「眠り」

眠かった、酷く酷く眠たかった。
朝日を迎えてから意識を手放したのだから無理もない。

もうさっさと眠ってしまおうと布団を被ったのが数時間前。
ぷかぷかとあくびをしながら微睡み、眠りに落ちるのを待っていたらこの時間になっていた。

眠くて眠くてたまらない、今すぐにだって眠りたい。

今またあくびをひとつ漏らしたが、眠りにつく合図ではないらしい。

素直に眠れる日もある、そうじゃない日もある。
そうじゃない日の方が多い。



どうやらまだわたしは健常者ではないらしい。
全然治っていないらしい。
まだまだ時間のかかるものだと、のんびり治るのを待っている方がいいと。

おかしい。

だって、
毎日熱は出なくなったし
人と会話も出来るようになったし
好きなこともできるようになったし
鳴き声をあげながら物に当たることはなくなったし
わけもわからず泣き叫ぶことも、分刻みでえづくことも、手足だけが汗で濡れることも、声が掠れるのも、全部なくなったのに。

もう精神は健康だと思って過ごしていたのに。

もう元気だと、回復したと、みんなと同じだと思っていたのに。

自己判断で病院に行くのをやめたから?だからわたしを引きずり戻そうとするの?患者は金づるだから?薬漬けにしてまた依存させようとしてる?

本当に?
わたしまだ病気なの?

弱くないのに、自分の心は打たれ強いはずなのに、これじゃまるで病弱な人間そのものじゃないか、そんなはずない、ずっとずっと荒波にもまれて生きてきたのに。

とはいえゆるやかに体調が悪いのは事実だ。
精神をすり減らせば簡単に熱が出るし、前触れもなく胃痛に襲われて泣きながら床を這うし、気管が細くなってダメージを受けやすくなったし、入眠障害は残っている。

もう2年は不健康をやっている。
しんどい、解放してほしい。

でもすぐには治らないのでこいつらとはわたしの身体で同居していかなければならない。
なぜわたしは苦しみと同居を?

周りのみんなが眩しくて、その光が目に刺さって抜けなくて、じくじくと内側から焼いていく。
そんな感じ。

わたしの病気はわたしが原因なので、加害者はいない。
誰かに八つ当たりをすることも、恨み殺すこともできない。
自らの首を絞めて泣き続けることを選んだのはわたしなのだから、その後遺症は背負わなければならない。

治ってくれれば嬉しいけれど、そうも簡単にはいかないのでしょう。

ここまで書いていたら今一瞬意識が飛んでいた、眠れるかもしれないのでこの辺りで寝ます。
さようなら。

比翼

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