見出し画像

【2021年版】ビーフィーター蒸留所見学ツアーまとめ

どうもヒデイシです。

今日は『ビーフィーター』というロンドンドライジンを造っている蒸留所へ行きます。

画像1

今すぐ行きたいところですが、まずはビーフィーターについて予習していきましょう。

(動画はこちら)

ロンドンドライジンとは

画像3

そもそもロンドンドライジンとは何なのでしょうか?

名前のとおりロンドンで生まれたジンのこと。(ちなみに、ロンドン以外で造っていても定義を守っていればロンドンドライジンと名乗れる)

定義などは複雑。こちらのサイトで綺麗にまとめられているので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

一部を引用させていただくと

* 度数が96%以上の農作物由来(主に穀物や糖蜜など)のアルコールをベースに、天然のボタニカルのみを使用し、再蒸溜したもの
* 再蒸溜後の添加物が基本的にNG


ビーフィーターの誕生秘話

画像4

ビーフィーター蒸留所について1820年創業と書いているサイトは沢山ありますが、実はその当時はチェルシー蒸留所という名前でした。なのでまだ1820年にはビーフィータージンと呼ばれるものは存在していません。

その後、ジェームズ・バローという薬局経営でビジネスを成功させていた方が、1863年にそのチェルシー蒸留所を買収。

そして、そのジェームズ・バローさんがビーフィーターのレシピや造り方を考え出し、今のその製法は受け継がれているそうです。


ビーフィーターの名前の由来

画像4

ビーフィーターとは、ロンドン塔にある王家の宝を守る近衛兵(君主を警護する直属の軍人や軍団)のことを指します。

ビーフィーターと呼ばれている理由がまた面白く、つづりは「BEEFEATER」と書かれるのですが、これを真ん中で分けるとBeef eater(牛肉を食べる人)

彼らは国王主催のパーティーの後、残った牛肉を持って帰ることを許されていたので、この名前で呼ばれていたんだそうな。

ちなみに、ロンドン塔はビーフィーター蒸留所から5キロほどの場所にあります。


ビーフィーターの製法

ビーフィータージンで使われているボタニカルは9種類。

画像5

(beefeaterのホームページから引用)

これらのボタニカルを24時間、初留の後に単式蒸留器の中で「スティーピング(浸漬)」し、そのあと再留しているみたいです。このレシピはジェームズ・バローさんが生み出して以来、今も受け継がれています。

ということで、予習はこの辺にしておいて、早速ビーフィーター蒸留所に行ってみましょう!

ビーフィーター蒸留所へ!

ビーフィーター蒸留所の場所はイギリスのロンドン

画像6

そしてかなりの街中にあります

画像7

蒸留所のあたりはさまざまな工事が進んでおり、目の前には大型スーパーマーケットが建設されている最中。こう聞くと「騒がしい街なのか?」と思うかもしれませんが、決してそんなことはなく、自然にも囲まれた穏やかな街でした。

(リスがいるほど)

画像8

(蒸留所の外観)

THE.イギリスの建物といった感じで、外観からすでに歴史を感じます。

画像9

オフィスの上には、ビーフィーターの前身であるチェルシー蒸留所の設立年看板がドンっと掲げられています。

では早速、中に入ってみましょう!

画像10

まずはツアーの受付兼ショップが出迎えてくれます。ここではジンはもちろん、様々なビーフィーターグッズも売っていました。

画像11

(日本では見ないジンも沢山)

画像12

(ロンドンガーデン)

画像13

(こんなものまで)

ショップの様子だけでも画像だらけになってしまうので、この辺で!またYouTube動画にもまとめるので、気になる方はぜひ登録してください^ ^

では受付をすまし、ツアーへ!

ジン博物館へ

画像14

受付横にある赤い扉を開けると、、

画像15

作り上げられたビーフィーターの世界観が広がります。ここでは自分たちで施設を歩いて周り、ジンやビーフィーターの歴史を学びました。

画像16

これはジンの暗黒時代の風刺画「ジン横丁(1751)」

画像18

18世紀半ば、産業革命期あたりにロンドンなどの大都市に多くの労働者が集まり、スラム街が形成されていました。そしてその労働者の間では、外国から入ってきた質の悪い安いジンが広まっていたそう。

当時はビールの方が値段が高く、賃金の低い労働者はビールに手が出せなかった。そして質が悪いかつアルコール度数の高いジンを飲み続け、ジン中毒者が後をたたなかったみたい。

それを危惧して、当時この「ジン横丁」のポスターが街中に貼られていました。この絵を見るとジンを飲む気が無くなってしまいます。ジン中毒の母親が赤ちゃんにジンを飲ませている描写もある...

そして、その対比として描かれたのがこの「ビール街(1751)

画像18

(ビール街)

こちらの絵はジン横丁とは対照的に、ビールを飲んできる人たちの生き生きとした様子が描かれています。ジンと比べて低アルコール度数のビールを飲んだ方が健康的だぜと言わんばかりに、ジン横丁と比べて街から活気が溢れる様が伝わってきます。

今となってはビールよりもジンの方が、プレミアム感がありますが、当時は「堕落の酒」というイメージがついていました。歴史というのは面白いですね

他にもたくさん展示物がありました。

画像19

画像20

(ポットスチルのレプリカ)

画像21

(中にはちゃんとボタニカルが入っている)

画像22

(ビーフィーター)

では次はお待ちかねの試飲タイム!

画像23

壁にジンを使ったカクテル名が書かれている階段を登っていくと、

画像24

試飲会場に着きました。そしてビーフィーターに使われているボタニカルの香りや味を確かめながら、実際にジンを飲めるという貴重な体験をします。

画像25

(ビーフィーターに使われているボタニカル)

画像26

今回試飲したのは、蒸留所限定の「ロンドンガーデン」と「マンデイスジン」、そして真ん中の「24」

やはりそれぞれ特徴があり、飲んだり香りをかいだりと楽しかった。ちなみに、左から順にアルコール度数が高いです。

試飲が終わると、次は製造している現場へ!

製造工程

画像27

画像29

画像28

スチルは全部で10以上ありますが、実際に使われているのは写真3枚目のスチルのみとのこと。蒸留する前に直接アルコール度数96%のスピリッツをスチルに入れて、ボタニカルを浸漬しており、蒸留は1回のみで済むからだそうです。

では具体的な製造工程の説明を...

画像30

まずはポットスチルの中に度数96%のスピリッツとボタニカルを入れ、24時間かけてゆっくり寝かします。この段階で、ベースのスピリッツにジュニパーベリーなどのボタニカルのエキスがうつるという仕組み。

画像31

次に行うのは蒸留。ビーフィーターでは7時間かけて蒸留しているそうです。

ちなみに加熱方法は直火ではなくスチーム式です。

画像32

そして、初めに出てくる「ヘッド」と最後の部分である「テイル」をカット。

コンピューターではなく、人の手でこの工程は行われているそう。責任重大なポジションですね。

ここで取り出すスピリッツのアルコール度数は80度

画像33

次はボトリングの工程。

蒸留されてできたジンをBLENDING VATというタンクみたいなものに集めます。

ボトリングはここビーフィーター蒸留所でせず、スコットランドに輸送して行われます。そしてスコットランドの水で加水してアルコール度数を調節し、ボトリング。ビーフィーターの造りにスコットランドも関わっているとは知りませんでした。

あと一番驚いたのが、ビーフィータージンを造っているのは『たったの3人』ということ。

最後にジントニック

画像34

ツアーの最後にはジントニックをプレゼントしてもらいました。トニックウォーターは「フィーバーツリー」、ガーニッシュは「レモンとオレンジ」

やはり蒸留所で飲むお酒は美味しいです。ツアーは1時間ほどあり、一緒に回っていた夫婦とジントニックを飲みながら話をしました。「日本のライスワイン、私たちすごく好きなのよ」と言っていました。日本酒のことだと思います。

では、これにてツアーは終了!

およそ2年ぶりの海外蒸留所見学、めちゃくちゃ楽しかったです。楽しさのあまりついボリューミーなnoteになってしまいました。

最後まで読んでいただきありがとうございます!




素敵なウイスキーライフをお過ごしください🥃