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ぴっかぴかの、ピカちゃん


先日、実家の愛猫が死んだ。

わたしがまだ実家に住んでいた時、
仕事へ行こうとして家の玄関をあけた途端
当時うちへしょっちゅう遊びにきていた
野良猫のシロちゃんに助けを求めるように、
ボロボロで衰弱した茶白の猫が擦り寄っている光景に遭遇した。

脱腸しているのか、おしりから何かが少しでていて
明らかに病気で瀕死の猫。

見捨てられず  とりあえず家の中にいれて
家にいた姉に託し、ひとまず職場へ急いだ。
そうして引き取ることになったのがピカちゃん。
母が名付けた。
ほとんどオレンジに近い鮮やかな茶色の子で
太陽みたいにぴかぴかしていた、だからピカちゃん。多分。
私は勝手に別名、春風亭ぴっかり⭐︎と呼んでいた。
(一時期落語にハマっていた影響です)

保護して病院にいった時から、先生に腎臓が悪いといわれていた。

だけどみるみる元気になって、
拾われた恩義を感じているのか いつも礼儀正しく
先住の猫たちの立場はしっかり立てつつも
その後またうちで保護することになる子猫の面倒をせっせとみてくれる 出来る男だった。
とんとん拍子に優秀な中間管理職となっていった。

一応ボスのマイケルは、全くみんなをまとめようとせず自分だけが愛されたいと母にべったりなぼっちゃんなのに比べて
ピカちゃんはみんなに慕われ、いつも女の子たちを引き連れているモテ男だった。
だからといって前に出ようとはせず、あくまでもボスはマイケル様です と上をたてる謙虚な男、
それがピッカリ。

その後何年かしてわたしは実家を出て、
たまに帰っては猫たちとベタベタする生活を数年送っていたのだが
今年の夏、8歳か9歳になるピカちゃんの具合が悪いと母から連絡があった。

今年は猛暑だったから心配だった。
母曰く冷房をつけても、冷房のついてない部屋へ行ってしまうようだった。
まだ若いし少し涼しくなったら調子も良くなるだろうと思っていたけど
病院に行くと慢性の腎臓病がいよいよわるくなってきているとのこと。

定期的に点滴をしたり、薬を飲んだりして
様子をみていたけど  あまりよくならず
秋にはついに尿毒症になってしまった。
尿毒症にまでなると、もういよいよ治らないという。

不思議なもので、猫は死期が近づくとお風呂場に行きたがるようになる。
うちの実家には常に保護猫がいて、何匹か看取ってきたが大概みんなそうだった。
ついにピカちゃんもお風呂場に頻繁に行くようになった。

もう、いよいよだなと悟ったわたしは
できるだけピカちゃんと一緒にいたいと思い
しばらく実家から職場へ通うことにした。
もうご飯は全く食べなくなったが、よろよろと歩くことはできていた。
先生からは、もってあと4日くらい
といわれていた。

実家に戻って2日くらいすると、
歩くこともできなくなり寝たきりとなった。

そんな姿をみていて辛くなり
スポイトで補水やご飯を流し込もうと試みるが
全然飲み込んでくれない。

嫌々でも補給をするのがいいのか
もうそっとしておいてあげるのがいいのか
いつも葛藤する。

そんな時にとある獣医師さんのブログを読んだ。

動物は死が近づいた時、ご飯を食べなくなったり
水も飲まなくなったりするが  そうすることで意識を朦朧とさせ 痛みや苦しみが少し和らぐのではないか
という内容のものだった。
回復の見込みがある場合は、強制補給をするが
そうじゃない場合に無理に延命治療をすると
死ぬ時に苦しそうなパターンが多いということらしい。

なにが正解かはわからないけれど
わたしはその考えがなんだかしっくりときた。
とにかくなるべくピカちゃんが苦しくないのがいい。

ご飯を無理にあげるのはもう諦めたが
水だけは少し飲んでくれたらなあと思って、
少量だけ口元につけてみたがもう飲み込む力もなく床に流れるだけだったのでそれもやめた。

あとしてあげれることは、
ただ横に一緒にいることだけ。
仕事も、適当な嘘をついてリモートに切り替え
ずっとピカちゃんのそばにいた。

ピカちゃんはうちの猫の中で誰よりも野生味が強かったから、ひとりでそっとしておいてほしいかな
と思ったが
そばを離れると にゃあにゃあ泣いて  背中をさすってあげるとすやすやと眠る。
案外そばにいてほしいのだろうか。
そんなギャップが愛おしい。
寝る時も、母と私の布団の間にピカちゃんを置いて
一緒に寝た。

それから翌日の夜中にピカちゃんは息を引き取った。
痙攣が始まっていよいよやばくなった時、
母と一緒にずっと撫で撫でして、何度もチュウをした。よく頑張ったね、って言いながら。
死ぬにはまだ早かったし、ピカちゃんももっと生きたそうだった。

もっと沢山あそんでストレスをためないようにしてあげたらよかっただろうか
もっと食事に気をつけてあげたらよかっただろうか
色々と考えはめぐるけど。
でも、最後はずっと一緒にいながら看取れたのはよかったとおもう。

忙しい世の中だけれど、
大切なひとが大変な時には仕事なんかそっちのけにできるようにこれからも生きていこうと思った。
優先順位を間違えちゃいけない。
今の自分が、いつか未来の自分や大切な人を守ってくれるようにタネをまこう。

ピカちゃんとは、なんだかまた逢えるような気がする。
次のステージは人間のパターンのタイプの猫だったようなかんじがしたし。
わたしは霊感もなんもないが、でもなんかそんなかんじがしたんだし。

いつかオーラがピッカピカの 出来る 謙虚な男の子が現れたらそいつだ。
友達になれる日をたのしみにしている。





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