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「25年度PB黒字化」は日本経済の自殺だ

 岸田首相は14日の財政諮問会議にて、「2025年度にプライマリーバランス黒字化の目標を維持する」と発表しました。これで当面は日本経済が向上する可能性がなくなり、「世界唯一の経済後進国」に向かって経済後退を続けることが確定しました。

 「財政健全化」「プライマリーバランス黒字化」が金科玉条であるかのごとく報道に上りますが、これがどういう意味なのか理解してない方が余りに多い(国会議員含めて)ので少し書きます。

 「国の借金が1200兆円を超えていて、このまま赤字財政が続くと財政破綻する」というのがマスコミや御用経済学者、国会議員らの主張ですが、これには全く根拠がありません。たとえば「自国通貨建てで国債発行している国」で財政破綻した例があるのかと言えば、ひとつもありません。

 まずマスコミは「国の借金」を「国民の借金」と言い換えて「国民ひとり当たり983万円の借金」などと言ってますが、国債発行で資金を借りてる「国」とはあくまで「政府」であって、貸してるのは「民間(国民)」です。つまり「国民ひとり当たり983万円の債権を政府に対して持っている」の方がまだ正しいです。

 次に重要なのは、日本の国債の全てが「円(自国通貨)建てで発行されている」ことです。ギリシャ危機の際に「日本も財政破綻する!」と騒いだ向きも少なくなかったですが、ギリシャはユーロ加盟国だから自国通貨建てで国債発行できません。なのでユーロ(外貨)で返済しないとならないため財政破綻したのです。確か当時のギリシャ国債の金利は10年もので35~40%ほどだったと思いますが、日本国債の金利は現在0.1%ほどです。国債市場において日本国債は「超安定」しており、財政破綻するわけがありません。
 
 また政府の財政は、民間の財務や家計とは全く異なります。何しろ政府は「通貨・貨幣の発行権」がある唯一の機関ですから。

 なお、国家経済には「一般企業の収支+家計の収支+政府の収支+海外の収支 = 0」という大原則があります。これから考えれば、政府収支の赤字が大きければ大きいほど企業や家計収支の黒字が大きくなることは明白だし、コロナで財政赤字を拡大した2020年度もそうなっています。

 であるにもかかわらず、政府収支の黒字化を図るなどもっての外であることがお分かりだと思います。

 「でも増え続ける国債残高はいつか返さなきゃいけないじゃないか」という話になるんでしょうが、国債を返済した例はこれまで一度もないし返済の必要もありません。さらに民間保有の国債を日銀がバンバン買い上げてるのはご存じだと思います。国債は日銀に入った時点でなかったことになるのです。なぜなら政府と日銀は親子関係にあるから(日銀は政府の子会社)、連結決算で親子会社の債権債務関係はチャラなのです。

 なので日本政府は国債を返済する必要がありません。25年も続くデフレと消費税増税、コロナ不況ど真ん中が日本国民の現状なのに、赤字国債発行で民間を豊かにすることをためらい、プライマリーバランス黒字化で国民の息の根を止めようとする政府など要りません。

 この期に及んで「財政健全化」「プライマリーバランス黒字化」などを平然と目標にする政府は、国家の自殺を企てているとしか思えません。


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