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Blue Stone Ocean "Reboot" -act.6;-BAR 識@大阪・心斎橋-

昨年ご好評いただきました、
都内限定5店舗のBarでの
Teen Spiritsオリジナルカクテルイベント
”Blue Stone Ocean”

2022年はWhiskey&Co.メンバー厳選のBarに
裾野を広げいこうと思ってます。

今年最初のご紹介は大阪・心斎橋の
BAR 識

オーナーバーテンダー・仲市さんのインタビューは
Teen Spiritsのラベルアートの如く、
のっけから精神世界へのDeep Diveから
スタートしました。

1.「識」その名の由来

W:
今日は宜しくお願いします。
今日は最初に聞くこと決めてたんですが、
そもそも識(しき)って名前の由来はどんなところにあるんですか?

仲市:
そもそも漢字にしてる、ていうところなんですが、
日本人としてのアイデンティティを示したいな、
っていう想いがありました。

海外の人から見ると漢字って
すごくクールなものに見えるそうなんですよね。
日本人だとなかなか、
自分たちの使ってる文字なので
気付けないですよね。

形状やビジュアルが、
シンボリックでカッコイイっていう。
なので漢字にしようっていうのは
当初から決まってました。

で、「識」っていう字、
これ仏教用語なんですね。

W:

仏教用語!

仲市:

特別自身仏教徒ってわけじゃないんですが、
昔から好んでいるというか、
すごく寛容なスタイル、
思想にシンパシーを持ってまして。

で、仏教の教えによると、
世の中を構成する5つの要素の一つに
「識」というものがあるそうでして。

その中に「色」のほうの「しき」もあるんですが、
こちらは肉体とか物欲とかの概念なんですが、
「識」のほうは、心のありようみたいなものを
全体的に表している言葉なんですね。


識(しき、巴: viññāṇa ヴィニャーナ, 
梵: vijñāna ヴィジュニャーナ)
とは、意識、生命力、心、洞察力との意味の
仏教用語である。
認識対象を区別して知覚する精神作用を言う。
(Wikipediaより引用)

すごく意味深い言葉で、
そもそもなかなか真の意味自体も
理解し難い言葉なんですけど、

この言葉の意味を理解しきれていなくても、
この言葉を見たり、書いたり、
聞いたりするだけで、
力を得られるような、そんな言葉なんだそうです。
意味が分からなくても、難しいものでも、
なんか良い影響を得られる。みたいな。

それが…自分の中では、
どこかバーの空間の在り様に繋がる感覚が
あったんですね。

意識とか、常識とか、見識とか、
どれも「識」って付いてますよね。
そう考えると、そういうものが交錯する、
飛び交う、で、こちらも発信もすれば、
受け取って学ぶこともある。
「識」が交錯する場所がバーなんじゃないかな、と。

「識」って言葉を分解すると
「音」「言」って字が入ってるじゃないですか。

バーって、ともすれば

「言わなくても分かってよ」
「バーってこういうもんですよ」

みたいな空気感ってあるんじゃないかなと
僕は思うんですね。

でも、自分自身は、
そこはしっかり言葉にして、
音にして、伝えることを大事にする
お店をやりたいなと思ってた、
っていうこともあり、
この言葉がすごくしっくりハマったんですね。

W:
なるほど。
昔から思い入れあった言葉なんですか?

仲市:
知っていた言葉ではあるんですが、
思い入れというわけでもなくて。
女性的な響きの言葉にしたいなあって
思ってたんですよね。
漠然と。漢字で、女性的。

で、たまたま、名前どうしよっかなあーーー…
と考え込みながら、バーで一杯やってたら、
珍しく隣の席の女性から声かけられまして。
僕、なかなか人から声かけられにくいタイプだと、
自分では思ってるんですが。(笑)

で、SNSでも交換みたいな話になったら、
まさかのその女性の名前が、

「識」

シキさんだったんです。笑

W:
えええ。それはスゴイ。笑

仲市:
漢字一文字、識と書いてシキ。
これで確定しちゃいました。笑

2.自分が責任を持てる場所

W:

なんというか…日本的な文化に
すごく思い入れありそうですよね。

仲市:
そうかもしれないですね。
識は仏教からとりましたが、
こういう教えって、人の不安を
解消するものじゃないですか。

僕がやろうとしているBarの一つの理想論としては、
押しつけがましいわけではなく、
家でも職場でもない、緊張と弛緩で言えば、
身を預けられる場所、みたいなものを考えてます。

W:
元々精神世界とかそういうものへの興味が
とても強い若者だったんだろうな、
と感じましたが、
今の仕事に辿り着いた経緯って、
どんなだったんですか?

仲市:
最初のきっかけで言うと、
大阪に出てきたことですね。
地元の名古屋から進学で大阪に出てきて、
金銭面は全て自分で捻出してたもので、
とにかくバイトに明け暮れてました。

そんな中で、
色んな年齢層の人との付き合いが始まって、
バーに連れてってもらったりしてたんですね。
初めて行ったお店では、テンダーの上田さんの
初のコンペでの受賞作品の「Pure Love」を
飲ませてもらったり。
すごく美味しかったんですよね。
カクテルへの目覚めだったので、
よく覚えてます。

そうこうしてると、
いつの間にかその周りの人間がどんどん
バーテンダーになり始めて、
で、自分も巻き込まれました。笑
明日からここに何時に来て、
みたいなスタートでした。

とにかくお金が必要な生活だったので、笑
人が好きとか、仕事が好きとか、
そういう感じではなくて…
生きるために必要な技術身につけるのに必死、
って感じでした。しばらくの間は。

W:
やめようとか、
別のことやろうとかは思わなかったんですね?

仲市:
なんか意固地になってたというか…
自身、色々尖ってた時期だったのもあって、
これで生きてやる。腕磨くんだ。他人は関係ない。
みたいな。ギスギスしてたなーとは思います。
身体壊したり、なんか精神的にも
健全じゃなかったんじゃないかな、
と今は思いますね。

そんな時に、このままじゃいかんな、
初心に返ろう、と思って、
改めて銀座のテンダーに行ったんです。
Pure Loveを飲みに。
実際に上田さんに作ってもらって。

そしたらやっぱり、
すごく美味しかったんです。

この時に何というか、
本当の意味でスイッチが入ったというか。
この仕事に賭けようと。
人との向き合い方とか、考え方とか、
ガラッと切り替えて。

そんなモードチェンジをして、
責任者として立っていたお店が、
オーナーの諸々の事情で
ある日突然閉めなければならなくなって。
スイッチが変わっていた分、
ショックでしたね。

一緒に働いている仲間にも、お客様にも、
突然おしまいですって言わなきゃならない。
初めて仕事で涙流しました。

実はここに至るまで、独立願望とか、
自分の店を持ちたいって気持ちは
あまりなかったんです。

ただ、自分がやり続けることで、
自分に関わってくれた人たちに応えられる、
そういう仕事なんだなと気付いたというか。
やり続けるには
自分が全責任を負える場所を作ろう、
ということで、独立を決意しました。

3.Mellow

W:
始めたきっかけ、決意のきっかけに、
カクテルって大きな位置づけだった印象ですね。
Teen Spiritsって、
仲市さんのカクテルへの拘りとは
どんな形でリンクしましたかね?

仲市:
僕がお店をやってるミナミってエリアが、
なんというか、
バー文化については保守的というか、
カクテルで攻めているお店って
あんまりないんですね。
他エリアの人からするとミナミって、
道頓堀!The大阪!
ってイメージだと思うんですけど。
そんなエリアでバーが若干停滞しているのが、
なんかもったいないなあと感じてます。

そういう意味合いでも、他のお店とも連動して、
カクテルで色々仕掛けよう、みたいな意識は
実際強いですね。

で、今回、Teen Spiritsのカクテルには

「涅槃」

ていう名前を付けさせてもらったんですが、
これも仏教用語でして。笑

クラシックなものと、
それを打ち崩すカウンターカルチャーって
常に繰り返されてきたと思うんですけど、
今って時代的に、それが同居させやすい
空気感になってきている気がしているんです。

バーで言えば、オーセンティックな雰囲気と、
自由さ、楽しさ、ミクソロジーみたいな文脈も
溶け合って欲しいな、って個人的にも思ってます。

なので、人の受け取り方によって変わるのもよし。
自在に変わる、それこそ水みたいに、
器の形によって変わるみたいな。
そんなお店でありたいと思っていて、
それを僕なりの言葉なんですが、
識の唯一のテーマとして

「Mellow」

って言葉で表現してるんです。
輪郭が溶け合って、水彩みたいに滲んで、
みたいな。

カクテルで言えば、酸味もあれば、
ああ、甘みが感じられる、とか、
深く深く泳いでいくと、感じられてくる、
みたいな。

そういう部分で、
Teen SpiritsってすごくMellowなお酒だなと。
パッとみて昔の衝動を
思い出す世代もいるでしょうし、
若い世代でも目を引くビジュアルで、

それこそオーセンティックバーに
置いてあっても良いけど、
クラブに置いてあっても
違和感ないと思うんですよね。
そこにウチのMellowの感覚を見出しました。
色も変わるじゃないですか。
日本的な素材を使ってるけど、
スタイリッシュでもあるし、
手に取りやすくもある。

そういうイメージを持ったので、
ビジュアルは挑戦的な感じ、パッと見たら、
あれナニコレ?て感覚から、
味わいはクラシックなものを下地にした
バランス感を意識したカクテルに
仕上げてみました。

ある意味、色々な価値観を受け止められる、
という点で、
最後に至る境地、でも誰もいけない境地、
なのに行った気になっちゃう境地、
ていう名前を付ける。笑

Teen Spiritsという名前から
インスピレーションを得て、
10代の強みを、ちょっと斜めな視点で捉えて、

「涅槃」

と名付けたのが、
今回のカクテルです。

4.Teen Spirits Cocktail

涅槃(NEHAN)

涅槃(NEHAN)

Teen Spirits 45ml
グリーンティー 30ml
プラントベースメレンゲ 3tsp
リースリングシロップ 10ml
バタフライピーシロップ 10ml
レモンジュース 15ml
(スマック/ヘンプオイル/ケール)

梟はしずかに炎をしまう 
情動は色褪せない 
いついつまでも果てもなく

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