見出し画像

人権観の違いを感じたニュース

昨年米進出を果たした知るカフェがイエール大学があるNew Havenにオープンした。
ただ学生ではない住民がその運営形態に不満の声をあげた。
僕はこのニュースを聞いて、日本と欧米の人種・人権問題に対する価値観にはまだまだ大きな壁があるなと感じた。(以下その人が投稿した記事)


知るカフェとは大学近辺に位置する学生向けの勉強スペースのようなもので、登録すればコーヒーなどが1杯無料で提供される(登録しなければ利用できない。つまり学生以外は利用不可だ。)。登録された情報は提携先の企業に送られ、学生には知るカフェを通し就活情報などが送られる仕組みになっている。現在国内で17店舗が運営されている。

僕も1年生の頃から何度か利用したことがあって(就活関連で利用したことはないけど)、個人的には結構気に入っている。記事の動画を見てもわかるように、店舗にはwifiと電源も整備されていて、言ってみれば利用する側にとってはお洒落なマクドナルドという感じだ。しかもドリンク付だからもっとお得かもしれない。

この知るカフェ、数年前から海外展開しており地道に店舗を世界中に増やしている。その最新オープン店が問題となっているイエール大学店だ。

アメリカには公民権法における連邦反差別法案があり、企業による人種差別が禁止されている。だから、お店がお客を選ぶようなシステムはご法度ということだ。

アメリカにおいて人種問題は根強く残っており、それは有名な社会実験番組などを見てもわかる。だから、知るカフェのような新しい制度で運営されるお店ができた時、それが自分たちの街において公正な運営がされているかを懸念する声はとてもよく理解できる。

記事の主張について、僕は知るカフェ側には全くそのような意思はないだろうなと思う。日本の大学はアメリカのキャンパスのように広くはないし図書館などの利用目的等も異なってくる。僕は、街中に学生が集まるオープンスペースがあることはとても重要だと思うし、知るカフェは大学側が提供すべきサービスを担っている新たな社会アクターと言えるかもしれない。しかもNPOのように人や資金面での基盤を持っており、ビジネスのあり方として社会サービスの面からも運営面からも評価できるものだろう。
実際、アメリカでもクラブやカジノなど運営目的によって利用者を選別するお店はあるし、今回問題視されたのは知るカフェが新しいものでNew Havenの人々にとって馴染みのないものだったからだろう。


一方で個人的にすごく思ったのは、日本が令和を迎えたこの時期にこのニュースが流れてくるのが、とても対比的で考えさせられるところがあるなあということだ。

新元号になりここまで社会が前向きな空気になっているのは、人々が日本で暮らす仲間として互いを尊重しているからだと思う。民族としてどうかという話より日本国民であるかという点で、僕らは同じ社会で暮らす仲間だという意識が強いのだろう。裏を返せば、人権・人種問題に対しアイデンティティを”気にしない”という立場の人が多いのではないか。

一方アメリカは多民族国家でかつて様々な人種問題を経験してきた国だから、すごく敏感に人権のありようを感じとるのだろう。そして今回、日本では誰も問題と捉えなかったビジネスモデルがアメリカでは学生と他の利用者を分断する行為であると指摘されてしまった。

ただやはり日本でも少なからず人権・人種問題はあるのだが、欧米のように日常的にそのことが問題になるケースは少なく、やはりどこかで「日本社会を支える仲間同士」という感覚の方が強いのだろう。これは、仕事やライフステージにおける"普通"像にもつながる話だ。

今回のニュースで改めて、日本と欧米のこうした感覚の違いの大きさを感じた。

サポートありがとうございます! みなさんからの応援は新しい体験を得るために使わせていただきます。