きっと明日も真面目にエンタメしている3人【猿博打「まじめにきまじめ」/感想】



何本かシリアスめな作品を見た後だからなおのこと。

日頃からあんまり真面目には仕事も生活もしていないものの、それでも人との関わりが必要最低限な生活おかげで「面白み」とか「ユーモア」とかが向こうから挨拶しに来てくれることがほとんどありません。

「楽しい」とか「面白い」とか「好き」とか、心をいい感じに賑わせてくれる感情って自分から進んで迎えに行かないと得られないものなんですね。

「まじめにきまじめ」を見ている時にはあまり気付かなかったんですけど、せっかくだから久々に長文を残しておこうかなと書き出しを考えているうちに「これか」と思い至りました。

爆散した地球で何とか生き残った3人が、持ち前のスキルをフル活用して生き延びるための全ての手筈を整えたあとの物語。

コメディだからなぜとかどうしてとかは隕石とともに砕け散っており、生き残ったのは3人がたまたま超ピンポイントな生存戦略に特化していたから!生き延びたのは3人がめちゃくちゃ真面目だったから!の2点でイントロダクションを乗り切る。

もう面白い。
こちらがツッコミを入れる前にご都合設定の方に「そんなわけあるか!」待ちをされている。言わされている。

世界規模、宇宙規模の壮大な導入から井戸端会議レベルのミクロな話題で盛り上がっていく感じも好みです。大好きです。

ハイスペック特撮ギャル・イカスミ、要素のチグハグさをつるちゃんが一身に引き受けることで間違いなくそこに""存在""していた。
新しい命を生み出す!と真っ先にスルメを生み出した彼女がママのギャルマインドを真っ直ぐに受け継いでいたのも良かったですね。
自分が部屋の中という生きる場所を守ってもらったように、自分も誰かが(人類が)生き延びるための北区星を守らなきゃ!とか考えていたのでしょうか。
普段からいざという時に備えて「あーしがいなくなったら〜」みたいな話をママに聞かされてたりしたのかな。だったらいいな。

しごできアグレッシブ童貞・ヒジキ、会社でどれだけ真面目にやってたのか容易に想像がつくベスト銀縁メガネドレッサーなんですけど中身が板場さんだからすげぇ動く。何そのフィジカル。何その絶妙な角度で静止できる体幹。
表情も思った5倍は豊かで、己の欲望と共同生活の秩序の狭間で葛藤するヒジキ、申し訳ないけど永遠に見ていられる。
消灯の時「おやすみ」を先に言うのってヒジキ……でしたっけ?ちょっとうろ覚えなんですけど、なんか私の中でそういうイメージが定着しちゃってます。
ルールを決めたら絶対破らない男。でも人並に欲求も怠惰も全然持ち合わせてる男。なんならそんな自分を律するためルールを守っているまである男。愛おしすぎる。

メンヘラバンドマン・エビちゃん。いやメンヘラバンドマンて。後出しの属性が濃すぎる。その感じはヒモ飼う側じゃないの!?
河村さんのおふざけ特化フィジカルに「トレーニングしてる」という至極最もらしい(けどバンドマンらしくはない)理由付けがされてるとこで一番笑いました。あと人力立体音響。
「僕もイジってよ!!」って爆発するところは笑うと同時に「なんかわかる〜〜〜」の気持ちに。イカスミとヒジキのバチバチ、傍から見てても仲良しですもん。
本音でぶつかり合う仲、とかじゃなくてなんかこう、バラエティみたいなはしゃぎ方、ちょっとうらやましい時あるよね。

そしてスルメ〜!うちにも欲しい!
毎朝起こしてくれるしおしゃべりしてくれるしビームも打ってくれる。撫でやすそうなフォルムも良い。
これはコミュニケーション下手くそ人間なりの自論なんですけど、家の中に人間以外の生き物とかおしゃべり相手がいるとこちらも気の持ちようが変わってくるんですよね。一人暮らしでも共同生活でも。犬でも猫でもルンバでも。
スルメにもそういう役割があったのかなぁと思いました。

理論上完璧な3人と1ロボが揃ったことで生まれてしまった有り余る余暇!文明が発展した人類が次に発展させるものといえば、そうエンタメ!
この辺りのシーンが猿博打の本領発揮オンパレードで、「こんな3人が見たい/見せたい/やりたい」がみっしり詰まってるなと感じました。
もうなんか笑いすぎて逆に何で笑ったか覚えてないレベル。M-1とか見たあとのあれ。
イカスミ監督のヒーローものは1シーズンフルで見たいな……

ドタバタコメディの合間合間、思い出したように差し込まれる希望、そして失望。落胆。
バカ真面目、クソ真面目、あほ真面目とまで言われる3人が、蜘蛛の糸通り越して存在すら怪しい希望の糸に縋る理由。
真面目だからこそ、生き残れてラッキー!よりも、生き残って"しまった"こと、壊れる前の世界で出来なかったこと、届かなかった手の先をずっと背負っていて。
全てをさらけ出した3人による観客のいないライブは、歌と言うより叫びというか、不格好でめちゃくちゃで全然形になってなくて、笑っているうちに涙が出てきました。

電気代だけが跳ね上がったそのライブで、世界は何か変わった訳では無いけど、明日も3人だけの生活と届かない衛星からの電波を待つ日々は続くけど、たぶん地球が爆発してない世界の私達もこうやって生きてかなきゃいけないんだろうな。

そんな感じで、猿博打の大ファンにとっては100点満点大満足の「まじめにきまじめ」でした。

地球滅亡と真面目キャラ設定とエンタメ(バンド)が手を繋いでいるようで繋いでいない感じがあったのでまだ120点目指せる余地があるような気もするものの、「見たい猿博打」はだいたい全部、取りこぼすことなく詰め込まれてた点は脚本・演出それぞれの手腕の賜物だなぁと脱帽です。

千秋楽なのにハーフジップスウェット買っちゃったから次回公演に着ていきたいな……もう暖かい季節になっちゃうかな……

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