スラムは、世界を変える「経済の震源地」だともいえる。だが、世間から注目されることはない。なぜ と言えば、注目されないような仕組みになっているからだ。スクワッターたちは、土地や財産を法的に 所有しているわけではない。税金も納めていない。彼らはなんの許可も得ていないし、資格も持ち合わせていない。彼らは、政府が認めている為替レートにも左右されない。それにもかかわらず、 彼らは経済に貢献している。法的な所有権さえないのだが、建物の一部を貸し借りして認可を受けていないビジネスだが、雇用創出される。あらゆるサービスや商品の売買がおこなわれる。 商品のなかには盗んできたものもあるし、サービスには犯罪に該当するものさえある。つまり「ウラの経済」で、たとえて言えば、天体物理学における「ダークエネルギー」のようなものだ。表向きには存在していないはずなのだが現実には存在しているし、しかも巨大だ。