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USにおけるドローン飛行について

US で、日本人が自分の無人航空機 (UAS/UAV・以下"ドローン") を持ち込んで非営利目的 (趣味・レクレーショナルフライト) で飛ばす場合の手続きについて、一部情報が古いものがネットで散見されるので、2024年4月時点の物を個人的メモがてらここにまとめておきます。

必要な項目

  • FAA(連邦航空局)の「DroneZone」にてアカウントを作りパイロット登録をする

  • NOIで自分の日本の機体の登録(申告)

  • "TRUST"というオンライン講習の修了(修了証発行)

FAAのアカウント開設とDroneZoneのパイロット登録までは古い情報のサイトと一緒なので割愛します。
異なるのは、多くのサイトで
Drone Owners and Pilots にて自分のドローンのシリアル番号とモデル名を登録して取得した FAA 登録記号を機体に貼り付けて飛ぶ (日本の機体登録記号とは別に必要)」
という手順を踏んでいますが、これは恐らく「USでUSの機体として飛ばす方法」です。もしかしたら、以前はこの方法しかなかったのかもしれません。
ところが見て見るともう一つ登録があります。それは「Notice of Identification (NOI) for Foreign Registered Drones」というものです。
DroneZone の UI はあまりなじみがない形状ですが、サービス(項目?)を追加して使う形になっているので、もし自分のダッシュボードに NOI がなければ、下の [+Add Service] を押してNOIを追加してください。

NOI は、文字通り「外国で登録されたドローンの登録証明をする」的なものです。登録証明という日本語訳は恐らく正しくないですが、要は「USでの機体登録はないけど、外国で既に登録されている機体をUSで飛ばすので、外国での機体登録記号やモデル名・シリアル番号などの情報を登録するよ」というものです。
これが先述の「Drone Owners and Pilots にて自分のドローンのシリアル番号とモデル名を登録する」のと何が違うのかというと「機体登録記号は日本の物 (JUxxxxxxx) をそのまま使用するので、機体に貼り付けた日本の機体登録記号やリモートIDに書込済の情報をFAAの物に変える必要がない」という点です。単純にいえば「日本で登録したドローンを手を加えずそのまんま US で飛ばす」感じです。
登録に必要になるのは、FAA で機体登録をする時と同様な、機体の製造メーカー、モデル名、シリアル番号などですが、それに加えて、登録した国名、登録した国での機体登録記号を記載する必要があります。

なお、USでも日本同様にリモートIDの搭載/動作は義務化されているので、リモートIDを内蔵している機体か、あるいは、外付けのリモートIDユニットを取り付けた機体以外は原則、登録・飛行させることができません。
NOI の説明は公式に書かれているので、そちらを参考にしてください。

Information for International UAS Operators in the United States | Federal Aviation Administration (faa.gov)
Notice of Identification for Foreign-Registered Drones | Federal Aviation Administration (faa.gov)

登録が行われると CID (Confirmation of Identification) が PDF にて発行されるので、US でドローンを飛ばす時はそれを携帯しておく必要があります。この「携帯」は、紙に印刷した物を携帯することは勿論、ただちに提示できる状態で電子的に携帯すること…つまりスマホなどに保存しておくことで携帯とすることもできます (当局職員に提示を求められてから「今からダウンロードします」とかはダメ)。

登録できる機体について

登録できる機体はリモートIDを搭載しているか、あるいは、外付けのリモートIDモジュールをつけて飛ばすものです。それなら、なんでも登録できるの?というと意外とそうでもありません。機体・リモートIDを登録しようとしたら「不正なシリアル番号です」といった意味の表示が出てしまい、登録できない経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際には登録するためには、上の NOI の公式解説の中にも書かれている通り FAA が認識している「DOC」にリストされている機体あるいはモジュールである必要があります。
例えば、DJI Mavic 3 Pro はリモートID内蔵機体としてこのリストに掲載されているのでなんの問題もなく登録ができますが、DJI mini 2 なんかはリモートIDを内蔵搭載しているにもかかわらず、シリアル番号を入れるとエラーになってしまいます。これは、このDOC にリストされていないためです。同じ mini でも mini 3 や mini 4 Pro 等は掲載されているので問題なく登録・飛行させることができます。mini シリーズでリストされてるのは、この3機種だけのようですね。

mini 2 もリストにある外付けリモート ID モジュールをつけて飛ばせば飛ばせるのだとは思いますが、内蔵リモートIDがあるのに外付けをするというのも無駄な感じがして残念ですね。
なおここを見ると分かりますが、シリアル番号の構成って公式には先頭4文字が製造メーカーコードになっていて、DJI の場合「1581」がそれに当たるようです。Mavic3 や mini4 Pro などリストされている機種はシリアル番号がメーカーコード (DJIなら1581) から始まっているなど特定のフォーマットに準拠した長いものですが、リストされていない mini 2 は先頭から3Q6などで始まっていて短めでそのフォーマットに準拠していないシリアル番号体系のようです。

免許制度について

今回の話題のように個人が旅行で US を訪れて趣味でドローンを飛ばすのには、日本同様 US でも免許は必要ではありません。ただし、日本と違うのは日本では商用/非商用を問わず免許不要で飛ばせるのに対し、USでは商用の場合FAAの正規の無人航空機パイロットのライセンスを取得しないといけないところです (正確には表現が逆で、本来全員が FAA の無人航空機パイロットライセンスを取得しないといけない所、趣味目的の飛行の場合は特例でライセンスを取得せず飛行させることができる制度)。この試験は割と簡単には取れないので、仕事で US にドローンを飛ばしに行く人は、US の無人航空機パイロットライセンスをお持ちでない場合には相当前からの準備をオススメします。
気をつけないといけないのは、商用とは「日本でクライアントから US でのテレビ番組空撮業務を依頼されて撮影のため飛ばしに来た」などの典型的な商用飛行だけでなく、YouTubeやアフィリブログなどの収益化され広告等収入を伴う場所に使用する動画/静止画等の撮影をするようなものも「商用飛行」になる可能性が高いことです。商用飛行については今回のネタの主題からは外れるので解説は割愛しますが、気をつけないといけないので、該当する人は事前に調べておきましょう。

非商用(趣味)で飛ばす場合には無人航空機操縦士の FAA ライセンスは必要ありませんが、TRUSTというオンライン講習と確認テストが用意されています。これは、FAA 認定のボランティア団体が試験をしている物で、自分で好きな団体を選んで受験をするものです。詳しくは、公式サイトの説明にて確認をして下さい。

The Recreational UAS Safety Test (TRUST) | Federal Aviation Administration (faa.gov)

内容はそれほど難しくなく、単に US 国内にてドローンを飛ばすルールについて学ぶもので、学習後、クイズ形式で確認テストに合格したら TRUST 証明書が発行されます。これも、ドローンを飛ばす際に携帯する必要があるので、CID 同様に忘れず携帯するようにしましょう。
なお、TRUST を終了すれば分かりますが、日本と US では飛行ルールや制度が異なるので、現地で違法飛行をしないためにも、しっかりと内容を理解して把握しておく必要があります。


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