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所詮人生は長めのホームステイなんだから〜映画HOMESTAYが教えてくれたこと〜


見終わった瞬間、自然と笑みが溢れた。

怒涛の1時間45分。

片時も目を離すことが出来なくてずっと、画面の先にかじりついていた。

この何とも言えない気持ちをどうにか残したくて。

ほとんど使ってないnoteに書いてみることにした。



原作も知らなくて、ただただ大好きなアイドルグループなにわ男子の我らが最年少が主演だからと心待ちにしていたこの映画。

予告が公開されていくたびに、自分の始めの想像とは全く違う重い物語であることを感じ取った。

けど、なんとしても長尾くんの記念すべき映画初主演を見届けたくて。テレビに繋げて。心を整えて見てみた。


結果。感情のジェットコースターにも程がある。結末に至るまでにどれだけ心を揺らせば気が済むのか笑。ジェットコースターみたいに初めはゆっくり物語のボルテージは上がっていく。でも一度頂点から落ちたら、もう止まらない。上がったり下がったり曲がったり捻ったり。真の死の真相がこうか!!と思いきややっぱり違って何かが起きて。伏線なんて敷く暇もなく新しい事実がどんどんと。正直、「混沌」、この言葉が計らずも似合ってしまうそんな時間だった。


だが、何故か見終わった今は、心の中に柔らかくて、でもどこか活力のある春風みたいなものがすうっと入ってきて優しく私の心を包む。

それはきっと、どんなに混沌な時間が進んでも、その混沌をすっと分け入るような真っ直ぐな芯がこの物語にはあるからだ。

「だけど、もう少しだけ自分の人生を愛してみることにした。しぶとく生きてみよう。だって、所詮人生は長めのホームステイなんだから。」

最後に真が放った言葉だ。(あくまでニュアンス)

これが、この物語の全てなんだと思う。

真への周囲の行動や様々に複雑な事実には、ずっと暗闇の中にいると思って、必死で自分の自我の殻を守って生きてきた真自身には、酷く冷たいものに写っただろうし、シロも彼の死は周囲のせいだとも思っていた。


けれど最後にシロが「真を俺が殺した」と、気づいていたように、彼を最も酷く扱い、冷たく突き放したのは紛れもなく真自身だったのだ。

彼自身が「自分」をその目で見ていなかった。愛してあげられなかった。だから、本当に自分を見てくれる誰かの眼差しにも気づけなかった。自分の自我に爪をたてるフィルターや物差しを通してばかりで、本当に真っ直ぐな目で向き合ってあげていなかったのは彼自身だった。

この人間の自我と尊厳に関わる、核心に迫る事実を、ここまではっきりと、鮮明に、描いたこと、それ自体がこの物語の意義であり、軸だと私は感じる。


しかし、この事実に私は果たしてこの作品と出会わずに気づくことが出来ただろうか。もしかしたら、何かをきっかけにそう思えたかもしれないけど、でも実際は中々難しいのではないかと思う。

何故なら、人間はいつだって自分を客観視することも、全てを見る事も出来ない、不完全な存在であるからだ。


視聴者やシロは、そして真の周りの人間は真にとって、「他者」だ。
(後からシロが真本人だったことがわかるが、それまではシロは自分は真ではなく他者だという立場でいる)

だから真の人生も彼に向けられた眼差しも外から眺めることができる。

けど、真だけはその中にいるから、誰かが手を差し伸べてくれないと、肩をとんとんとして、自分を眺める場所に連れて行ってくれないと、見る事が出来ない。

その、手を差し伸べてくれた存在がシロであったわけだ。シロが他者という立場で真の人生を見る事ができたから、真を見つめる視線に気づけたから、最終的に真は救われた。

そこから分かるように、私もこのホームステイという、自分を外から眺める世界観を教えてくれる映画に出会ったから、外から引っ張る力があったから、気づけたのだ。

だからきっと、私達は「他者」との繋がりを断ってはならないのだと思う。それも、ネット上の、互いの都合の良い面のみで繋がるような弱い関係ではなく、自分の良さもずるいところも分かった上で、それでも繋がろうとしてくれる、そんな繋がりを。

そっと顔を上げてみると、私の脳裏には鮮やかに、いつも私を見てくれる人達が一人一人浮かんできた。

自分は幸せ者だ。余りにも沢山の人が私を見て笑ってくれている。私を包んでくれている。

そんな大切な事に、この物語は気づかせてくれた。


これ程までに人の心を動かせる映画になったのには、勿論沢山の要素があるけれど、やはり長尾くんの演技の素晴らしさは欠かすことのできない事実だ。

私は元々長尾くんの演技がとても好きだった。彼は時々メディアで「フォトジェニック」という表現をされることがある。
彼の演技はまさにその通りで、繊細なようで大胆で、どこか蒼くて、でもひとたび目にしたら、目を離すことができない、視聴者をぐっと吸引する、そんな演技をすると思う。

まさに今回の演技はその「吸引力」が存分に発揮されていた。物語はシロ視点で進むから、シロは話しているけれど実際に体が動いている真自身は実は余り言葉を発していない。
つまり、殆どが表情の演技だった。それなのに、真の、シロの気持ちは痛いほどこちらに伝わってきた。

憧れのみつき先輩を見つめる熱を持った眼差しに、幼馴染をどこか切なそうに見つめる眼差し。イメチェンをしているときの陽気な足取り。隠された事実が分かっていくたびに震えていく唇に強ばっていく顔。

どれをとっても自然なのにダイナミックで、驚いた。

なにわ男子は演技と言えば、大吾くんとみっちーのイメージが強い。それは間違っていないし、実際二人とも演技がとても上手だし、演技もそれぞれにまた違って私は大好きだ。

でも、私は何より長尾くんの演技をもっともっとみたいと思った。上手い下手を超えた、あの吸引力をもっと味わいたい。


だからこの映画をもっともっと色んな人に見てほしい。
もっと彼の演技の凄さを知ってほしい。レビューの中には既に、「ジャニーズだけど凄い」という言葉があって褒められているようで実は軽く見られていたということを感じて、若干悔しかったけど、でも長尾くんの演技はそんな偏見も簡単に吹き飛ばして夢中にさせてしまうほどのパワーを持っている。


どうか、沢山の人に彼の演技が届きますように。そして、少しでも多くの人が自分の人生を愛せますように。
今が辛くったって、きっと、きっと何とかなる。
だって人生は、貴方がズッシリと重く背負うべきものじゃなくて、所詮長めのホームステイなんだから。


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