「光」
たくさんは書かないようにしよう。
名前が付いているかも分からない感情が身を包んで全てを押し潰している。
自分を取り巻く様々なものが牙を向いて寸分の狂い無く心を貫いている。
明日が来なければ、この暗闇が明日も世界を覆ってくれたら、海面が猛スピードで上昇して地球全てを飲み込んでくれたら、
自分が存在していても構わない、と思わせてくれるかもしれない。
フラッシュバックする映像も
自分を責めた自分の声も
味のしなかった食べ物も
なんの記憶も残らなかった日常も
ここぞとばかりに現れて薄暗い部屋を鮮やかに彩る。
眩しいからやめてくれと頼んでいるのに、ずっとずっと光り輝いてこの目を焼き潰す。
瞼に溜まった涙の粒に光が乱反射して、色を変えながらこの目を突き刺す。
痛い。
痛い。
痛い。
どうしてなんだろう。
まばゆい光が肌を削いで、この身に影を落としていく。
比翼
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