とある記事が報道されて憤りを感じたこと

前回の記事とは趣旨が違い、先月の23日に共同通信社から配信された記事(自衛官に私的戦闘訓練 特殊部隊の元トップが指導)を読んで、憤りを感じたことを書いていこうと思います。人によっては不快感を示すでしょうが、どうか最後までお付き合いいただけると幸いです。元記事のURLを以下に記載しておきます。

↓元記事

↓共同通信社の記事動画

元記事の内容を原文のまま掲載します。以下記事の原文です。

ここから引用 陸上自衛隊特殊部隊のトップだったOBが毎年、現役自衛官、予備自衛官を募り、三重県で私的に戦闘訓練を指導していたことが23日、関係者の証言などで分かった。訓練は昨年12月にも開催。現地取材で実際の訓練は確認できなかったが、参加者が迷彩の戦闘服を着用しOBが主宰する施設と付近の山中の間を移動していた。自衛隊で隊内からの秘密漏えいを監視する情報保全隊も事実を把握し、調査している。

自衛官が、外部から戦闘行動の訓練を受けるのが明らかになるのは初。防衛省内には自衛隊法に触れるとの指摘がある。OBは作家の故三島由紀夫の考え方に同調するなど保守的主張を繰り返している。 引用ここまで

この記事を初めて読んだとき、何を言っているのだと、まず、思いました。現職及び予備、即応予備自衛官が、自分のプライベートの時間を削って、何かを学んではいけないのかと。これが無理なら、外でビジネスの勉強をしたり、公的資格を取りに行ったり、働きながら学校に通うということができないということになります。そんなふざけた話はないな!と思いました。かつて、公的機関に所属していた身として、そんな話は聞いたことがないし、上司・先輩からダメと聞いたことがありませんでした。一体どこをどう取材したら、こんな記事が書けるのか不思議に思いました。また、この記事に掲載されている写真及び動画は、土地所有者の許可なく、撮影されたものを記事及びニュースの動画として掲載されたものです。この記事が報道された直後、報道された当事者である荒谷氏から反論があり、上記のような事実もなく、また、撮影許可、直接の取材許可を受けていないとのこと。さらに土地所有者が、この記事を書いた人が許可なく撮影をされていることに対して、注意をすると、逆切れ、警察に通報するぞ!となる脅しとも取れるような言動を取ったと言います。一体、どっちが違法なんでしょうか。ちなみにこの手の訓練がダメなら、タクティカルトレーニングを提供している会社が、見事にダメになります。この業界では有名な田村装備開発ですね。ここに受けに来る公務員は、約1万人いるそうです。当然、上記の理屈なら、違法ということになります。この記事を書かれた方は、単純に自衛隊を叩けば、ビジネスになると思っているように見受けられます。自衛隊=悪という風に決めつけて、書くという記事には違和感を感じざるを得ません。

また、上記の内容が掲載され、おかしいと思われた記者がおられ、共同通信社に対して、質問を送ったそうですが、期日までに回答を得られなかったそうです。報道した記事が間違いなく違法であると、自信があるなら、堂々と回答を出すはずです。回答しないということは、自ら、違法であると認めているようなものだと感じました。沈黙は美徳ではありませんよ。また、人間はミスをする生き物です。掲載した記事、報道した内容が誤報であった場合、速やかに謝罪し、正しい記事、報道をすれば良いだけでしょう。それをしないのは、自分達が絶対正しい、間違いはないと言っているようなもの。そんな初歩的なこともできない記者やジャーナリストは、報道の自由を叫ぶ権利もないと思っています。間違ったことをしたり、悪いことをすれば、謝りなさいと親や先生に叱られたはずです。子供でもできるようなことをできない人に報道を名乗る資格はないでしょう。これでは、他国から日本の民主主義は成熟していないと見做されてもおかしくはありません。成熟した民主主義になるようにするためには、事実が何かを足を使って、調べ、その内容に信憑性があるのかを検証して始めて、報道できるものだと思います。マスコミの自浄作用が働かない日本では、日本の民主主義が地に落ちたと言われても不思議ではないでしょう。

※荒谷 卓:陸上自衛隊で唯一の特殊部隊の創設者の一人。現役時代、特殊部隊を創設するにあたり、他国の特殊部隊から学ぶ為、米国の特殊戦学校(ここでいう特殊戦学校とは、米軍のグリーンベレーの選抜試験のことを指しています)に一人で留学、過酷な選抜試験と訓練を突破し、見事、合格。帰国後、陸上自衛隊で初となる特殊作戦群を創設し、初代群長(陸上自衛隊初代特殊部隊指揮官)に就任しています。その後、荒谷氏、自ら、ここでやることはないといい、定年退官まで居ることなく、自ら職を辞しています。

↓共同通信社が報じた記事の内容に疑問をもたれた方の記事

荒谷氏のコメント

荒谷氏のコメント原文

引用ここから 令和3年1月23日付で共同通信社から配信された「自衛官に私的戦闘訓練 特殊部隊の元トップが指導」という記事について、ご説明します。
「むすびの里」では、年間を通じて武道合宿や文化講習会を開催しておりますが、昨年12月には、「むすびの里」ホームページに掲載の上、自衛官限定の「自衛官合宿」を開催しました。
記事にある「自衛官合宿」を実施した期間は令和2年12月26日~30日であります。
この合宿は、自衛官の任務遂行能力向上のための自己啓発に資することを目的としております。
参加者を自衛官に限定する理由は、国防に任ずる自衛官のための専門的な能力向上のための合宿だからです。
実施した内容は、集団での戦術行動も加味した森林錯雑地での徒手格闘(素手での格闘術)です。
参加した自衛官は、休暇を取っての参加であり、自衛隊法に抵触する要素は全くありません。
むしろ、休暇を使ってまで、自衛官としての自己啓発に努める隊員に敬意を抱くものです。
また、コロナ禍の緊急事態宣言が発せられる以前の開催でしたが、防衛省が感染防止努力について規定している各種指導を尊重し、必要な処置をとっての開催でありました。

合宿開催とほぼ同時(26日)に、「むすびの里」の大又川を挟んでの対岸の私有地からカメラをどんと据えて「むすびの里」を撮影している人物がいるので、「むすびの里」のスタッフが私有地の所有者と撮影している本人に確認に行きました。
その人物は、共同通信社の石井暁氏で「自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体」等自衛隊関連の暴露記事をネタにしている記者のようです。

私有地の所有者には、風景の写真を撮ると嘘をついていたらしく、こちらのスタッフが苦情を言うと「取材妨害で警察に訴える」と大声で怒鳴りだしました。
その後もSNSで「防衛大臣、統合幕僚長には会見質問通告しました。」「警視庁公安部、三重県警警備部公安課には連絡しました。」「情報保全隊には後程伝えます。」等の脅迫とも取れる文章を送ってきました。
土地の所有者も困って、石井氏に苦情を言うと「相手(荒谷)には了解を得ている」とまた嘘をついて4日間そこに居座って撮影をし続けておりました。

こちらは、それ以上係わりたくなかったものですから、そのまま予定通り「自衛官合宿」のプログラムを実施し、無事に終了しました。

整理しますと、この度の「自衛官合宿」は、記事に書かれているような違法性は全くありません。自衛官の秘密漏洩の事実も全くありません。
また、自衛官が外部から戦闘行動の訓練を受けることは珍しいことではありません。特に今回は、私をはじめとする自衛官OBが、自衛隊のために少しでもお役に立ちたいと思ってのことです。

「自衛官合宿」は、これまでも開催してきており、今回が12回目となります。
三重県熊野市で開催するようになってからは、合宿中に地域への奉仕活動も併せて実施しており、昨年は七里御浜のごみ清掃や大又川河川敷のごみ清掃、一昨年は長尾山の林道の清掃や飛鳥神社の境内清掃などをしました。
今年は、コロナのことがあったので、公共奉仕活動は取りやめ、期間も短くしての開催でした。

日本の国防のため、休暇を取って私費を投じてまでも自己啓発に取り組んでいる自衛官を、このような形で貶めるような記事はいかがなものでしょうか。
国民の皆さんには、よく事実関係をご理解いただき、適切なご判断をお願いしたいと思います。 引用ここまで

最後までお付き合いいただきありがとうございました<m(__)m>

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