「ドッグスレッド」「スピナマラダ」の個人的な感想。

アイスホッケーを題材にした野田サトル先生の「スピナマラダ!」「ドッグスレッド」というコミックを昨夜寝る前に読んでました。両作品ともフィギュアスケートからアイスホッケーへ転向していく少年ロウ君を中心に作品が展開していきます。面白いです。

親になった私にとって、一番印象に残っているのは、主人公ロウ君と妹ハルナさん(双子)のお母さんが経済的事情により、二人のうち、どちらかの競技をやめさせざるを得ず、本人が好きかより、巧拙、才能の方を優先したことで、この兄妹には「呪い」みたいなものがかかってしまったこと。自分がその状況に立たされたらどうするだろう?かと。

つい最近、大江健三郎さんの「芽むしり仔撃ち」という作品を読み終えたばかりで、こちらの作品のラストの方で出てくる村長が主人公の少年に向かって言い放つある言葉(お前なんかは子供の時に取り除いたのが良いのだ…云々)をなぜか連想してしまいましたし、「芽むしり仔撃ち」の、主人公が自分の村から逃げ去るエンディングにどこかザラっとした感覚が残っていた私にとっては、この「ドッグスレッド」第一巻の爽やかな終わり方に、とても救われました。

一見華やかに見える競技スポーツの実状を教えてくれる作品だとも思います。ロウ君とハルナさんのお母さんが一方的に「間違っている」とは断ずることは決して出来ないし、抱えている問題への対処の仕方(選抜せざるを得ない、選択と集中的な考え方)は、甘くはないけれど、現実的にはとても理に適っていることも決して看過すべきではないとも思いました。

まとめになりますが、一見かけ離れたように見える大江健三郎さんの小説世界と野田サトルさんの作品世界が、私の中でこんな形でシンクロすると意外でした。こんな「個人的な読書体験」、周りに話してもなかなか理解されなそうな気がしたので、ブログ化してみました。難しく考えず、「スピナマラダ!」も「ドッグスレッド」も続きを楽しもうと思います。個人的にはハルナさんがフィギュアスケートを再開させるか、ロウ君に刺激されて女子ホッケーを始める…とか勝手に期待してました(笑)

今回のブログ、最後まで読んでいただきありがとうございました!




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