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【職業紹介】物理学者~地図を持たない旅行者~

物理学者とは?

物理学者とは、簡単にいってしまえば、物理学という学問を専門とし、その領域での研究を行う人々です。しかし、仕事内容は多岐にわたり、理論の構築、現象の観察と解析、実験の設計と実施、結果の解釈などが含まれます。

未知の世界を探求する人々は、地図を持たない旅行者である。

湯川秀樹

物理学者の仕事は、未知の解明です。世の中の真理を追究する人の事です。
そして、科学の進歩とともに日々進化しており、新たな発見や理論の提案が常に求められます。


物理学の多様な分野

物理学は自然の法則や現象を理解するための学問ですが、その範囲は非常に幅広く、多様な分野が存在します。そのため、一口に物理学者になるといっても、どの分野の専門になるかを決める必要があります。そこで、どのような分野があるのかについて、ざっくりではありますが紹介します。下記に、参考になる動画も載せておきます。

古典力学

内容

古典力学は物体の運動や相互作用を解析する最も基本的な物理の分野です。この分野で最もよく知られているのは、ニュートンの運動の三法則です。


面白み

古典力学の法則は日常生活で直感的に理解できるものが多く、基本的な数学で表現できます。そして、何より面白いのは物体の運動に関する未来を予測できるようになることです!自動車や建築物の設計、運動選手のパフォーマンス分析など、非常に多くの応用があります。

電磁気学

内容

電磁気学は電荷と磁場との相互作用を研究します。マクスウェルの方程式がこの分野の基本です。

面白み

この理論があるからこそ、電気を利用した多くのテクノロジー(テレビ、スマートフォン、MRIなど)が存在します。また、量子論との連携も多く、深遠な理論的問題も存在します。

量子力学

内容

量子力学は微視的な粒子や原子、分子の挙動を説明する理論です。目に見えない小さな小さな世界には、多くの謎が含まれています。あの有名なアインシュタインは、この量子力学の生みの親の1人でもあります。

面白み

この分野は直感に反する現象(例:量子もつれ、量子トンネリング)が多く、その解明は哲学的な問題にもつながります。また、量子コンピュータや医薬品設計などの応用が期待されています。

統計力学と熱力学

内容

統計力学と熱力学は、多数の粒子が集まった系のマクロな性質(温度、圧力など)を説明します。

実は、1つの物体の運動や、2つの物体の相互作用による運動は、古典力学により解析できます。しかし、3つ以上の相互作用になると、途端に難易度が跳ね上がり解けなくなってしまいます。

ところが、多数の粒子が集まると解析できるようになります!実は、統計的な処理をしてあげることで予測ができるようになるというものなのですが、しかし、3つは解析できないけど、十分に多いと解析できるのは魅力の1つでもあります。


面白み

熱力学と統計力学は、物理学の中で非常に重要かつ興味深い分野です。熱力学はエネルギーの保存と変換、自然界の進行方向(エントロピー)など、宇宙の基本的な法則を解明します。これがエンジニアリングや化学に直接応用されます。

一方で、統計力学は微視的な粒子の挙動から巨視的な法則を導出する架け橋となります。統計力学はさらに量子効果を取り入れて、超伝導や超流動などの現象を説明します。両者は実世界の多くの現象に影響を与え、物質の性質から気象学、さらには経済学まで多様な応用があります。

熱機関の代表例

相対性理論

内容

相対性理論は、時間と空間がどのように動くかを説明するアインシュタインの理論です。この理論は大きく二つに分かれています。

  1. 特殊相対性理論: これは「光の速度はどんな状況でも変わらない」という考えに基づいています。例えば、あなたが超高速で動いていても、光の速度は変わりません。これが意味するのは、高速で動くと、時間が遅く進むということです。

  2. 一般相対性理論: これは「重力は空間を曲げる」という考え方です。大きな物(例えば、地球や太陽)があると、そのまわりの空間(そして時間も)が歪みます。これが重力です。

特殊相対性理論は、時間が人それぞれで違って感じられることを説明します。一般相対性理論は、ブラックホールやビッグバンといった大きな天体の現象を説明する基盤です。

面白み

一般相対性理論は重力を説明し、特殊相対性理論は高速で動く物体の性質を説明します。これによりブラックホールやビッグバンといった宇宙の大きな疑問が解明されつつあります。

各分野の物理学は、独自の方法で現実世界と関わり、理論と応用のバランスが取れた魅力的な知識とインサイトを提供しています。これらを学ぶことで、より深い理解と新たな発見が期待できるでしょう。

アインシュタイン

物理学の歴史

物理学は人類の知識と文明の発展に大きな貢献をしてきた学問です。その歴史は、古代ギリシャの哲学者から現代の粒子物理学者まで多くの才能によって形作られています。この物理学の歴史には数々の面白くて刺激的なエピソードが詰まっています。

古代から中世へ

古代ギリシャでは、哲学的に物理学が行われていました。この世の真理や、現象に対する謎を考え始めたのが物理学誕生のきっかけです。

ニュートンの革命

17世紀になると、アイザック・ニュートンが登場します。彼の『自然哲学の数学的諸原理』は、重力と運動に関する法則を明示し、物理学が数学的に扱われるようになりました。これにより、物理学がものすごいスピードで発達していきます!!!

リンゴは落ちるのに月は落ちない、、。

電磁気学の誕生

19世紀に入り、マイケル・ファラデー、ジェームズ・クラーク・マクスウェルらが電磁気学の基礎を築きました。マクスウェルの方程式は、電場と磁場が連動していることを示し、後に電磁波という概念へとつながります。

相対性理論と量子力学

20世紀初頭、アインシュタインの相対性理論が登場し、時間と空間の理解が一変します。ほぼ同時期に量子力学も誕生し、微小な粒子の世界が明らかになりました。これらは当初は直感に反するような理論でしたが、実験によってその正確性が証明されました。

現代へ

量子力学と相対性理論は、後に統合される試みがなされていますが、まだその統一理論は見つかっていません。弦理論やループ量子重力など、新たな理論が提唱されつつあります。

物理学の歴史は、人間が自然界に対する好奇心と理解を深める過程そのものです。そのたびに新しいテクノロジーが生まれ、生活が豊かになります。例えば、電磁気学は電気通信の発展に、量子力学は半導体やコンピュータの進化に寄与しています。

また、物理学は究極の現象、例えばビッグバンやブラックホール、宇宙の最終的な運命など、人類が持つ最も根源的な疑問にも答えを求めています。このように物理学は、純粋な知的好奇心から生活の質の向上、さらには人類の大きな疑問に答えを求める多面的な魅力を持っています。

物理学者になるためのステップ

学士号の取得

  1. 物理学または関連分野で学士号を取得します。

  2. 数学、プログラミング、実験技術などの基礎スキルを磨きます。

修士・博士号の取得

  1. 専門分野を決定し、その分野で修士・博士号を取得します。

  2. 研究計画を作成し、研究を行います。

研究者としてのキャリア

  1. 学術雑誌に研究成果を発表します。

  2. 学会で発表を行い、研究者ネットワークを広げます。

  3. 助成金や研究資金を獲得します。

実務経験

  1. 産業界での研究開発や、教育機関での教鞭をとるなど、多様なキャリアパスがあります。

  2. 専門知識を活かして、社会問題の解決に貢献します。

まとめ

物理学者になるには、長い学びと研究が必要ですが、その先には自然界の法則を解明し、新たな技術や理論を生み出す充実感が待っています。物理学は、私たちの生活や未来に多大な影響を与える可能性を持つ学問であり、物理学者としてその一翼を担うことは、非常に価値のある仕事です。

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