下水は宝の山?下水を資源・エネルギーに変える?

下水道ってあたり前にあるけど、水道管も毎年使っていくと痛んでいくし、あんな汚い水をキレイにするには、エネルギー or 金 がかかるんだろうなー なんて容易に想像できるわけなんだけど、水道料金って、上下水道合わせて4,000円/月 → ペットボトル1本分 130円/日ほどなんだよねー。

安いっ。(最近、安いニッポンと騒がれていますが、これも安いですね。)けど、やっぱり収支合わず、限界は来ているようです。自治体が税金などを使ってなんとかしようとしていますが、税金投入も長期的には厳しいものになり、いろんなところで、老朽化などが騒がれています。

下水をエネルギーに変えて儲ける。そんなことができれば、この水道問題の1解決となりそうですが。。。①汚泥の活用と②嫌気処理です。

①について、下水は微生物に分解してもらっていたのですが、微生物も死んじゃうので、底に貯まります(汚泥)。これを、以前紹介したメタン発酵に突っ込んでエネルギーに変えるという手です。

どうせ捨てる汚泥をエネルギーに変えれれば大きいですね。メタン発酵には、加温が必要なのですが、その加温をメタンの燃焼熱で賄う(コージェネレーション)することで、全体のエネルギー消費を低くすることができます。

下水を分解する微生物には、メタン発酵に適したものを入れてあげると、より効率が良いかもしれません。

また、今、プラスチックなどを作る微生物などもいるので、バイオリファイナリーとして、下水を使ってプラスチックを作るという手もあるかもしれません。日本は、人口密度は世界トップクラスなので、有用資源として活用できるかもしれません。

②について、下水そのものをメタン発酵してやるという手です。今まで、下水は酸素を入れて、微生物に分解させたほうが早くキレイに分解できるとのことで、いわゆる活性汚泥というものが使われていたのですが、下水に酸素を入れるのが、電気をたくさん使うため、コストがかかっていたとのこと。実は、酸素無しでも微生物が分解してくれる、しかも、出てきたガス(メタン)は燃やしてエネルギー源として使える。それが嫌気(空気が嫌)処理です。

じゃあ、これを全国でバンバン使えればと思うのですが、嫌気処理にも弱点があります。

1. 下水が薄いので適していない

2. メタン発酵後の消化液がまだ十分キレイでなく、そのまま放流できない

3. 出てきたガスを貯めたり、使ったりする時の設備投資がかかる


1.について、メタン発酵(嫌気)は濃ければ濃いほど良いようなのです。

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食品工場の排水のような高濃度排水なら良いのですが、雨水を含む下水ならばその濃度は低くなります。工場の排水と混ぜるというのは1つの手かもしれません。ただし、工場排水と下水は担当の役所が異なるといった難しさがあります。

2.について、実はメタンとして回収できるのは3%残り97%は消化液なのです。だから消化液の活用は大きなポイントとなります。

メタン発酵の消化液はアンモニア分などが豊富で、このままでは川に放流することはできません。放流するためには、脱窒処理といって、アンモニアを微生物の力で硝酸に変えて、その硝酸を窒素に変える処理が必要です。一方で、そうすると、結局、エネルギーを消費してしまい、嫌気のメリットが薄まります。そこで、逆転の発想として、栄養分豊富ということで、液肥として活用するなどが考えられています。従来、化学肥料を作るためには、空気中の窒素をアンモニアにするエネルギーが必要だったので、消化液を液肥として使えれば、エネルギー的にも良さそうですね。

一方で、液肥として使うならば、農地がメタン発酵の場所が近いほうが良さそうです。そのようなこともあり、嫌気発酵施設が、北海道にあることも多いのです。農地が近くにないところでの消化液の活用は課題ですが、微細藻類を培養するという手も考えられています。

さらに、その栄養液を使って、微生物に電気を作らせるという手も、住友重機械工業が考えているようです。

微生物電池については下記の当方記事も参照。

3.について、最初の初期投資というのは、自治体・事業者にとってはハードルです。一方で、前例などが増えてきたら、より関係者の説得が進みやすくなると思います。最初が肝心ですね。


そうすると、下記のようなことが、策として考えられるかもしれません。

①下水に生ごみ・工場排水を混ぜて濃度を上げて、メタン発酵

 省庁間の連携が必要。メタン発酵用の熱をコージェネするために、ゴミ処理場や工場の近くでのメタン発酵設備の設立が良さそうですね。

②メタン発酵消化液の活用

 農地が近くにないところは、微細藻類や微生物電池などを組み合わせて活用するなどが技術的に確立できれば実用化に近くなりますね。

③チャレンジに対するインセンティブの拡充。

 前例が出てこれば関係者を説得しやすいのだから、まだ広まっていない今は、かなり手当するべきかもしれません。

 今は、環境問題が意識され、カーボンニュートラルの取り組みが加速しているので、今がチャンスかと。関係者が一体となって、下水をうまく処理できれば良いですね。


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