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「高校」

これは今日の日記、大したことを書くわけじゃない。

大学の後輩と神戸に遊びに行った。
夏から行きたがっていたのだが予定が上手く合わずに、気付けば秋になっていた。

大規模な施設ではなかったが、いわゆる最近の水族館という感じでレーザーやプロジェクションマッピングなどで美しく飾られた魚たちがいた。

水槽もピカピカで綺麗だった。

一番水族館らしいお写真

わたしが眠いと言い出したので夕方には解散した。

眠いと言ったが帰りの電車でふと思いつき、高校に遊びに行った。
わたしは高校が大好きなので卒業してからも2年おきくらいで遊びに行っている。

教師というものは一度持った生徒のことを忘れない。
その時すぐに名前が出てこなくても、ちょっと当時のエピソードを思い返せばすぐに思い出してくれる。

わたしだってそうだ、自分が担任をしたクラスの子どもたちのことは一生忘れないだろう。
そういうものなのだ。

だから当たり前の顔をしてズカズカ母校に踏み入る。
そもそも警備もクッッッソ甘いので「卒業生でーす」と言うだけで通れる、大丈夫なのか。

うちには昇降口というものがないのでそのまま廊下を歩いて誰か知っている先生を見つけるか、出会えなければ職員室で「わたしが来たよー」と叫ぶ。
大体知った顔の先生が出てきてくれて、わぁわぁとお喋りする。

わたしは在学当時から本当に態度がデカかったので、職員室に2、3歩入っては「入ったらアカンやろー」と怒られていた。
生徒でなくなった今なら職員室に入れるだろうと思っているのだが、今回も入れて貰えなかった。
わたしも教職なのに。
幼稚園教諭第一種の免許持ってるのに。

当時からもう10年近く経っているので、よく知っている先生たちも昇進して外部に仕事があったり、出張があったりでなかなか会えないことが多くなった。

今日ようやく、卒業してからずっとタイミングが悪く会えていなかった先生に会えた。

この先生は英語のスペシャリストなのだが、もうとにかく変だった。
わたしはこの人を超える変人を知らない、なんかもうわからない、とんでもなく面白い。

今日も会えたと思ったらコンビニでもらえるプラスチックのスプーン(未開封)を持っていて、ずっとそれをクシャ…クシャ…と左手で弄びながら「なんでいるんですか。」と、淡々と出迎えてくれた。

それをスプーンだと知らずにわたしが「なんでずっとゴミ持ってるんー?」と聞いたら
「ゴミじゃないッッスプーンに失礼やろッッッ!!!」
と、その日一番のでかい声で怒られた。
オモロすぎる、なんでそこが沸点なんや。

英検対策もしてもらったのだが、当時2年近く面倒を見てもらったので本当に感謝していることを伝えると
「いや、それは僕じゃないですね。」
と、まじで知らん顔をされた。
そういうとこやぞ(大ウケ)

先生たちって本当に変わらないのだけど、この人も例外無く変わっていなかった。
見た目も変わっていなかった、恐ろしい。

この先生が別れ際に
「制服着て授業受けに来たらいいじゃないですか。」
と、言ったのでたまらず叫んだ。 
わたしの将来の夢が高校生になることだから。

本当にそうしたい。
高校生になりたい。

この先生はわたしが高校生になりたいと切に願っているなんて知らない。
わたしが嬉しそうに在学当時の話をしているから、そんなことを言っただけかもしれない。

でも、たまらなく嬉しかった。
ずっと「学生」に心を囚われ続けるわたしには、あまりにも温かい言葉だった。

ここはゆりかご、わたしを甘やかす穏やかな籠。
確実にわたしの足を掴んで「過去」に留めようとする。
わたしは望まなくても「現在」を生きなければならないのに。

どうかいつまでもそこにいて、わたしを甘やかしてほしい。
わたしを知る先生が誰も居なくなった時、ようやくわたしは高校を卒業出来るのかもしれない。

…卒業する気なんてないのだが。



以下オマケ

屋上に自由に出入り出来る(当時の写真)
ほぼ同じ画角で撮ってきた
無人の守衛室(門はガン開き)

身バレ、あまり怖くない。
わたしは既にフルネームと全身がYouTubeに載せられている身なので。
※フルネームで検索しても該当動画は出てきません。

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比翼

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