今日の学習OUTPUT #輸液

今年も残すところ、7日である。
皆様におかれましては、どのような1年であっただろうか。
私自身は、今までにない様々な経験をし、怒涛の毎日で日々を噛み締める余裕がなかった。
それなりに楽しくもあり、辛い思いもしたと思う。

毎日更新しようという志も半ば三日坊主になってしまったが、今後も緩く、徒然なるままに続けていきたい。

幸い今年度はまだ終わっていない。
ACLS取得に向けて精進したい。またプライベートでは今後もクライミング、ボクシング、グルメに...幾多のキリの無い欲望を楽しみ続けたい。

さて、今回のテーマは、「輸液」である。
薬理学は私にとって興味の一部であったが、作用機序に着目するあまり種類などになかなか目が向かなかった。
いや、時間がかかると思いずっと後回しにしてきたのである。
そろそろ知っておきたい。
他ページやテキストの受け売りになってしまうが、基本事項をまとめておきたい。
なおここで指す「輸液の学習」とは以下の「水/電解質の補給」目的の輸液の知識を深める目的としている。

輸液:・水/電解質の補給 ・栄養の補給 ・血管の確保 ・病態の治療
上記の目的のため液体を皮下・血管内・腹腔内などに投与すること。
一般には、50ml以上の経静脈注入を指す。
・補足
①体液組成:
体重の3/5は水分である。この水分は 細胞内:組織間:血漿=8:3:1の割合で分布している。(Ex:BW=50kgとして、体水分は30L。その内20Lは細胞内に分布。残りの10Lのうちおよそ7.5Lが組織間隙を、およそ2.5Lが血漿に分布している計算になる。)
・1日の推定必要水分量は 25~30×BW mL/day 
・出血量が25mL/kgになると致命的である。
②尿生成:正常な腎臓では0.5~1ml/minの尿を生成している。
・1分で血液(5L/min)は循環する(心拍出量:CO)。
・腎臓にはこの1/5が流れる(腎血流量:RBF=1L/min=1000mL/min)。
・Htを55%とするとRPF(腎血漿流量)は約550mL/min。
・そしてその約1/5を糸球体で濾過し原尿を生成する。すなわち原尿量≒100mL/min
・原尿の99%のほとんど近位尿細管において再吸収される。トータル、尿としては約1mL/min生成されることになる。

種類:上記の通り、ここでは「水/電解質の補給」の輸液について深めていく。
電解質輸液は以下の通りに分類される。
①等張電解質輸液:血漿と等張の組成。従って水分は細胞内に移行しにくく細胞外液を補充する目的で使用。(細胞外液補充液)
さらに以下のように分類される。
・生理食塩水(Normal Saline):NaClの0.9%等張液
・リンゲル液:Ca,Kイオンを加えたもの。
・乳酸リンゲル液:アルカリ化剤として、乳酸Naを加えたもの。肝障害時の乳酸アシドーシスに注意。
・酢酸リンゲル液:アルカリ化剤※として、酢酸Naを加えたもの。全身の筋で酢酸は代謝される。
・重炭酸リンゲル液:アルカリ化剤として、炭酸水素Naを加えたもの。最も細胞外液に近い組成。
※アルカリ化剤添加:
血液は H₂CO₃⇄HCO₃⁻+H⁺ のような酸塩基平衡に従う。
なおCl⁻の調整は❶Na⁺とセットで増減/❷HCO₃⁻とのトータルバランスで増減、という主に2つの要素が絡む。
よってNSやリンゲル液のようにNa⁺とCl⁻のみ補充すると❷の調整機構で相対的にHCO₃⁻が減少する。これによりルシャトリエの原理から血液の酸塩基平衡はHCO₃⁻を増加させる方向にシフトし、H⁺の増加=アシドーシスに傾く。
ここでアルカリ化剤は、HCO₃⁻を添加ないし、最終的に生成されるようにすることで、この酸塩基平衡を調整し、pH維持の役割を担う。
②低張複合電解質輸液:血漿と等張であるが含有されるブドウ糖代謝の結果として血漿より低張になる※。
日本では用途に合わせさらに以下のように分類される。
・1号液(開始液):Kを含まないため比較的安全に輸液を開始できる。病態不明時にピッタリ。Na=77mEq 
・2号液:脱水補正用に使われる。Na:K=77:20(mEq)
・3号液(維持液):Basic Allowance Na:K=35:20(mEq)
・4号液(術後維持液):術後のThird Spaceへの体液移行に配慮。Na:K=35:0(mEq)
③高張電解質輸液:
・補足
細胞外に投与時は等張であるが、グルコースは直ちにGLUTにより細胞内に取り込まれ代謝水となる。グルコースを失った分細胞外は低調となる。
①血漿浸透圧の基準値:
285±5mOsm/L
水は細胞膜上のアクアポリン(Aquaporin)を介して浸透圧差により細胞内外を自由に移動できる。イオンはトランスポーターを介さねば自由に移動できない。

参考:
・株式会社大塚製薬工場
「輸液の基礎知識」〈https://www.otsukakj.jp/healthcare/iv/knowledge/〉
「水・電解質輸液」〈https://www.otsukakj.jp/healthcare/iv/electrolytes/〉
・日本緩和医療学会
「輸液とは」〈https://www.jspm.ne.jp/guidelines/glhyd/2013/pdf/02_01.pdf〉
・日本赤十字社
「救急ランチョンセミナー」〈https://www.takamatsu.jrc.or.jp/archives/010/201607/%E6%95%91%E6%80%A5%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC.pdf〉

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