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「地域おこし協力隊」の私

 「地域おこし協力隊」と聞いてピンと来る方って、あまりいないと思います(笑)。

 実は、総務省の制度の名称でして、総務省によると
『地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に移住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組です。隊員は各自治体の委嘱を受け、任期は概ね1年以上、3年未満です。
 令和2年度で約5500名の隊員が全国で活動していますが、この隊員数を令和6年度に8,000人に増やすという目標を掲げており、この目標に向け、地域おこし協力隊等の強化を行うこととしています
 具体的な活動内容や条件、待遇は、募集自治体により様々ですが、総務省では、地域おこし協力隊員の活動に要する経費として、隊員1人あたり470万円を上限として、財政措置を行っています。』
となっています。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/02gyosei08_03000066.html

 多くの場合は、「市町村」がこの制度を使って都市部からの移住者を募っています。3年間を「地域おこし活動」で過ごしてもらって定住につなげる、という形ですね。

 ところで、この「地域おこし」という言葉の定義を理解し説明できる人に出会ったことがありません。

 よく、「地域活性化」「地域振興」「地域づくり」「地域再生」といった言葉と混同されます。

 しかし私は、
・「地域活性化」とは、6次産業化や地域ブランド化等の『経済的施策』
・「地域づくり」とは、集落支援やコミュニティ活動等の『自治的施策』
・「地域再生」とは、住民ワークショップや世代移転等の『再編的施策』
なのではないか、そして「地域振興」とはこれらの総称なのではないかと考えます。
 で、
・「地域おこし」とは、地域における郷土愛や誇りの醸成等『情緒的施策』
なのだと思います。

 いや反論はあるでしょうが、私はそう考えてるってことです。

 なぜなら、そもそも一人や数人の協力隊員が都会から地域に移住して、わずか3年の任期とわずかな予算で、経済的施策や自治的施策、再編的施策を「実施できるわけがありません」し、それらは協力隊の業務ではなく、自治体行政や商工会やJAや自治会や住民の管轄です。

 協力隊員が出来ることは、地域の「誇るべき宝」を都会人目線で発掘して地域に示し、再発見された「それ」を守ったり発信したりする活動を地域住民と共有・協働することによって、誇りや郷土愛を醸成することではないでしょうか。もちろん、その活動が観光客を呼び込んだり、地域名産品の製造・販売につながって、経済的効果を発揮することもしばしばありますが、はなからそれを協力隊員に期待することは、制度上間違いだと思います。

 なぜなら、総務省「地域おこし協力隊制度」の目的は、都市部から地域への「人口移転」です。「移住」であるからには、「任期後の仕事や住まい」を任期中に構築する必要があるわけで、任期の3年はそれを構築するための猶予期間であり、任期中に行う「地域おこし」活動の報酬として最低限の契約金が支払われるものだと私は理解しています。

 ちなみに、私が現役隊員だった4~6年前は、年間で隊員1名あたり「報酬200万円+活動費200万円=計400万円」でしたが、現在は計470万円に増額され、地方交付税として採用自治体に交付されます。
 「活動費」とは、住宅家賃や活動用自動車リース代、パソコン等の備品費、交通費・受講費等の経費に充てられますから結構あっという間になくなります。
 首都圏に住んでいた私は、「報酬」200万円で生きていけるのか甚だ不安ではありましたが、家賃負担がないことや、野菜類はご近所様から「箱」単位で頂けたりする(ありがたい!)ため、妻がパートに出ることで何とか生きております(笑)。



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