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読書日記#23 旅に出るまでの気もそぞろな日々に読むもの

4月★日

米津玄師さんの「Lady」、「KICK BACK」のほうが気分が上がって好きだなーって思ってたけど、今朝出勤中にきいたら、胸をかきむしられるような切なさみたいなものがこみあげてきて、これはこれですごいパワーを秘めてるなと感じる。

得られなかった幸せの幻影が詰まってるというか。

しんどいことを乗り越えて、弱さを理解したら楽しめるコンテンツが増えると思っていたのだけど、増えたのではなくて、入れ替わったというか…いつからか、ハッピーエンドが受け止められなくなってしまった気がする。だってハッピーエンドなんて物語の中にしかない、きれいごとのような気がしてしまうから。そしてそう思ってしまう自分に欠陥があるように感じてしまうから。なんて、気障なことを並べ立てる自分、ちょっと気持ち悪い。

でも、楽しめるものが減るのは、困るなー。あとどのくらいの時間が過ぎたら私はこのしんどさを浄化できるんだろう。

電車の中で気持ちを切り替えて「琉球の時代」を読み始める。

歴史系の良書は価格が高いのだけどこれは古本でそこそこの金額で購入ができてよかった。レビューも良さそうだし、沖縄旅行に向けて行きの飛行機も含めてちびちびと読んでいきたい。冒頭はまだ話がマラッカで、情感たっぷりの文章は良いのだけどまだ沖縄に辿り着けていない。

もう少し今のこの切ない気持ちにはまる小説も読みたいなー。沖縄に連れていく本は海が似合う、抒情的な文章が魅力的な本がいいなと考える。

本棚をみてぱっと目につくのは「空ばかり見ていた」の青い表紙。でもこれ、初夏の気配や沖縄とは全然関係なさそう。

次に目についたのはモームの「片隅の人生」。
モームは南の島がよく似合う。

実際この作品は東南アジアの島々を舞台に繰り広げられる人間模様についての本だそうなのでぴったりだ。

同じく未読の「コスモポリタンズ」も本棚にある。これは夏や島とは違うけれど。

これらは未読だけれど、「月と六ペンス」を読んで以来、モームさんのことは大好きで、短編集は3冊くらい読んでいる。

うーんでもなー。これなのかな。しっくりくるかと言われるとちょっと違う。

まだもう少し考えよう。

帰宅後、キックボクシングに行く前に、ニラが余ってたので、急いでニラ玉キムチ煮麺を作って食べる。鶏もも肉も入れる。ほんと手軽においしくて、素麺一束で済むので炭水化物量も控えめにできてえらい。

赤くて辛そうだけどキムチのせいなので全然辛くないよ

お食事のお供のゲーム実況はLost in Random。
全てのルールが女王のダイスで出た目で決まる暗い、崩壊しかけた世界で、悪夢に誘われ、連れ去られたお姉さんを探して、途中で出逢うダイシーとともに、不思議なダイスの力を駆使して旅する話。

いよいよ終盤なのだけど、このゲームの期待を超えるストーリー展開と緻密な世界観とティムバートン風のキャラクター造形がとてもよくできていて毎回驚く。メタ的な要素も絡んできて、これ、どういう結末に辿り着くんだろうとわくわくする。

ゲーム実況があるからこういう世界をゲームしなくても堪能できて本当にありがたい。

最近研究中の実況者の1人、ぜんざい助教授、ゲームのチョイスと読解力とアクションセンスと三拍子揃っていてとても良いです。

そしてキックボクシングへ。

行く途中、Audibleでまた小説を聞く。

知人が編集に携わったという「むかしむかしあるところに、死体がありました」という昔話を舞台にしたミステリー短篇集。
普段あまり読まないカテゴリーなので、ハマれるかなーと少し不安だったけど、(少しネタバレになるけれど)のっけから一寸法師が極悪で、皮肉の効いた展開がとても良い。

ナレーションの方の声色の使い分けがそりゃそうなんだけどプロの技で落語を聞いてるみたいな没入感がある。

これだからやっぱりAudibleのサブスクはやめられない。

4月◎日

水着。
帽子。
リゾート用のワンピース。
日焼け止め。

ずっと使ってなかったそれらを、毎日少しずつ発掘していく。

飛行機の乗り方を調べる。
ターミナルを調べる。
高速バスを調べる。
飛行機に持ち込める荷物を調べる。

1つずつ私のペースで把握していく。

早くに予約したのに、飛行機の座席をあとから指定するものと知らずに変な席になったけれどまぁそのくらいは仕方ない。

いいお天気の空の下。腕も足も背中も、全身心地よい筋肉痛と共にてくてくと歩く。

お昼はお弁当を買ってきて、黙々と読書ランチ。いつもこれだと寂しいけれど、貴重な読書タイムになるのでこの時間はこれはこれで重要。

沖縄旅行に備えてKindle Unlimitedにあった沖縄の怪談「キリキザワイの怪」を読む。まだ5話くらい。31話も入っているらしいので全体像はつかめていないけれど、これ、表紙のおどろおどろしさに反してあっけらかんとしているというか、怪異は出てくるけれど、そんなに怖い感じではなく、どちらかというと「興味深い」が先立つ印象。それにとても読みやすい。

沖縄ならではの妖怪や「ユタ」といった巫女的な職業に就く女性が出てくるので土地の文化を理解するのにも役立つ。

帰宅後、お腹が減って我慢できなくて、ココイチのカレーを頼んでしまった。

それから、たまった食材をなんとかすべく、専用にスパイスが混ぜられたパウダーを使ったガパオライスのガパオ部分と、牛蒡とベーコンのマキシマム炒めをつくる。

自炊始めたての頃、こういう手を抜いた作り方があると知ってたら、もっと料理のハードル下がったんだけど、その頃にはそういう難易度の感覚すらないからレシピを見るしかなかった。そういう意味ではちょっとずつこなれてきてはいるのかな。

これを夕飯の前に作れば夕飯代は追加でかからなかったんだけど。どうしてもお腹が空いてるとご飯作るより今すぐ食べたくなる。

食後に軽めの小説が読みたい気分になって今日もAudibleで「タルト・タタンの夢」をききはじめる。

カジュアルフレンチの小さなレストランの人間模様を描きつつそこでのちょっとした謎をシェフが料理をヒントに解き明かしていく、心温まる小品集、という感じ。
またしても「いい教訓」みたいな結末がしっくりこないことはあるけれど、とにかく読みやすくて、夢中になれるストーリー展開がお見事。

まだ三舟シェフの人柄がつかみきれていないので続きを楽しんでいきたい。

近藤史恵さんの本を読むのは初めてだけど他の著作も実はずっと気になっている。

これからの旅にはこういうのもいいね。





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