見出し画像

ROTTENGRAFFTY 25th Anniversary"Blown in the Reborn Tour"〜ロットンの日2024〜 ライブレポ

6月10日 京都MUSE

キャパシティ350人規模のライブハウスにこの日は400人近くの人間が集結した

数々の観光名所が賑わう中、異様な光景だが
ライブキッズにとっては最早清水寺よりも名物だろう

京都出身6人組ロックバンド、故郷へROTTENGRAFFTYが帰ってきた

それだけでも熱いのにこの日は毎年ロットンの日と呼ばれバンドにとってもファンにとっても特別な日となっている

彼らはバンド結成25周年を記念した全国ツアーの真っ最中

昔からお世話になった箇所を選定し
比較的中小規模のライブハウスにゲストアーティストを招き回っているが

だいたいどのバンドのツアーでもゲストの発表まで様子を見て発表されたら一気に売り切れるパターンが多い

しかしこの日はゲスト発表前より遥かに早くソールドアウト
プレミアチケットを勝ち取ったロットンファンが全国から集結した

この日のゲストはTHA BLUE HERB

異例とも言えるヒップホップ界の重鎮との対バンだ
彼らはロットンのファンしかいない事を想定した特別なライブを展開
自らの半生を辿るかのように言葉を紡ぎロットンのファンを魅了した
特にノリ方を強要するような事は一切なかったが自然と体が揺れ、その世界観に引き込まれていった

「俺達こんな経験(自分達目当てのファンがいないライブ)初めて、ロットンには本気で感謝してます。いつものライブは今日と全然違うんで、良かったら遊びに来て下さい。もっと盛り上がるんで笑」と最後に語るとなんとフロアに降り
後方まで観客とハイタッチしながらロットンへバトンを渡した。

新鮮な余韻に浸りながら20分程度の転換時間を過ごすと暗転

いよいよ本日の主役のお出ましだ


活動初期の頃に使用していたMaxusのRottenをSEにメンバーが登場

注目の1曲目は配信リリースされたばかりの新曲、暁アイデンティティ

1分の中にこれぞロットンと言わんばかりのロック魂を詰め込んだショートチューンで早くもモッシュダイブの応酬が始まる

このツアーではアンコールで披露されてきたこの曲がまさかの1曲目に来た時点で【いつもと違うライブ】になる確信を得たファンのボルテージは一気に頂点まで上がった

その後もあえてツアーではセットリストに入らなかったPLAYBACK、So…Start
そしてロットンに欠かせない必殺のハレルヤまで連投された序盤の流れは明らかに異常であった

ツインボーカルは掛け合いが至高なミクスチャーナンバーPLAYBACKで飛び跳ね

疾走感満載の祭り囃子ラウドハレルヤで頭を振りまくり

キャッチーなSo…Startで走り回りと
ライブハウスの遊び方をたった4曲でコンプリートしたのでは?と思うほどの盛り上がり

「獣のような叫び、何言ってるかは分からんが喜んでる事は伝わった‼︎」とN∀OKIが絶賛する

「結成記念日でもなんでもないただの語呂合わせから始まった何でもない日、それが今や何回やったか分からんが特別な日になった‼︎」とファンへの感謝を述べ絆を確かめる

「瞬間を生き延びろ‼︎」と世界の終わりへ
まさにいつ何が無情に起こるか分からないと痛感したからこそこの曲に込められたメッセージが痛いほど響く

呼応するように歌い体をぶつけ合い宙を舞うファンは正にこの瞬間を生きていた

まだまだ楽しめと言わんばかりにおなじみのダンスナンバーD.A.N.C.E.を連投するとフロアは狂喜乱舞

ダンスクラブのようにミラーボールが回るが踊り方は千差万別

統一感はないが謎の一体感で踊り狂うと不穏なSTAY REALのイントロが
ライブハウス百戦錬磨の猛者が集うロットンファンもこの殺人的な流れに思わず「ヤバい……」「死ぬ…………」と身構えるが休むなんて選択肢は無いようだ

レスポンスも完璧だし、モッシュの激しさはむしろ強くなっている 

強くなっているとは言えモッシュは予定調和と言うよりもそれぞれの衝動が偶発的にぶつかり合っているようでむしろ美しい

ここでNOBUYAを口を開く
「さっきN∀OKIも言ってたけど、お前達のおかげで6月10日は特別な日になりました。本当に感謝しています。そのお返しに、お前らを殺す気でいくんで、お前らも殺す気でかかって来い‼︎」

こんな台詞日常で吐かれたら通報モノだがファンにはご褒美でしかない

ベスト版収録曲人気投票アンケートにて1位になるほど絶対的支持を得ているThis World

暴力的ななスクリームに凶悪な重低音とファンのヘッドバンキングによるとんでもない光景が作られるのだが

曲中NOBUYAは一時的にファンへのコンプライアンスを撤廃

今にも殴りかかりそうな形相で1人、また1人と踏み台にしフロア中央付近まで歩を進める

N∀OKIもステージダイブを繰り広げ、今日のハイライトを作り上げた

バンドも化け物だが、ファンもたいがい化け物だ
ボーカル2人だけではない

目紛しく展開する楽曲へメンバーもファンも導くHIROSHIの力強いドラムプレイとベース侑威地のクールなビートが体を震わせ

去年末に正式メンバーとなったギターMASAHIKOが魂を燃え上がらせるメロディーをかき鳴らす
ここにいる全員がイカれている

「オイ‼︎俺らのホームの京都が1番支えが弱いってどう言う事やねん⁉︎」と叱咤激励も飛び出せば
「ライブハウス最強バンド、ロットングラフティーです‼︎最後までよろしく‼︎」と断言してステージへと帰って行く

こんなやりたい放題な振る舞いができるのは半端ない数の戦いを生き残ってきた証明だ

一転MCとなると和気藹々とした空間になる
思えば2年前、この場所からサポートギタリストとしてロットンのステージに立ち始めたMASAHIKOの話になり
初心を忘れないようにと当時と同じ衣装を着用していた事はNOBUYAにネタバレされると言う闇討ちをくらうが

ロットンが凄いバンドだと言う事
自分の人生が一変した事
ファンへの感謝を語ると盛大な拍手が送られた

この日は自身の母親も観にきているとバラされるとフロアは更に大盛り上がり

「本当にオカンって感じの人、凄く優しい、だから息子はグレた、破壊王になった」とメンバーがイジると大爆笑がおきた

さて、そんな談笑を挟んで後半戦へ

この日ゲストに迎えたTHA BLUE HERBへ感情の気持ちを述べ
「いつもいつもこの曲が背中を支えてくれた」と超レア曲のWalkがコールされると流石にこの日1番のどよめきが起こる

もちろんファンの中では言わずと知れた名曲だがライブで披露されるのは本当に稀で

特別な日の特別な選曲に思わず涙するファンもいた

そしてこのツアーのタイトルにもなっている未発表の新曲、Blow in the Rebornに続く

ロットンのメロディーはどこか懐かしい、どこか暖かい気持ちになるのも特徴で

正にこの曲は間奏のハーブパートも含めてそんな印象が強い

ここからはラストスパート、まるで金閣銀閣のようにロットンの双璧を成すキラーチューン銀色スターリー・金色グラフティーで再加速

少し休まる時間があったとは言えどこにこんな体力が残っていたのか
モッシュダイブダンスは更に更に激しさを増し
暴走列車のように駆け抜ける

金色グラフティーのイントロでは「ダイブしたいやつまだおるやろ‼︎全員飛んで来い‼︎」と挑発
正に命をかけた戦いのような盛り上がりを記録した本編は、情緒的なアッパーチューン秋桜で美しく大団円

メンバーがステージを去ると間髪入れずロットン‼︎グラフティー‼︎とアンコールが始まる

つい先ほどまで熱気の影響で天井から水が落ちてくるほどのエゲツない時間だったのだが…………このバンドのファンは不死身なのだろうか…………

そんなラブコールに応えないわけにはいかないとメンバーが再び登場

「ロットンの日はファンのためにやる日、逆ロットンの日(10月6日)は俺らが自分らのためにやる日、どうかまた10月、京都に集まって下さいよろしくお願いします」

そう、10月6日には毎年自身主催のフェス響都超特急を開催している京都パルスプラザにてワンマンライブを敢行する

新体制になって初めての、バンドとしても実に6年ぶりの大型ワンマンだ

約10000人のファンが各地から招集するその日に向けてのアンコールは壮大なロックバラード、マンダーラを披露

一大イベント大成功への決意を込めた音と言葉の意志表明に見惚れていると一転、真っ赤な照明に不穏なサイレンが鳴り響くとファンは狂喜の雄叫びをあげる

「相変わらず争いが無くならへん世界、だが分かるやろ⁉︎戦争を知らん俺たちだって‼︎ラブアンドピースの心は確かにある‼︎音で殺し‼︎蘇れぇぇぇ‼︎零戦‼︎SOUNDSYSTEM‼︎」

全身全霊を持って音により負の感情を殺し、平和の連鎖へと蘇るために爆撃のような轟音に身を任せる
特攻さながらのダイブが途切れぬ空間は戦場のようだ
それぞれがそれぞれの日常に潜む負の存在を捩じ伏せるため戦う兵士達にも見えるほど感情を根こそぎ爆発させていた

「ありがとうございました‼︎最後にもう1曲‼︎俺たちの始まりの歌‼︎」
正真正銘締めの1曲は切り札

ここに来て更にフロアの熱量はピークを更新
今すぐ誰か倒れてもおかしくないような盛り上がりだったが全員が笑顔なのである

これがロットンとファンが創り上げる切り札
まさにラブ&ピース、京都の溝鼠達が辿り着いた唯一無二の世界だ

「ありがとうございました‼︎俺達がここ京都で産れ育った‼︎ロットン‼︎グラフティー‼︎」

その咆哮は10月6日に待つ同じく京都で開催するワンマンへ向けて改めて気合を入れ直したようだった

耳鳴りが起こりそうなほどの拍手で満足気にステージを後にするメンバーを見送ると
体力の限界を迎えたファン達は一斉にドリンクカウンターへ殺到した

この先まだまだツアーは続き、各地フェスの出演もありつつ10月6日に向けて彼らは更に熱く泥臭く突き進む

きっとこの日を遥かに超える時間が待っているに違いない

期待が膨らんで仕方ないがひとまずは灼熱の2024年ロットンの日、これにて閉幕


暁アイデンティティ
PLAYBACK
ハレルヤ
So…start
世界の終わり
D.A.N.C.E.
STAY REAL
This world
Walk
Blow in the Reborn
銀色スターリー
金色グラフティー
秋桜

encore
マンダーラ
零戦SOUNDSYSTEM
切り札


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?