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きっとこれが最後の恋だから。


10年以上前からずっと友達だった人がいた。


広く浅く人付き合いをしているような感じの人で、基本的には私と同じ一匹狼に私の目には映っていた。


ふと喋るとお互いに恋人が居たり居なかったりした。


いつからか、恋愛話をするようになった。

よくある、恋愛相談役みたいな。

最初は私からばかり話を聞いてもらっていた気もするが、途中から向こうの恋愛事情を話すようにもなっていった。

そしてその頃には多分月一くらいで連絡を取り、ゲームをしながら通話をする仲だったと思う。


唯一、本音で語り合える異性の友達だった。


お互いに恋愛事情を話していて、私は恋愛の条件が厳しい人なんだなと感じていた。
恋人にするなら、車の免許が必要とか。
元カノさんは免許を一向に取ろうとしなかったとか。
他にも色々されたことがあって、恐らくトラウマなんだろうなって思った。その過去のトラウマが恋人にする条件を狭めてしまっているんだなと…。

車が無いと移動に不便な土地に住んでいる人からすればそうなると思うけれど、みんなが免許を取る時期にいじめに遭い私は取り損ねて居たので耳が痛い話でもあったから。

まあこの人とは恋愛の関係になることはないと思うし、これから先もこんな風にたまに話しながらゲームをする友達の関係なんだろうなと、そう言う風に考えていた。

私に出来たその頃の恋人は、働かず家にいて欲しいし免許なんて要らないって言う人だったし、あとは上手く行けば私もゴールイン…するのかなぁという矢先に別れてしまった。

私が我慢すれば、出来たのかもしれないけれど、我慢出来ないことばかりだった。

時折、あの時私が我慢していれば住むところも大体目星をつけていたんだし良い環境で人生を送る事ができて居たのかもしれないと頭を悩ませた。


***


恋人がいる居ないに関わらず、日頃話を聞いてもらったり一緒にゲームしたりしていたので、バレンタインだけは数年前から欠かさず渡していた。
普段呼んでいたのは活動名だったので名前や住所は知らず、匿名で送れるサービスを活用していた。


いつしか1週間に一度一緒にゲームする頻度になっていた。

私が誘わなくても突然「今日やる?」と連絡がきては慌てて準備し「できる!!」と返したり。

頻度が高くなると、大体母が「ねえ、彼氏なの?」と、しつこくなってくる(笑)
その度に「友達だよ!!」と否定する私。


何となく、彼が私のことをどう思ってくれているのかが気になった。

ゲームを終えてからの「おやすみ」の声にドキッとしる回数も心なしか増えていたと思う。
いつも、私の扱いはどちらかというと良い意味で雑だったし、冗談で適当に扱われることも多かったのにこんなに優しい声だっけ…?って戸惑った。

頭が痛いと連絡すれば、「大丈夫?」って返ってくるのも、昔ならあり得ないことだった。


何でこんなに優しいんだろう?

というか、こんなに優しかった?


そんなことが時々頭の中をぐるぐるしていた。

いつか、こんなことを話した。


「私は絶対に好きにならないから大丈夫だよ(笑)」


恋愛相談しているからって好きにならないし、ずっと友達という意味で、何らかの話の流れで言ったと覚えている。


去年夏頃から急に会社の人間関係に大きな変化が訪れ、移動した先でよく話しかけてくれる男性の方が「誰かいい男いないの?」と恋愛事情を突っ込んできて、その時に頭の中に浮かんだのがその異性の友だちで…。

もう今では唯一の異性の友達だし、仮に好きになって気持ちを伝えて上手くいかなかったらまた友達を一人失ってしまう。。。

そんなことは絶対無理!

でも、その友達にもし恋人ができたら?


その友達は恋人がいようがいまいが変わらず接してくれるとはいえ、さすがに毎週遊ぶのは出来なくなると思うし、クリスマスなどの恋人イベントの時に遊ぶ事も出来なくなるんだろうな…。
最悪、前いた同じく異性の友達みたいに「彼女が出来たからもう遊べない」と断られてしまうだろう。。


相手に恋人ができて、自分が置いてけぼりになるから相手に恋人ができるということを恐れているのだろうか?

それとも、遊ぶ友達がいなくなってしまうから恐れているのだろうか?


という疑問にぶち当たった。

私は一体、友達のことをどう思っているの?

てか、恋ってどう言う状態のことをいうんだっけ?


もう、何が何だか分からなくなってしまった…。

毎日そんなことを考えていたと思う。


***


平日の半ばにどうしても一緒にゲームがやりたくて帰りが遅くなるから出来るか微妙と聞いていた私は落ち着かず起きていて…

なんと、帰りが遅かったにも関わらず帰宅後すぐ通話を繋げてくれた。
そして、深夜遅くまで付き合ってくれた。


後々考えたら、普通そこまで友達にしないよねって。

そんなこんなで、飲みに行きたいね、何処どこに行きたいねっていうような話を前々からしていたのだが、具体的な日付を決めて、10年ぶりくらいに会うことになった。

会うことが決まって、私の心の中は慌ただしくなり始めた。

異性同士が2人きりで出かけるのは、一般的に「デート」と言う。

そして、多分私は普通のデートというものを経験したことがない。
というのも、デートというのはどんなものかをいろんな人に聞いていると、私が経験して来たことは少しズレているものと感じたから。

行きたいお店に寄ってくれないとか、一緒に見てくれないとか、カフェに列があると少しでも並んでくれないとか、付き合いたてなら普通ならどれもあり得ないことらしい。
私は男の人はみんなそういう人なんだと勘違いしていた。


だから私は色んなことが不安になり、その都度こう言う時はどうすれば良いか?とめちゃくちゃ友達に聞いて不安を一つ一つ安心に変えていった。

大丈夫だよ、という感じで友達の言葉ひとつひとつが優しく感じられた。

この時は約束の2週間前くらいだったのだが、急速にその友達にのことを考える度に心がきゅーっと苦しくて、息が苦しくなったり、食欲が湧かなかったり、おかしいなと思った。

まるで、恋煩い。

なるべく考えないようにして、ご飯は食べたくなくても意識して食べ、よく寝るようにしていたら何となく落ち着いた。


私、、、この人のことが好きなのかもしれないな


気付いてしまった。

自分の気持ちに。

じゃあここからどうすればいい?

10年ぶりに会ったのにそんなことを伝えられたら気持ち悪いかもしれないし、第一友達は私のことをただの友達としか思ってないかもしれない。

伝えないで、次会う約束を軽く出来ればそれでいい。

次に繋げよう。

ここで関係が終わってしまうよりずっと友達でいた方が長く一緒に居られるのではないか?
でも、さっき考えたように万が一相手に彼女が出来て関係が自然消滅してしまったら…。

物凄く、怖かった。

ならばせめて、これからも仲良くしたいってだけ伝えよう。

そう、私の中で結論が出た。

***


詳細は書けないが、一般的なデートをした。

待ち合わせはドキドキしたが、なるべく緊張しないようにリラックスに努めた。

あいにくのお天気だったが、ほとんど予定通りに過ごすことが出来た。

沢山お話したし、いつも通り飾らない自分でいれたと思う。

このまま、あとは帰るだけ…だったのだが。


「ねぇ、私のことどう思ってる…?」


めちゃくちゃお酒に酔いつつも、聞きたいと聞きたく無いがせめぎ合って…聞いてしまった。


もう終わったって思ったのに。


好きなのは私だけだったと思ったのに。


彼の中でも私の環境の事情もあって(交通手段の問題)、葛藤していたそうで。


好きな気持ちがなかったら、こうして会わないって。


私、めちゃくちゃ泣いてしまった。


色々なこと、厳しい条件だけど頑張るからってお話をして、私たちは友達から恋人になりました。


何だか分からないけど、今までと違って変な感覚なんです。

何より気を使わず素の自分でいられる仲で恋人関係って初めてだし、

こんなに誰かを幸せにしたいなんて思ったことないし、

本当に戸惑いを隠せない。

この人のためならどんな厳しい条件でも乗り越えられるし、なんならこっそり条件をクリアしてサプライズで結果を見せたいな、なんて考えている自分がいる。


彼の元恋人の話を聞くたびに、私だったら幸せに出来るのにななんて思っていた。

先を見据えてのお付き合い。
全力で努力して、幸せを掴みたい。
諦めかけていた、王道な人生を私も歩むんだ。


私、頑張るよ。





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