いざ出産。大声で反抗期に戻る。

7月30日の朝、仕事に行く夫を車で送って帰宅。
トイレに行くとうっすらピンクのおしるし発見。
夫は当直のため、その日から翌朝まで帰ってこない。
一応LINEで報告しておく。(特殊な仕事なので、職場に入ったら直接連絡を取る術がなくなる。休憩時間に外に出た時に見てくれたら良いなーと。)

いよいよ近いんだなと思いつつ、それが今夜なのか5日後なのかは誰にも分からない。
てかほんとうっすらピンク。血液も粘液も無し。
こりゃまだまだだと思い、予定通り美容室に行く。
帰りは時々行くラーメン屋さんの夏季限定のつけ麺を食べに行く。地元にあったつけ麺屋さんがめっちゃ好きで、ラーメンよりつけ麺が好き。
去年から「このラーメンうま!夏になったらここのつけ麺も食べよう!」と決めてた念願のつけ麺。

おしるし有ったし、ラーメン屋さんとはしばらくお別れかなーなんて思いつつ、お腹に「ほーらつけ麺食べようねー」と想いを送りながらつけ麺を待つ。
私と胎児とラーメン屋しかこの世に存在しないんじゃないかとも思えるくらいに自分の世界に浸ってたところ、隣に座ってた見ず知らずの客にひたすら絡まれ続ける事件が発生。
「こんにちは!」
「よく来るんですか!」
「何頼んだんですか?」
「僕は味噌ラーメンにしました」
「見てください(スマホ見せられる)、このあとコレ(家電?)買いに行くんです」
「○○だといくらで売ってるって書いてあったんですよ」

などなど。

一方的にまあベラベラと…。
いや一方的でも無いか。目も合わせず「さあー」「そーなんですかー」「ちょっとわかんないですねー」の3つだけ返事しといた。意外と会話が成立した風になっちゃうんだよね。
かと言ってフルシカトして逆上されても怖いじゃん。
まあ明らかに会話に乗ってないのに話しかけ続けるんだから、何かあるんだろうな。知らんけど。
たまにそういう人入院してくるし。ひたすら話しかけてくるし、仕事だと流せず話聞くしか無いから苦痛。忙しいのに20分とか余裕で消えてくから本当に状況によってはキツい。
また話がそれた。

速攻でつけ麺を食べ切り、近くのファミレスでデザート堪能しながらお一人様を改めて満喫。

痛みはそこまで強く無いけど、ラーメン屋からお腹が張りまくる。
「これが前駆陣痛かー」と。そわそわ。
パフェ1杯とドリンクバーで粘ろうにも、手持ち無沙汰になってきたところで帰宅。時刻は午後4時頃。

帰宅して、入院準備の確認。シャワーを浴びる。
ちょっと仮眠。
お腹痛いなー。

20時前、陣痛タイマーにて陣痛間隔7分。夫にLINEで報告。

こいつぁマズイと龍が如く0を起動。
しばらくサブストーリーとシノギとカツアゲ返ししかしてなかった。
「陣痛が来たら、病院に行けるようになるまでの時間潰しでクリアするんだー」とメインストーリーの最終章だけを残した状態で温存してたんだ。
ようやくプレイできる。真島さんの新しい顔。恋した女のためにタマ張ってやがる。悔しい。私の吾郎なのに。

そんなことは置いといて、とにかく完走目指してヤクザキャラを転がす。

途中夫から入電

「陣痛きてるの?大丈夫?病院行ける?」

「病院に電話したほうがいいんだろうけど、陣痛き始めた時のために進めといた龍が如くがクリア出来なくて電話できない。これ終わらないと絶対電話したく無い」

「えぇ…(ドン引き声)、まあその、無理しないようにね」

途中ちょいちょい再生されるアニメーションも全部スキップせずに試聴したもんだから、たった1章なのに約1時間かけてクリア。

「真島さん…あんた漢だよ」と真島さんの紳士で真摯な真心に触れて感涙(まじ私きもいな)。クリアしたんだから病院に電話しようかなと思ったら、痛みがマシになってて「今日はもういいや。」と寝ることに。真島ロスで陣痛もロス。わかるよ、真島さん格好良かったね。大陸マフィアのヒットマンはめちゃくちゃ顔怖かったな。佐川さんもセクシーで良き。あー。切ない切ないな。

と布団で余韻に浸ってたらお腹超痛い。陣発6〜7分。電話して受診。

病院到着 7月31日00:30。

「一度帰っても良いけど、旦那さんと一緒じゃ無いんだよね。朝来られそう?そっか、うーん、じゃあしばらくここで過ごして、朝診察した感じで決めましょうか。お迎えに来てもらえたほうが良いもんね。」ということで一旦入院。仮入院みたいな。

夫の携帯は不通になってたので、家族連絡窓口みたいなところに「折り返して欲しい」と伝言を頼み、夫に状況を説明。6時頃に産院に行けそうとのこと。

しかし4時くらいから声が抑えられないくらいの痛みになってしまい、そのまま入院継続。

7月31日朝6時頃夫到着。

8時に院長診察。「今日の夜には産まれそうですね。今日生まれないなら明日ちょっとお薬使って促進させましょう」とのこと。

夫には一度帰ってもらい、夕方まで仮眠を取ってもらう。

ひたすら強まる痛みだけど陣発6,7分から縮まらず。

「これ以上痛くなるの!?」と思ってたけど、今思えばまだ序の口だったな。まだのたうち回ってない。

夕飯が出てくる時間には痛みが強すぎて食事食べられず。ご飯が美味しいことで有名な産院なのに。1食はまるっと夫の腹に収まる。悔しい。

夕方から産むまでは陣発のたびに叫ぶ。

看護学生時代に見学させて頂いたお産がとても静かで、いきむ時の「ふん!」って声と、息んだ後の「っはぁー!!はあ、はぁ…」以外で声を出さないようやお産。自分の中の分娩イメージがこの経験に準じてしまい「自分は静かに産める」と思い込んでいたため、自分のお産を恥ずかしく情けないと思ってしまう。(そういやその時の指導者の助産師さんに「これが普通と思ったらアカンで。この人は特別すぎるだけだから」と後から言われたなとこれを書きながら思い出す。)

途中痛みでパニックになり泣き叫ぶ。胎児が死ぬかと思った。

腰をさすってた夫が、ついお腹をさすろうとした時に「触んないで!!!!!」と怒鳴りつける。間欠時「ごめんキツいこと言って、でもお腹爆発しそうだから触らないでほしくて」と謝る。

すでに情緒が不安定。

ここで日付は8月1日に。

30日の夜から陣痛始まってたのに。7月中に産まれると思ったのに、お腹の子が8月を選んだ。仕方ないけど、24時間以上はきついわ!!!

9時から促進剤開始とのことで4時以降の飲水を禁じられる。(食事は0時から禁じられてたよ)促進剤…痛みが強まるって聞いたことがあるから本気で嫌だったけど、今思えばさっさと進んだ方が良かった。どのみち促進剤使わなくても死ぬ手前の痛みは味わうんだから。

8cm。分娩室に行こうと促される。「よっしゃ産める!」と叫ぶが「全開になるまでここと同じように過ごすだけよー。場所が変わるだけよー」と優しく説明されて絶望。

まだまだ俺たちの戦いは終わらない…!

4時頃、少し身体を動かしたら破水。バシューンと股間で水風船が弾けた感覚と共に生温かい羊水が流出。

破水したということは!お産がさらに進むということで!これ以上痛くなるの!?もう無理なんですけど!!!と完全パニック。

お腹が痛い!腰が痛い!痛い!痛いよおおお!と叫びまくる。

「痛いよね、そのうちうんちしたくなる感じになってくるよ」と言われる。

腰にかかる圧迫感を感じた途端に「うんちしたくなってきましたああああ!」と宣言。ほんと言わなくても助産師さんはプロで分かってんだから黙ってろって感じ。

次第にイキんで良いと言われるが、イキみたい感じがわからない。噂に聞くイキみ逃しの時間がなかった。イキめといわれても分からない。

(のちにショートステイでお世話になった助産院の助産師さんに『若いと自然と身体からお産に乗るんだけど、年齢を重ねてるとイキみが解らないから長引くって多いんだよねー』と聞く。年を重ねてしまってた。)

「硬いうんちを出す感じで!」と言われるが、仰向けで硬いうんこ出したことねーよ!

「お尻浮かせないで!マットにしっかりお尻はつけて!」「痛くても身体はねじらないよ!真っ直ぐにしないと赤ちゃんが産道を通らないよ!」「脚の力は抜いてね!」「つま先は伸ばしたら吊るから、曲げるんだよ!」

→全てのアドバイスに「痛くて勝手に身体が動くの!!!動かしてるわけじゃ無いの!!だから無理!!!!!」と反抗期になる。

バースプランに「姿勢についてアドバイスをして欲しい。それを実践したい」と書いたの私なんだけどね。

ちなみに排臨したあたりから夫は足元に移動してたよね。「旦那さんに下見られたらダメ?」と確認されて「私はどっちでも良いです。見たいなら見るで」というやり取りして。

排臨中に胎児の頭に触れる。痛くて早く出て行けと感じて、お産が終わるのをひたすら叫びつつ耐えるしか無いと思ってたけど、触った時に

「あー、はいはい、ここに出てきたのね。うわぁ、もう出すしか無いじゃん。出すの誰?私じゃん。痛いから力入れたく無いんだけど…すでに痛みで血管切れそうなのに。力入れたら脳出血とかしそうで怖いんだけど…でも出すしか無いのか…はぁー嫌だなぁ。脳出血怖いなぁ。どこに搬送されるのかな、職場かなぁ。嫌だなぁ」と脳内会議。仕方ないから覚悟を決める。

一度イキんだらノンストップ。陣発のたびに身体が勝手にイキみだす!!!!!

収納されてたレバーを(ここにレバーがあるはずだ)と勝手に立てて「見てみて!レバー出てきた!ラッキー!」と1人で大喜びして笑われる。すごくレバーに執着したんだけど、あれなんでだろ。ああ、分娩見学させてもらった人がその位置のレバー握って出産したからだ。

そんなこんなで、陣発中は自発的に2回いきむ→1回勝手に身体がイキみだすから諦めてイキむ→間欠時も体に力が入りっぱなしで「痛くて力抜くのもできない」と泣き言→抜けたら抜けたで次の陣発まで寝落ちする。このサイクルをひたすら繰り返し、06:57出産。

分娩所要時間30時間2分。

カンガルーケア希望してたけど、いざ乗せてもらうと「うわぁ…マジで人間じゃん…やべぇ…」としか思えない。感動とか愛おしさじゃなく、とにかく疲労感。

とりあえず胎盤も出て一息ついて、まず最初にしたことは助産師さんに「色々言い返したりして本当すみませんでした」と謝った。

おめでとうございます、小饅頭は産まれたし、私の脳血管も無事だった。

メンタル崩壊まであと3日。

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