異なる。妹の人生、私の人生、同じ時代に同じ空間で育まれた2人の女は、正反対の道を歩いてきた。1人で気ままに生きているように見える私はさんざん批判されてきたが、少なくとも私は、彼女の生きざまを認めている。人生って面白い。


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