見出し画像

ベトナム語はベトナム人を理解する第一歩

 日本には2021年12月時点で43万人のベトナム人がいます。国別では中国の71万人に次いで2番目に多く、近年の増加ペースは一番大きいです。コンビニや外食店でベトナム人を見かけるのは普通のことになり、製造業、農業、介護など幅広い産業が「技能実習生」や「特定技能」として来日するベトナム人労働者に依存しつつあります。
 来日する彼らの多くは一生懸命日本語を学び、お金を稼ぎ、技術を学ぼうと夢を抱いて来日します。しかし、厳しい労働環境や条件で働かざるを得ないベトナム人も多く、貧困や苦境から犯罪に走ってしまう人さえいます。
 

警察庁「外国人・来日外国人犯罪の検挙状況」

 上の棒グラフを見ていただくと、ベトナム人による犯罪が急増していることがよくわかります。警察庁の「外国人・来日外国人犯罪の検挙状況」によると、2019年にベトナムが中国を抜いて国別で首位となって以降、3年連続でベトナムが首位です。このままでは日本人のベトナム人に対するイメージが悪化してしまうことは避けられません。

日越の相互理解が必要なのでは


 ベトナム人は日本のことを好きな人が多いです。食べ物、文化、礼儀正しさなど日本を愛し、尊重するからこそ、何十万人もの人が来てくれるのです。そして難しい日本語を学び、異国で頑張って働いています。
 もし日本での生活が苦しく辛い思い出ばかりとなってしまったら、きっと彼らは帰国後も日本を嫌いになってしまうことでしょう。そして負のイメージを他のベトナム人に伝えるでしょう。技能実習生や特定技能の制度の問題点を修正することは緊急の課題ですが、受け入れる私たち日本人もベトナム人を理解し、温かく迎えてあげる努力をする必要があるのではないか、と私は考えています。
 その第一歩がベトナム語です。言語は文化の入り口です。ベトナム人は難しい日本語を一生懸命勉強しているのに、果たして何人の日本人がベトナム語を勉強しているでしょうか?私はハノイに住んでいたことがありますが、ベトナム語をきちんと話せる日本人は驚くほど少なかったです。ともすると、私たち日本人の中に「ベトナム人が日本語を話せばいい」と言う上から目線の意識が働いているのではないでしょうか?
 外国人同志が深く理解し合うためには、お互いの言語を知っていた方がいいです。単語のニュアンス、言い回しの違いなどを確認しながら、相手の意図を理解できるからです。
 ベトナム語は発音がとても難しく、通じにくい世界でも有数の難解な言語です。しかし、その言語に取り組むことで、ベトナム文化を学ぼうと言う姿勢は相手に伝わります。一人でも多くの日本人がベトナム語を学び、ベトナムへの理解を深めてくれることを心から祈っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?