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【短編小説】VARでよりサッカーを楽しみましょう。

東アジア選手権が開催されている今。とある魔皿町での物語、大木戸博士はまた新しいものを開発したそうな。

大木戸博士「ついにできた!これがあれば、私が大好きなサッカーがより楽しめる。助手君見てくれ!」
助手「今回は何を開発したんですか?バナナですか?」

大木戸博士「全自動VARドローンだ。これがあればサッカーの審判はいらない上、間違いのないジャッジが行われる!体育専門学群でも実証済みだ」

そこにはモニターと特殊なカメラを付けたドローンが何台もあった。
モニターにはカードの色や文章などが表示される。ファウル時には警告音がなり、該当選手に近づく。

Wikipedia君「ビデオ・アシスタント・レフェリー (Video Assistant Referee、略称VAR) とは、サッカーにおけるビデオ判定を主に担当する審判員を指す名称またVARシステムの呼称でもある」
助手「いきなり出てきたね。Wikipedia君」

大木戸博士「しかも、このドローンについているカメラは自分がピッチに立っているような視点で映してくれる。つまり中継する映像も大きく変わる訳だ。」

数年後、日本のリーグ戦はもちろん国際試合でもこの全自動VARドローンが導入されていった。買収や人的ミスがなく、テレビ中継台も安くすむ画期的な発明だと思われていた。

これが導入されてから「ドローン審判が言うことは絶対。文句を言っても意味ない」という常識が広まった。


ただ、このドローン、文句を言っても意味がないのではなくモーター音のせいで選手などの声が聞こえないという弱点であった。

つまり、選手が熱くなって罵倒しあったとしてもファウルを取られなくなった。選手たちもこことぞばかり煽ることもあった。もちろん手を出せばファウル、このギリギリのラインを攻め合う謎の争いも生まれた。

ドローン審判は忖度をしない。試合が荒れたとしても止めに入らない。手を出して選手に淡々とファウル、カードも出す。没収試合も増えたそうな。

これはスポーツマンシップ的にもどうなのだろうか。


もしこの審判ドローン、作成した人が特定のチームのサポーターであり特定チームに有利な審判をするようにプログラムされていたら…

誰もが「ドローン審判=絶対」と信じる時代、疑う人などいるのだろうか。

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