見出し画像

ごきげんでいるための「いとをかし」思考で唯一無二の感情を生きること

私は感情の揺れ動きが忙しく、感動することが多くて、幸せの沸点が低い代わりに、小さなことにも傷つくし、その変化の激しさに翻弄されて時に疲れ果ててしまいます。

自分のごきげんは自分でとりたいし、もう少し自分の感情をうまく受け流していきたい。

そんな中でここ最近実践していることの一つが「いとをかし思考」です。

それはどういうことかというと。

道端の見知らぬ草木から思いもよらない綺麗な花が咲いて心動かされること、好きな人に話しかけたいのに話しかけられなくて切なく悲しいこと、仕事で失敗して大反省しながら家路に着くこと、ふいに痛切に孤独を感じて部屋でうずくまること。

たとえばそんな全てをいとをかし、ありがたし、と思って客観視しつつ、しみじみと心の奥底に染み込ませていく思考法です。
ちなみに古語では、「をかし」は趣深い、「ありがたし」はめったにないという意味です。

枕草子REMIX」という、枕草子を現代語訳した上で、トピックス別に抜粋して、現代のエッセイ的に編集しなおした作品があります。

昨年、その本を読み、平安の女性も割と今と変わらない感覚をもってるなーと感じるとともに、(トピックスがもっとディープなので、をかしについてはあまり出てこないのですが、)特定の感情に紐づくディティールを列挙していくのって意外と現代においても斬新な感じで、とてもいいなと思いました。

こういうことがあると、こういう気持ちになるんだな、それを知れたのは良い経験だったな、と自分の経験をメタ認知してポジティブになれることもそうですが、そのうえで、一つ一つの感情がどんな形をしているのか、みたいなことを観察して自分の中にストックしておきやすくなるからです。

なので、暗い気持ちに溺れそうになったら、そんなこの状況もいとをかし、ありがたし、と唱えて、最近あった「をかし」な出来事を他にも並べてみます。そしてそれらの感情の1つ1つを観察します。

そのうちに、ああ私はかけがえのない今を生きて、唯一無二の感情を抱いているんだ、と尊い気持ちが込み上げてきます。

そしてそれを心に書き留めておくと、小説で表現された絶妙な登場人物の感情の揺れ動きに対しても、敏感に反応することができて、味わえる物語の幅が広がっていくのです。あの気持ちってこういうことだったのかも!って腹落ちできるととってもうれしくすらあります。(多分きっと本だけじゃなくてほかの人の感情への理解にもつながっているはず。自信はないけれど。)

最後に…最近読んだ星旅少年というマンガの1巻にまさにそれ、という言葉がつづられていて、思わず泣きそうになったので紹介させてください。

「私やっぱり寂しいです
読み切れないほど本があって
やりたいことがたくさんあって
空にも水にも
溢れるくらい星が光っているのに
たったひとりの手を放しただけで
こんなに空っぽになってしまうんですね
だけど私
この気持ちを消したいとは思わないんです
寂しい分だけ
あの子がここにいたことを
きっと大事に思い出せるから」

「うん そうですね
寂しさと手を繋ぐこともきっとできると思いますから」

「寂しさと手を繋ぐ」ってなんていう素敵な言い回しだろうって思いまして。

願わくば、私もその感情の揺れ動く様を美しい言葉に昇華させて誰かの心を震わせることができたら…と今日も夢見るばかりの夜です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?