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YouTube参考資料)ベトナム語基礎講座⑬ 聖域なき発音改革? 母音なくして声調なし

 フーおじさんのベトナム語基礎講座をご視聴いただき、ありがとうございます。今回は初めて声調について解説します。講座の最初の方に説明した通り、私は学びはじめの人に声調を教えることは良くないと考えています。ベトナム語の声調は6種類(無変化含む)あり、とても難しいです。しかし、多くの本、ベトナム語の教育者が一番最初に声調を教えているように感じます。野球で言えばキャッチボールもできないような人に変化球を教えるようなものです。これまで12回にわたってベトナム語の基礎を解説してきましたので、見続けてくれている方はそこそこの力が付いていると思います。

声調の前に母音を学ぼう

 声調は声の上がり下がりです。複雑な発音をラテン文字(アルファベット)で表記するために、イエズス会の宣教師が編み出したものが現在の表記法(Chữ quốc ngữ)です。母音記号に声調記号が重なるので、最初のうちは訳がわからなくなると思います(ổ, ấ , ễ , ặ など)。声調をうまく機能させるには正しい母音を発音できることが重要です。調律が狂ったピアノをいくらうまく弾いても、名演にはなりませんよね。まずは母音をきちんと発音することが大事です。私の経験では母音をきちんと発音できれば、多少声調が下手でもちゃんと通じます。ベトナム語の母音は11個あります。これを4つのパターンに分類して覚えるのが良いと私は思っています。

(注)動画の方が理解しやすいと思います

 テキストベースで説明すると難しく感じてしまうと思います。動画をメーンに見ていただいて、復習するときなどにこちらの表を参照してください。ポイントだけ説明すると、記号なしはオーバーなくらいに高い音で発音し、ひげの記号を重点的に練習してください。最初のうちは帽子の記号と谷の記号は日本語とほぼ同じと思って大丈夫です(記述するときはきちんと記号を書いてくださいね)。

通じる声調を目指そう

 母音をマスターしたら声調です。最初に私のスタンスを説明します。ベトナム語という難解な外国語を外国人が完璧に話すのはかなり難しいですし、できたとしてもかなりの時間がかかります。ベトナムに骨を埋め、ベトナム人のように流暢に話したい、と思う人はそれを目指してください。ただ、私も含め多くのベトナム語学習者の目的は何でしょうか?ベトナム人とベトナム語で対話することですよね?だから通じればいいんです。下手でもいいんです

ベトナム人は外国人に完璧なベトナム語を求めがち(筆者の経験)

 私自身、ベトナム語を流暢に話したいと思い、高い理想を持って学習してきました。ベトナム人も外国人に完璧なベトナム語を求めがち(私の経験です)なので、下手くそなベトナム語をなかなか理解してくれません。しかし、ある時から通じるコツのようなものが見えてきました。上手とまではいかなくとも、日本人が発音しやすいベトナム語の発音のコツを身につければベトナム語で対話できるようになります。私はこの気持ちの切り替えでだいぶ楽になりました。そういうスタンスで私が開発したコツを紹介します。

声調は単語で練習しよう

 声調を解説する前に二つ注意点があります。まず声調の練習は単語でやってほしい、ということです。ả , ú , ồ など文字ベースで練習してもあまり意味がないように私は感じます。その理由としては面白くないことと、実際の単語では文字ベースとは発音が異なることが多々あるからです。
 次に声調の名前を覚えてほしい、ということです。ベトナム語の綴り(スペル)を聞くとき、声調(記号)の名前が不可欠になります。

(注1)南部ではdấuと言わず、thanh(声、音)と言うことが多い。
(注2)「記号なし」は特徴的な発音なので声調の一つと捉えるべきだと思います。

 文字で書くと複雑に思えてしまいますが、動画を見ながら学習してみてください。ポイントとしてはまず上3つをできるようにしてください。記号なしはオーバーに高い音を出し、色の声調はしっかりと急上昇させ、玄の声調は低く出してください。それができてから、難関の下3つに挑戦してください。最初はなかなか通じないし、ストレスを感じることと思います。でも必ず通じるようになります。

「考えるな、感じろ」

 現代はウェブサイト、アプリなど様々なツールがあり、ネイティブのベトナム語を聞くことも、ベトナム人と直接対話することも簡単にできます。ですから、小難しく考えず、たくさん聞いて話して、ベトナム語を感じてください。私が解説しているのはあくまでも私の経験に基づいた上達のヒントにすぎません。自分なりのベトナム語を模索してください。
 私がハノイに駐在していた頃、ベトナム語の挫折者が多数いて驚きました。皆さんに挫折の理由を尋ねると、「自分には声調は発音できないと思った」という方が一番多かったです。完璧な声調を目指すと、山が高すぎて登るのが嫌になってしまいます。まずは登る山を低くして、「通じればいいや」と楽な気持ちで取り組んでみてはいかがでしょうか?きっとベトナム語学習が楽しくなるはずですよ。

*フーおじさんのベトナム語基礎講座⑬聖域なき発音改革? 母音なくして声調なし


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