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夏ピリカグランプリ応募作品(全138作品)

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2022年・夏ピリカグランプリ応募作品マガジンです。 (募集締め切りましたので、作品順序をマガジン収録順へと変更いたしました)
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#夏ピリカグランプリ

いろんな鏡  #夏ピリカグランプリ

いつの頃からか 人々の口コミやsnsなどで「鏡に映るものが現実になる」という噂が流れました その鏡はどこにあり、だれが持っているのか、実際に存在しているのかも分からない状態でした ある国の大金持ちの王様が懸賞金を懸けてテレビやsnsを使い「この鏡を見つけたものには1億円プレゼントしよう」と全世界に発信しました 数日後には 全世界から鏡を持った人が王様のところに集まりました しかし どれも現実になることはありませんでした 大金持ちの王様は どうしても その鏡が欲しくて更に懸賞

マイナンバーミラー【掌編小説】

僕らに与えられた鏡の破片。 それは、長い時間をかけて川底で円磨された小石のように、歴史とアイデンティティを感じさせる。 円形や角がとれた多角形など同じものは一つとしてなく、ジグソーパズルのピースのように、それぞれ役割と繋がりをもつ。 鏡の破片(通称マイミラー)は、出生の届出と引き換えに交付されるのだが、実際には、ICチップ内蔵のマイナンバーミラーカードに情報が書き込まれ、現物は日本銀行の貸金庫に収納する。引き出しは自由だが、紛失や破損をしても再発行はできない。 マイナ

猫のミラー 【夏ピリカ】

愛嬌はないけど、好きだよ あんたのこと。 * 「やだよ。猫、苦手だし。預かるなんて無理」 「しょうがないでしょ頼まれたんだから。それに一日だけだし何とかなるでしょ」 昔から母の自分勝手な所が嫌いだ。 私の気持ちなんていつもお構いなし。 「今日の昼には連れてくるって。あんたよろしくね。どうせ家にいるんでしょ?お母さん今日ちょっと用あるから」 「あとあんた、髪ぼさぼさ。鏡見てみなさい」 その言葉だけは無視した。 自分で引き受けておいて母は本当に出かけて行った。 直後

【夏ピリカ応募】スイーツ探偵:振り回される助手

「私ったら若返っちゃってる!」 「意味がわかりません」 ワタシはスイーツ探偵の助手Cだ。 3か月前、助手として採用された。 一人で始めた探偵業が当たり、 人手が足りなくなったのだ。 正規を雇うほど余裕はないとのことで、 アルバイトだが、学生の身分としては十分だ。 ただ、この先生、 急に突拍子もないことを言いだす。 「今、鏡を見たら目の下の小ジワがないのよ」 「?」 「あなたを採用した時は目の下シワシワしていたの」 「ああ、シワシワというよりカラカラ」 「んん!とに

愛しのマリー 〜【夏ピリカ応募】ショートショート〜

蚤の市で目に留まったのは、少し燻んだ銀の手鏡だった。  銀食器の横に並べられたそれは、20cm位の縦長で周りと柄が、全部手彫りで細かく豊かな自然が溢れていた。 あまりに見事な装飾に見惚れていると 「フランスの1700年代位かね、ここまで豪華なものはなかなかないよ。」 店主の年配の男性が、直々に現地の市場で見つけたと言う。 持ってみると、しっくり馴染む。 なぜか、手にピッタリと吸いついて使いやすそう。 ちょっとお高めだったが、連れて帰らなければいけない気がして購入した。

【企画参加】 ともだち ~ 夏ピリカ

夫に先立たれて10年、1人の生活は寂しくないわけではないが住み慣れた家は居心地が良い。 一人娘のさとみは、毎日電話をかけてくれるし、時々帰ってきてくれる。 老いては子に従えと言うから、娘が言う事には「はい、はい」と聞くようにしている。 そのさとみが『そろそろウチで一緒に暮らさない?』と言ってくれるけど、まだ1人で大丈夫だからと断っていた。 いつの間にか83才にもなっているのだから心配するのも当たり前ではある。 ◇ そんなある日のこと 迂闊にも私は庭で転んでしまった。