「石」
身体が重たいのでずっと這っていました。
瞼が重たいのでずっと闇を見ていました。
心が重たいので体内を巡る水音だけを聞いていました。
本当は動けるはずでした。
ほんの少し関節に適切な力を加えれば立ち上がることの出来る身体でした。
誰かがこの手を引いてくれればきっと動き出せるようなそんな気がするのですが、動き出してから何をしたいのかわかりませんでした。
しなければならないことはたくさんありました。
それでも着手することができませんでした。
そうしたことがひとつひとつ胸の上に積み重なって、緩やかに呼吸を阻んでいくのでした。
比翼
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