バレンタインこわい
バレンタインにまつわる思い出を振り返ると、つらい、苦しい、しんどい、はずかしい、みたいな気持ちがこみあげてきて、ちっとも、ときめくことができません。
これってなんなんだろうということをメタ認知しておきたく、また、こんな人もいるんだよってことを伝えてもいいのではと思って、その気持ちを書き残してみます。
友達同士で「手作り」を持ち寄るという恐怖
まずこれです。高校の時、彼氏がいようがいまいが、バレンタインとは女子が手作りのチョコを持ち寄って大交換会を開く日、でした。
オーブンなんて基本的に使ったことないし、チョコの湯煎もしたことないし、お菓子作りなんて全然好きじゃない私。でも、手作りを持っていかないと、友達の輪に入れないかもしれないのが怖くて、恥を忍んで母に相談しました。
そんなにお小遣いもない中で、チョコレートのミニカップケーキを量産するために、材料とラッピング用品を大量に購入してくることがもうつらい。
他にやりたいこといっぱいあるし、なくてもぼーっとしたいのに、膨大な時間をかけてキッチンを粉だらけにする時間がしんどい。
ベーキングパウダーを入れ忘れて最初ぺちゃんこのチョコケーキができてしまって、そんなポンコツな失敗をする自分が不甲斐ない。
がんばってつくって持って行ったら、ある男子が誰のチョコがおいしかったかをランク付けしていてなんだか不愉快。
いただいたたくさんのチョコを紙袋に入れて持ち帰り、お腹痛くなっても夕飯食べられなくても、感想が言えるように、チョコを全部食べないといけないのが苦しい。
思えば、ボーイッシュな魅力あふれる部活が一緒の友達は、キットカットを買ってきて、みんなにニコニコと配っていました。
つまり、絶対に手作りである必要はなかったんです。でも私には作らないで済ます勇気はありませんでした。
彼氏にチョコを求められる恐怖
幸いにも高校時代はバレンタインのタイミングで彼氏がいたことはなかったのですが、大学生になって付き合い始めた人とは、付き合って2ヶ月目みたいな、1番仲良しなタイミングにバレンタインがぶつかってしまいました。
試しに買ったチョコと手作りチョコどちらがいいか聞いてみたところ、「手作りがいい!」と即答する彼。
やっぱりそうだよね。ずんと胸に重たい何かがのっかってくるような感覚に襲われます。
基本的に高校時代につくったチョコレートケーキしか作れないので、それを用意しようと決めて、期末テスト的なものや部活の次年度への準備などで忙しい中、必死で準備した記憶があります。
しかも、大学生になるとチョコだけじゃなくて、何かプレゼントも用意しなければ、みたいなプレッシャーもあって、とても悩みました。忘れたい記憶だからなのか、何をあげたのかはもう覚えていません。
とっても喜んでくれた記憶はあります。
大人になってしばらく経つと、バレンタインってわざわざ手作りである必要ないよね、みたいな流れになって、ようやくこういうところで女子力試されなくてよくなった、と非常に安堵しました。
社長からの、何か良いチョコ選んで買ってきてオーダーの恐怖
にもかかわらず、まだ終わらないバレンタインプレッシャー。
ベンチャー企業で広報をしていた私は、秘書のいない社長がいろいろ気を利かせてプレゼントを選ばないといけないときに候補出しを女性視点やコミュニケーションを円滑にする観点からよく頼まれていました。
割と見目麗しい男性の社長でしたし、バレンタインシーズンには、男性からもチョコあげてもいいよね、みたいな流れもあって、ある日、「ちょうど会食あるからチョコレート選んで買ってきてよ」と依頼されました。
こういう時は絶対にその年限定のものにしないと、それ食べたことあるよね、と意外性がなくなってしまうし、好き嫌い分かれそうなものは好まれない。
そのうえでラッピングがオシャレで高級感のあるものがベスト。
候補を出して、何を買うかを決めて、万が一買えないことがないように事前に購入予約。
身を粉にして働いていて、プライベートなんてボロボロで、こんな私の女性視点なんて役に立つんだろうか…と思いながら、チョコレートを買いに行く道すがらふと我に返ってむなしい気持ちがこみあげてきました。
思えばバレンタインに限らず、依頼された期待には応えなければと、あの頃、どう考えても向いていないような業務にも必死でくらいついていました。
どうしてバレンタインをドキドキワクワクできる女性になれなかったのか
今なお、どうして私はそっち側にいけなかったんだろう、って思います。
お菓子づくりが楽しくて、何をつくろうかなー喜んでくれるかなーって1ヶ月前からワクワクしたり、サロンドショコラで新作チョコをチェックして自分へのご褒美にどれを買おうか…なんて悩んだり、そういうふうになりたかったのです、私は。
でも、なれなかったなー。
とにかく、疲れちゃう。疲れちゃう自分がダメな気がして落ち込む。という負のループ。
だけど最近は少しずつ、そんな定型的でない感情もまた尊いのだ、と思えるようにもなってきました。
私なりのバレンタインとの距離感、見つけていけたらいいなと思う今日この頃です。
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