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騒音問題と民法 賃貸借

 最近は隣人ガチャなんて言葉をよく聞く。確かに隣人は運。しかし対応次第でなんとか出来る問題なので運の問題で片付けてしまうのは違う。まぁ、運がいいならこんな問題に頭を悩ませることは無いのだが。
 今回の話は賃貸借。騒音問題で出てくる賃貸借はアパートの貸し借り。これは代表的な賃貸借契約。
 さて、皆さんは隣が騒音の主だった場合にはどういった行動を起こすのだろうか?そんなことになったことないからわからない、という人は幸せな人です。この時に絶対やってはいけない鉄則があります。それは「直談判」
 知恵袋を見ると度々騒音問題の回答に「直談判」を推す回答者が散見されるけど、とんでもない。騒音を出している時点でヤベー奴なのに、直談判なんてしたらそんなヤベー奴に顔を覚えられるのです。訴訟も本当ならそういう意味で避けるべきで最後の手段です。騒音の解決は誰かにやらせましょう。
 誰かとは?当然善意でやってくれる変わり者はなかなかいないものです。警察は民事不介入でやってくれません。アパートならば大家さんです。

(賃貸借)
第六百一条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

 大家さんは店子に使用・収益をさせる義務があるのです。出来ないなら契約違反です。いわゆる債務不履行。債務不履行があった場合には賃貸人は色々覚悟しないといけません。

(賃借物の一部滅失等による賃料の減額等)
第六百十一条 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。

↑騒音が続くなら家賃の減額の請求が出来る。

(賃貸借の解除の効力)
第六百二十条 賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。
この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。

↑契約解除をするにあたって引越しすることになったんだから引越し費用を払え、って根拠になる条文だね。

(不動産の賃借人による妨害の停止の請求等)
第六百五条の四 不動産の賃借人は、第六百五条の二第一項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。
一 その不動産の占有を第三者が妨害しているとき その第三者に対する妨害の停止の請求
二 その不動産を第三者が占有しているとき その第三者に対する返還の請求

↑対抗要件を備えた店子は利用の妨害をしている相手に妨害をやめるよう請求出来る
↓対抗要件とは
(不動産の賃貸人たる地位の移転)
第六百五条の二 前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。

借地借家法
(建物賃貸借の対抗力)
第三十一条 建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。

↑引渡しがあれば対抗要件を満たす。

続いては店子の義務
(賃借人による使用及び収益)
第六百十六条 第五百九十四条第一項の規定は、賃貸借について準用する。

(借主による使用及び収益)
第五百九十四条 借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。

 その目的物の性質によって定まった用法は騒音を出すことを容認しているのか?普通はないね。最近はお互い様物件と言ってお互いがお互いの騒音を不問にする物件があるらしいけど、そうじゃないなら普通はダメでしょ(もっともお互い様物件でも限界はあるとは思いますが)。

 まとめると、アパートで騒音がひどい隣人がやってきたら「何とかしないなら家賃の値下げするか、出て行くから引越し費用はそっち持ちな」と交渉可能ってことです。やるなら事前に弁護士に相談すべきですが。
 次回は戸建てならどうする?

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