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タイの観光名所 ジム・トンプソンの家

タイには何度か行きました。
太陽に照りつけられて冗談みたいに汗だくになりながら歩いたり、頑張って値切ったタクシーに乗ったりしながら、観光名所を巡りました。

タイの有名な観光名所と言えば、ワット・ポーです。
地面に横たわっている金色の巨大な涅槃像が特に有名です。

涅槃像
涅槃像だけでなく寺院そのものも凄い
日本にはない鮮やかな配色

自分も行ったことがありますが、きれいな場所でした。
観光名所では有るものの地元民もたくさんおり、たくさんのタイ人が線香に火をつけて供えたり、正座して拝んでいたりしていました。
整備されただけの名所ではなく、寺院として昔から根付いていることを感じさせました。


そこと同じくらいに記憶に残っている場所の一つに、ジム・トンプソンの家という、ミステリアスな物語を感じる観光名所があります。

ここに入れます

名前の通り、ある白人の家です。

彼はアメリカ人で、移住先のタイでタイシルクを商売にして富を築きました。

自分は初めて知ったブランドなのですが、”JIM THOMPSON”は歴史のあるブランドらしいです。
(聞いたことありますか?)

JIM THOMPSONのサイト
日本円表記も出来るということは、日本にも顧客が多い?

このジム・トンプソンという男性がミステリアスなんです。

彼は1906年にアメリカの裕福な家庭に生まれ、建築家として働いた後、第2次世界大戦に従軍。

アメリカ軍の諜報機関であるアメリカ中央情報局(CIA)の前身である戦略情報局(OSS)に所属していたらしく、ヨーロッパでも諜報員をしていたらしいです。

OSSのシンボル

第2次世界大戦では、アメリカと敵対する日本への諜報のためにインドシナ半島に訪れるも、終戦してしまったのでそこに留まることに。

「帰ればいいじゃん」と思うのですが、他に何か理由があったのかも知れません。
アメリカには妻もいたということなので、そうなると余計にアジアに留まるにはなにか理由があったのでは考えてしまいます。

その後はOSSバンコク支局長を勤めた後、大量生産に追いつけずに衰退していたタイシルクに目をつけてシルク産業に参入、ミュージカル映画に製品が使われたことで一気に認知されたとのことです。

ミュージカル映画『王様と私』 1956年

ここについては、生まれとコネの力を感じます。

普通に作るだけでは、他のタイ人のシルク業者と同じ。
まずハリウッド映画に使われることはない。
映画に使われても、使われたことが知られなければ意味が無い。

アメリカ人だからアメリカ人好みのデザインが分かりますし、おそらく立場柄アメリカとのコネ(映画業界やマスメディアとの繋がり)があったからこそ、製品が映画に起用されたり、さらに起用されたことを人々に周知してブランドを認知させる、ということが出来たのではないかと思います。

更に、アメリカ人にはブランド物としての価格設定という発想がありますから『高いけれどタイシルクというプレミア感をつければアメリカ人ならこれくらい出せるだろう』という価格設定にも挑めたのではないかと思います。安すぎても価値がないように感じられてしまうし、高すぎては買ってもらえない。
価格設定というのは難しいところなので、当時のタイ人の金銭感覚ではここは難しいのではと思います。

ここからへんは全くの妄想ですが、アジアに財力とコネと情報があるアメリカ人を置いておくことに、アメリカとしてもメリットはあったのではないでしょうか。

しかも、ただのアメリカ人ではなく、元OSS役職者です。
ジム・トンプソンだけではなく、彼の商売に協力する側にもメリットがあったのではないでしょうか。
彼の商売が上手くいくように、様々なアメリカ企業に国が働きかけた部分もあるのではと思います。


そんなジム・トンプソンですが、61歳の時にマレーシアの高級別荘地である『ムーンライト・コテージ』に滞在していたところ、突如姿を消してしまいます。

Moonlight Cottage

失踪発覚後に大規模な捜査が行われましたが、見つからず。

ジム・トンプソンの死因については、情報がないからこそ様々な憶測が飛んでおり、利益目的の誘拐ではないかとか、アメリカと何かがあったのではとか、タイの政府関係者とも繋がりが強かったのでそちらではないかとか、色々な説があるようです。

更に恐ろしいことに、それから5ヶ月後にジム・トンプソンの姉がアメリカの自宅で他殺されており、そちらについても犯人は捕まっていないそうです。

絶対何かが背後にある。

そう感じませんでしょうか。


ジム・トンプソンの生涯はまるで小説のようです。

彼の人生の表からは見えないところには一体何があったんだろう?

そんなことを考えるとワクワクしてしまいます。

Jim Thompson
只者ではない目つき

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