能勢吉行

ハッキングハラスメントの実体験について綴ります。 投稿担当のコメントには @代理 と…

能勢吉行

ハッキングハラスメントの実体験について綴ります。 投稿担当のコメントには @代理 と付けます

マガジン

  • スーパーネットストーカー

    もしも凄腕のハッカーが大企業や官公庁ではなく、個人を狙ったらどうなるか、個人を執拗に何年も何年も追いかけ、いやがらせの限りをつくしたら? ネットにつながった個人のPCばかりか公共機関やネットカフェで匿名でつくったフリーメールでさえ探知され、スマホでさえ探知の網にからめとられたとしたら? 被害者はクレジットカードの残高から、趣味や嗜好、身体的な疾患や交際相手の情報、などのその個人情報を否応なくハッカーに知られ、メールを覗かれ、時に勝手に削除される。ラインやワッツアップの会話も筒抜け。 古いOSを使っていれば簡単にPCに侵入され使用できなくされてしまうし、もし被害者がホームページやブログを立ち上げようとすれば容赦なくつぶしにかかる。SNSさえ持つことができないとう悪夢のような日々がつづき、しかし嫌がらせは加速してゆく・・・・

最近の記事

スーパーネットストーカー 第四章 新天地にて 2

 ハッカーは既に私がチェンナイに降り立ったことは知っているが、この町に戻ってきたことについては彼はまだその確証を得ていない、とそう思っていた。それが来た早々に覆されてしまった。  ラマナアシュラムの前の大通りに面したネットカフェはふたつあり、いつもは六台のPCを置いている店を使っていたが、その日は斜め向かい側にある、使えるPCが二台しかない小さな店に入った。そして興味深い出来事に遭遇した。  席に座ってPCを起動しようとすると、店番している中年の女性が「教えてほしい」と言って

    • スーパーネットストーカー 第四章 新天地にて 1

       夜の十時に南インドの玄関、チェンナイ空港に到着し、電車を使ってチェンナイ市内まで移動した。車輪の壊れたキャリーバックを引きずるようにして安宿にチェックインできたのは夜中の十二時近くだった。雨の音を聞きながら寝ついたが、夜中に天井から水滴がもれ落ちてきて何度も目が覚めた。朝起きてみるとわき道が雨で冠水していて、にごった水は膝の下あたりまで届きそうな状態だ。午後になると大通りも歩道寄りの一部に水がたまり、駐車できなくなってしまった。朝から小雨が降り続き、時折強い雨が断続的に降っ

      • スーパーネットストーカー 第三章 ヴィエンチャンの悪夢 9

         航空券の購入はバンコクに戻ってからあらためて試してみることに決めてその翌日は自転車で街を回ったり、ゲストハウスに泊まった日本人が置いていった剣豪小説を読んだりしながらのんびりと過ごした。  夕方、メインストリートの西側に喫茶店を併設したネットショップがオープンしているのに気づいて、ここでスカイプを使うことにした。JACSSカードの案内に電話してカードに問題がないのに航空券が購入できなかったことを告げると予想だにしなかった意外な答が返ってきた。  エアアジアの航空券を買お

        • スーパーネットストーカー 第三章 ヴィエンチャンの悪夢 8

           ヴィエンチャンに戻った。ヴィエンチャンのインド大使館から自転車で宿まで帰りながら、あちこち寄り道してネットカフェを探してみたが見当たらず、結局数週間前にネットによるビザ申請の妨害を受けて、最後はプリンターまで起動しなくなった宿の近くの大きな店で航空券を購入することに決めた。旅行代理店に頼めば自分でネットで購入する値段の1.5倍もの値段で吹っかけてくるから、まず頼むことはできない。リスク承知で自分で購入するしかない。ただハッカーは私が再びラオスに戻ってきたことをいまだ気づいて

        スーパーネットストーカー 第四章 新天地にて 2

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        • スーパーネットストーカー
          24本

        記事

          スーパーネットストーカー 第三章 ヴィエンチャンの悪夢 7

           夜が明けようとしていた。  天空を覆いつくしていた、夜を彩る無数の星星はその役割を終えて、輝きを鈍らせながら夜明け前の藍色のなかに、ひそやかに沈んでいく。鳥たちが一層騒がしく鳴き交わしはじめ、やがて読経のときを知らせる重々しい鐘の音に誘われて、院内の犬たちが一斉に、ながく声を引いてほえ始める頃、大きなトラ猫はどこへ戻ってゆくのか裏門の方へと歩き始める。  いやな思い出も多いが、それでも上座仏教にはお世話になったと思う。こういう教えを知らずにいまのハッキングハラスメントを

          スーパーネットストーカー 第三章 ヴィエンチャンの悪夢 7

          スーパーネットストーカー 第三章 ヴィエンチャンの悪夢 6

           猫は翌日も、そしてまたその次の朝も、同じ時間にやってきて私に足に体を擦り付けてきた。  猫を抱いたまま昔のことを思い出した。  ここからさらにバスで一時間ほど行ったパタヤビーチという海辺のリゾート地で有名な場所に在家の信者が作ったブーンカンチャナバルという瞑想センターがあり、ここに一匹の不思議な猫がいた。そこに私は何度か長期間滞在したことがあるのだが、その白と黒のまだら猫の不思議な振る舞いに気づいたのは一ヶ月ほどたってからである。  この瞑想センターは他の僧院と同様に在

          スーパーネットストーカー 第三章 ヴィエンチャンの悪夢 6

          スーパーネットストーカー 第三章 ヴィエンチャンの悪夢 5

             タイの東北部などやノンカイには、以前よく滞在して修行していた森林派の寺があるがそこまで行く元気もなく、バンコクからバスで二時間ほど行ったチョンブリ県にある別の系統の寺に行って泊まることにした。その寺もバンコクから近いこともあって二年ほど前から何度か利用させてもらっていた。ここでは出家僧でなくとも、クッティという、人ひとりが寝泊りできるようなバンガローのような建物を割り当ててもらって、ここに泊まることができるので有難かった。  タイに限らず上座仏教の寺院の多くが広く門戸

          スーパーネットストーカー 第三章 ヴィエンチャンの悪夢 5

          スーパーネットストーカー 第三章 ヴィエンチャンの悪夢 4

           九日間のラオス旅行を終えてバンコクに戻り、ファランポーン駅の近くの、前と同じ宿に部屋を取った。十時になるのを待って、航空券を購入するためにカオサンのシーク教徒が経営する旅行代理店に出かけた。そこでまたしてもがっかりさせることが待っていた。  シーク教徒の男は十日前にバンコクからチェンナイと告げたはずの私のフライトコースを、バンコクーデリーのフライトと勘違いして値段を告げていたのだ。バンコクからチェンナイ行きの便は明日、明後日の便を予約するとなればエアアジアといえども割高だ

          スーパーネットストーカー 第三章 ヴィエンチャンの悪夢 4

          スーパーネットストーカー 第三章 ヴィエンチャンの悪夢 3

           すでに何度も触れているように、こうしたトラブルがハッカーによるものではなく何か別の原因に起因しているものと考えるとかなり不自然なことになる。以前は通信状態の悪さからデータが中継途中で消えてしまう、あるいは画面の一部が表示されないというようなエラーも確かにあっただろう。しかしいまこのような通信エラーがかくのごとく何日も続いてゆくことはありえない。  なにより不正侵入による妨害としか考えられない現象が出ていることを否定することはできないだろう。私がインド大使館の近くのネットシ

          スーパーネットストーカー 第三章 ヴィエンチャンの悪夢 3

          スーパーネットストーカー 第三章 ヴィエンチャンの悪夢 2

           強い雨脚で始まった割にはあっけなく小雨に変わってしまったなか、道の反対側にある旅行代理店の看板に釣られて入っていった。煩雑なネット上での個人情報入力を必要とするインドビザの取得代行などは期待できないにしても、パソコンを貸してもらえるかもしれないという期待があった。オフィスのパソコンの方が気持ち安全性が高いように思ったのだ。  三十代くらいの背の高いラオ美人が机の前で、赤ん坊を抱いたままパソコンの前に座っていた。聞いてみたが、やはりインドビザの取得代行はどこもやっていないと

          スーパーネットストーカー 第三章 ヴィエンチャンの悪夢 2

          スーパーネットストーカー 第三章 ヴィエンチャンの悪夢 1

           スワナプーン空港に現地時間二十二時に到着し、バンコク市のファランポーン駅前の安宿に二十三時半にチェックインして、そのまますぐにベッドに入った。安っぽい木造なのでフロアの音は筒抜けだ。隣室のダブルルームから相当のボリュームでロックミュージックが流れ、声高な話し声が聞こえていたが、丸一日かけた長旅の疲れからだろう、横になったとたんに吸い込まれるように深い眠りについた。  翌日ゲストハウスのキッチンで話しかけてきた西洋人の若者から貴重な情報を得ることができた。バンコクでは半年間

          スーパーネットストーカー 第三章 ヴィエンチャンの悪夢 1

          スーパーネットストーカー 第二章 エイリアンの巣で 7

           フォン・ミンは私が宿泊している安宿に自分の方からやってきた。普通は私が相手の指定した場所やオフィスに出向いてゆくのだが、彼は自分から行くと電話で告げてきた。  指定された時間に受付のソファに座っていると、表通りでホテルの看板を見上げていた小柄な青年が入ってくるのが目に入った。あどけない顔立ちをしたどこかの坊ちゃんのようで、やっと自分の足で人生を踏み出したばかりの若者のように見えた。年をついぞ聞くことが無かったが、せいぜい三十代の前半あたりだろう。ハノイではこういう若い人材

          スーパーネットストーカー 第二章 エイリアンの巣で 7

          スーパーネットストーカー 第二章 エイリアンの巣で 6

           父親の四十九日が済まないうちに私はハノイに飛んだ。そこでWEBデザインを手描けている小さな会社の代表者やフリーランスのデザイナーや開発者らに会った。新しい商売のためだった。彼らは皆、wordpress (ワードプレス) やJoomla(ジュームラ)というオープンCMSのソフトを使ってWEBデザインを制作する業務を行っていた。  CMSとは、専門的な知識がなくとも、ホームページを構成するテキストや画像などを入れてゆくだけで、WEBサイトの更新や管理が簡単にできるシステムのこ

          スーパーネットストーカー 第二章 エイリアンの巣で 6

          スーパーネットストーカー 第二章 エイリアンの巣で 5

           指令サーバとハッカーとの通信は、いままではIRCサーバーという、インターネットでチャットを行う時に必要なサーバーを使用することが多かった。もちろん既存のIRCサーバではなくボットネットの指令者であるハーダー(ハッカー)が攻撃者の足跡を消すために第三者のパソコンに侵入してIRCサーバのプログラムを組み込んで指令サーバとして仕立て上げたものを使う。  感染パソコンがこの指令サーバに接続するのをパーソナルファイアーウオールという一般ユーザー向けのソフトを使って遮断してしまうとい

          スーパーネットストーカー 第二章 エイリアンの巣で 5

          スーパーネットストーカー 第二章 エイリアンの巣で 4

           Y市で公共で使えるパソコンはふたつの図書館と市役所しかない。インターネット喫茶は三店ほどあるが、みんな都会並みの値段をとる。WIFIの使える喫茶店は市内に二店ほど知っているが、スマートフォンもパソコンもともに本体固有のナンバーが知られていて、使えばあっという間に侵入されてしまう。スマートフォンはリカバリーしてもウイルスが除去できないのはパソコンの場合と同じだ。  パソコンとスマートフォンは、何台も買い換えるはめになったが、今も両方とも持っているし、NTTの光回線はそのまま

          スーパーネットストーカー 第二章 エイリアンの巣で 4

          スーパーネットストーカー 第二章 エイリアンの巣で 3

           相談員から実のある回答やアドバイスを受けることなく時間が過ぎてゆく。定められている相談時間はすでに残り少ない。相談の内容は自然と私が体験している不正侵入の話へと移行して行く。 「根拠がありません。攻撃している側のメリットが感じられない。ボットネットを使っているなら、潜伏して個人情報を取るなりするために静かにしているはずでしょう。何故パソコンのドライバーを削除してまで自分の存在を誇示しなければならないのでしょうか」  それは単なる嫌がらせのために為されているという答えを口

          スーパーネットストーカー 第二章 エイリアンの巣で 3