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「声の大きい人に、ささやかなストーリーをかき消される」ということ。

自分の真意を主張する余地を見つけられないままコトが進んでしまうことがある。
ちょっとしたことだが、例えばこんなことだ。

お世話になっている人が、たまたま私の職場にいらっしゃったことがあった。
その人は、私の上司を慕っているので、上司に会いに来るのが一番の目的だったと思う。

ただ、私も、以前からお世話になっていたので、お礼をする良い機会だと思い、その人に何か買ってお渡ししたいと考えた。
それで、その人が来ることが分かった日に「確か○○が好きでしたよね〜?買ってこようかな」と上司との雑談の中で話した。

その人に何か差し上げることは、上司に言われたからでもなんでもなく、私個人の思いから行動したまでだ。

ところが、当日、私が用意したものを差し上げて、お相手が私にお礼を言ってくれた場面で上司が「頼んでおいたんだよ」と言った(!!)
私は呆気に取られた。
頼まれた覚えはないのに、そういうことになっちゃうんかぁ!と思って。
周りの人達が「さすがですねぇ」と上司を称賛し始める中、私は、やっとの思いで「いつもお世話になっているので」と口にはしたが、本当に伝えたいお礼の気持ちを伝えきれなかった。

思い返せば、事前に私が上司に話した際、上司は「帰り道に店がない」と言っていたし、当日も「お金出そうか?」と言っていたので、私に頼んだつもりになっていたのかもしれない。
その時に自分が「個人的にお礼をしたいので私が用意します」とでも伝えておければ良かったようにも思う。

あるいは、上司の側からすれば、そもそも自分に会いにくるその人に、私が何かお渡ししようとしたこと自体、横から邪魔される気がしていたのかもしれない。

この、ちょっとした一瞬の出来事で、実際に何が起きていたのかは、私には思いが及ばない。
悪気のある行動ではないように見えるから、なおさらよく分からないが、中には、そういう大したことでもないことで、いつの間にか、ちょびっと毒が盛られているということもある。

いずれにせよ、声の大きい人は、他の人にささやかなストーリーがあるのを知らずに、ブルドーザーのように進んでいってしまうのだ。

自分もそうやって誰かのストーリーをかき消してしまうようなことをしてるのかもしれないと思ったら、なんだかゾッとして、後味が悪いまま頭に残っている。

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